石破政権から高市政権に変わり 増産の方針が一転した「コメ政策」
鈴木農相は10月22日の就任記者会見で「価格はマーケットで決まるべきものだ。価格にコミット(関与)すべきではない」と述べた。備蓄米の出し入れで価格をコントロールするのではなく、需給の安定を図ることで価格の安定につなげる考えを示している。物価高に対応した経済対策については、コメの購入に利用できる「おこめ券」の活用などに言及している。
物価上昇が止まらない。高市早苗首相は10月24日、所信表明演説で、物価高対策に「最優先で取り組む」と強調した。では、国民の主食である米の価格はどうなるのか。 【コレがカラクリ】コメ不足の真相、知っていますか? *** 新米が店頭に並ぶようになって、しばらく経つ。東京近郊のスーパーを訪れた女性は、こう話す。 「子どもが2人いるので、米はあっという間になくなってしまいます。新米は5キロ5000円前後。高すぎてためらうほど。2000円の備蓄米は、もう見かけなくなりました」 10月中旬の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比で2.8%上昇した。特に著しいのが米類で、上昇率は40.0%。農林水産省によると、10月27日~11月2日に全国のスーパーで販売された銘柄米5キロの平均価格は税込み4540円で、過去最高になった。 ■わずか2カ月で米「増産」を撤回 なぜ、米の価格は高止まりしているのか。 首都圏の老舗米店の店主、中村真一さん(仮名)は、米の価格が上昇した24年6月ごろから一貫して、根本原因を「米不足」と指摘してきた。 農水省は「米は足りている」としてきたが、今年8月、その認識が誤っていたこと、行政が米価高騰の主因だったことを認め、石破茂前首相が政策を転換、増産にかじを切ったばかりだった。 だが、ここへきて「逆戻り」する事態が起きている。 高市政権で初入閣した鈴木憲和農水相が、10月22日の就任会見で、「需要に応じた生産が原理原則」「コロコロ方針が変わっては、生産現場のみなさんは対応することができない」と述べ、米の「減産」を示唆したのだ。 同月31日、農水省は来年産の米の生産量が711万トンになる見通しを示した。今年産の748万トンに比べて37万トンの減産になる。 ■米の安定的な供給は? 石破前首相は6月、こう語っていた。 「主食である米の供給に対する国民の不安が高まっている。安定的な供給を実現することが必要だ」 時間はかかるかもしれないが、米価高騰も米不足もいずれ落ち着く――。ホッと胸をなでおろした市民も多かったのではなかったか。 それから、わずか2カ月余り。農業経済学が専門の東京大学大学院・鈴木宣弘特任教授は顔を曇らせてこう話す。
コメの「増産」方針から一転、高市政権が従来の「需要に応じた生産」を検討するなど、政府のコメ政策の揺れに戸惑いが広がっている。在庫増に備え、政府が2026年産主食用米の減産方針にかじを切ることで、県内 ...
25年産主食米の生産量は備蓄米の買い取り中止分を含め前年比10.1%増の747万7000トンを見込む。米価高騰で飼料米や大豆などへの転作を減らし、主食米をつくる農家が増えた。しかし、国内は人口減が進む。食文化の異なる海外市場への輸出拡大など新規需要を開拓できなければコメ余りを招く可能性がある。
今の価格水準が続けば民間企業のコメ輸入がさらに拡大する可能性がある。日本は無関税のミニマムアクセス米として毎年77万トンほどを海外から輸入し、この枠を超えると1キロあたり341円の高関税がかかる。国内の米価高騰で関税分を上乗せしても割安感が生じた。日本の食卓に輸入米が定着すれば、生産基盤の将来の弱体化につながりかねない。
石破前首相は5月、国会で「コメは3000円台でなければならない」と価格抑制に強い決意を示した。随意契約による備蓄米の販売が6月に本格化し、7月に入って半年ぶりに3500円台まで低下した。だが、足元では5月半ばにつけた最高値(4285円)に迫っている。
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鈴木憲和農相は22日の就任記者会見で、コメは「需要に応じた生産」が原則とした。「現状で不足感は解消された」とし、「マーケットありきで考えるべきだ。無責任にずっと増産し続けるのは難しい」との見解を示した。
政府はコメ余りによる米価下落を防ぐため、主食米の需給を均衡させようとしてきた。18年に都道府県ごとの生産数量目標を行政が配分するのをやめ、農家が自由にコメをつくれるようになった。だが、それ以降も農水省が需要予測に基づく生産目安を示しており、飼料米などへの転作を促す補助金を通じて事実上の生産調整が残る。
石破前首相はコメ不足が米価高騰につながったとして、生産量を抑えて米価を維持する農政の見直しを打ち出した。増産を主導した石破氏や小泉進次郎前農相の退任によって、農家の経営安定を最優先し生産抑制を主張する自民党内の声が勢いを取り戻した。
石破政権から高市政権に変わり、増産の方針が一転した「コメ政策」。そして新米が出回れば値下がりか?とも思われましたが、店頭価格は高止まり。そんな中、卸売の現場では異変も起きていました。 【写真で見る】「子どもが食べ盛りなので…」“コメ離れ”明かす消費者 ■価格高騰で“コメ離れ”も? 3週連続で過去最高値を更新 4日、消費者団体を訪ねた鈴木農水大臣が案内されたのは、1932年に起きた「米よこせ運動」の像です。 鈴木憲和 農水大臣 「『米よこせ母子像』はどこに向かって手をあげてる?」 日本生協連 新井ちとせ 代表理事会長 「農林省(現農水省)に」 その後、コメの価格高騰について、意見交換したといいます。 7日に発表された銘柄米の平均価格は、3週連続で過去最高値を更新。新米が出回っても価格が下がらないのです。 ーー高値が続いていますね? セルシオジャパン 久保田浩二さん 「どうしても仕入れ値も高くなっているので、販売価格、税込みは(5kg)5000円ぐらいが平均になっています」 首都圏では銘柄米は5kg5000円前後。今、売れているのが… ーー棚の半分は1kgだったり2kgのコメも並んでいるんですね? 「5kgのコメを購入するお客さんの割合も落ち込んできてしまっている」 小分けすることで価格を抑えているのです。 セルシオジャパン 久保田浩二さん 「少量タイプのお米の売り上げの方が、断然伸びてます」 コメ離れが進みつつある様子もみられました。 買い物客 「毎朝、何曜日をパンの日にしたり、最近夜パスタにちょっと変えたりとか」 「子どもたち食べ盛りなんで、うどんとか蕎麦とかパスタとかは増えましたね」 店頭価格の高騰が続く一方、卸売の現場では異変が起きていました。 ■“新米の時期”でも在庫を減らす卸売業者 創業300年を超える卸売業者を訪ねると、新米が入ってくる時期にもかかわらず、あえて在庫を減らしているといいます。その理由は… 金沢米穀販売 金澤富夫 代表 「あまり高いうちに買うと、ただでさえ客に値上がり分を転嫁できないのに、高いコメをいつまでも持ってるとタイムリーに値下げもできないので」


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