
- 今週のドル円相場見通し|152円~155円のレンジ相場が継続か
- ドル円を動かす主要因|米長期金利と日米金利差に注目
- 米政府閉鎖と日本当局の為替介入警戒が上値を抑制
- 市場心理|FRB利下げと統計空白で方向感が定まらず
- ドル円の今後の展開|金利主導のレンジ相場と2つの注目ポイント
- 今週の重要イベント|米政府閉鎖解除と日銀発言に注目
- ドル円チャート分析|抵抗線と支持線に挟まれた持ち合い相場
- ドル円の重要価格帯|上値154円、下値153円が攻防ライン
- 今週のドル円予想|153円~154円台のレンジ継続が基本
- ドル円上昇シナリオ|154円台後半突破なら155円試しへ
- ドル円下落シナリオ|10日線割れなら152円台後半へ
- ドル円トレード戦略|押し目買いと戻り売りのポイント
- 今週のドル円戦略まとめ|レンジ相場での二段構え
- ドル円相場で円安にブレーキがかかった
今週のドル円相場見通し|152円~155円のレンジ相場が継続か
米政府の一部閉鎖が39日を超え、主要な連邦統計の多くが休止しています。米商務省経済分析局統計(BEA)と米センサス局は全面停止、労働統計局(BLS)も米9月消費者物価指数(CPI)を特例公表した後は更新を停止しており、今週のドル円相場は材料不足の中で金利と要人発言に振らされる展開になりやすい状況です。
米連邦準備制度理事会(FRB)は10月29日に0.25%の利下げ(政策金利3.75~4.00%)を実施し、12月1日には量的引き締めの停止も決定。景気下振れリスクに目配りする姿勢を明確にしました。足元のインフレは9月CPIで総合前年比+3.0%、コア+3.0%と一段の減速を示していますが、その後のデータは政府閉鎖により空白が続いています。
日本に目を向けると、10月30日の日銀会合で政策金利0.5%を据え置きながらも、年内から年初にかけての追加利上げを示唆。財務省は154円台の円安の段階で、高い警戒感を示しており、155円近辺の上値の重さが意識されやすくなっています。
以上を踏まえ、今週のドル円は152円台後半~155円手前の上値は重くも下値は限定的な保ち合いを基本シナリオとしています。米政府閉鎖の解除報道や米長期金利の自律反発が出れば155円試しの可能性がある一方、閉鎖長期化や日本側の日銀タカ派シグナルが強まれば152円台への押し戻しリスクに注意が必要です。
ドル円を動かす主要因|米長期金利と日米金利差に注目
現在、米ドル(対円)を動かしている主因は日米金利差、すなわち米長期金利です。FRBが利下げに舵を切り、FOMCの声明文で「成長のモデレート化と雇用の減速」を認めたことで、金利低下によるドルの上値抑制という力学が基調にあります。
一方で、政府閉鎖の長期化が、様々な供給網や航空などサービス稼働に波及しはじめており、一時的な金利上振れを誘う場面もありえます。これは需給の歪み解消や財政不確実性によるものです。米10年債利回りの小反発で金利差が拡大すれば、ドル円は155円手前までの戻りを試す余地がありますが、政府・日銀の円安けん制が上値を鈍らせる構図となっています。
米政府閉鎖と日本当局の為替介入警戒が上値を抑制
米国では政府閉鎖が最長記録を更新しており、上院での政府閉鎖解消への観測が断続的に伝わるものの、合意に至るまでの展望はなお不透明です。閉鎖解除が決まれば、統計の再開から金利と景気見通しの再評価、そしてドルの上昇圧力という流れが意識されます。
一方、日本では片山さつき財務相が「一方的で急速な為替変動への高い警戒」を繰り返し表明しており、154円台でのけん制トーンが強まっています。日銀の植田総裁も10月30日の会見で、経済見通し次第で年内から年初にかけての利上げに含みを持たせました。
これらは総じて155円近辺での警戒感を強める材料であり、短期の上値を抑えやすい要因となっています。
市場心理|FRB利下げと統計空白で方向感が定まらず
FOMC(連邦公開市場委員会)の利下げ転換と統計の空白が同居する中、先行きの政策に対する思惑が交錯しています。
ポジション面では、米政府閉鎖によりCFTC(商品先物取引委員会)の建玉(IMM)公表が停止されており、「円売りの積み上がりや解消」という相場の燃料の可視化が難しくなっています。
ドル円の今後の展開|金利主導のレンジ相場と2つの注目ポイント
今週の基本形は金利主導のレンジ相場です。米政府閉鎖が続く限り、決定的な新材料は出にくい状況です。ただし、2つのトリガーには注意が必要です。
第一に、政府閉鎖の解除が決まれば、行政機能の正常化からデータ公表再開、指標結果を基にした利下げペース観測の再編という順で、米長期金利の持ち直しとドル買いが入りやすくなる可能性が出てきます。
第二に、日本側で財務省の牽制強化(あるいは実弾介入の思惑)や日銀のタカ派ニュアンスが積み上がれば、上値ブレイクを阻む反応(円買い戻し)が出る可能性があります。
短期は「買いは追わず、押し目・上値はこまめに利食い」のスタンスが無難でしょう。
今週の重要イベント|米政府閉鎖解除と日銀発言に注目
- 米上院のつなぎ予算・歳出法案の審議:今週も米政府閉鎖解除に向けた観測が断続的に報じられます。関連報道は即座に相場が反応しやすい材料です。
- 米インフレ指標:10月分のCPI・PPI・PCEなどは政府閉鎖解除まで公表停止となります。再開後は公表の集中により変動拡大リスクがあります。
- ISM指標:11月分のスケジュール自体は通常通りです(製造業3日、サービス5日)が、相場の焦点は要人発言と金利に向かいやすい状況です。
- 日本側:財務相・財務官の円安けん制に注目。介入リスクの織り込みが上値を抑制する要因となります。
ドル円チャート分析|抵抗線と支持線に挟まれた持ち合い相場

ローソクは10日移動平均線の上で踏みとどまりつつ、ピンクの上値抵抗線に頭を押さえられている状態です。青い下値支持線は中期的に右肩上がりとなっており、「上値を切り下げる長期の抵抗」と「下値を切り上げる中期の支持」に挟まれた収れん(持ち合い)が続いています。
RSI(9)は50台半ばで中立からやや強含みの水準です。過熱感はないため、上にも下にも走る余地は残っていますが、方向を決めるのはピンクの上値抵抗線を日足で抜けるか否かになりやすい位置取りです。
ドル円の重要価格帯|上値154円、下値153円が攻防ライン
上値:ピンクの抵抗線が現在値で154.0前後に降りてきています。直近高値の154.48円が一次ターゲットとなり、ここを日足終値で明確に超えると、心理的節目の155円が次の焦点です。155円に乗せても、抵抗線を背にした戻り売りが出やすいため、155.0~155.4円は利食いが出やすい価格帯と見ています。
下値:まずは10日移動平均線(153.4~153.6)が最初の攻防ラインです。割れると153.0前後の押し目確認へ。さらに崩れる場合でも、今週の時間軸では152円台後半が下値の本命となります。青の支持線(中期トレンド)はもっと下に位置しており、今週のターゲットとしては遠い印象です。
今週のドル円予想|153円~154円台のレンジ継続が基本
基本は「抵抗線に絡みつつのレンジ継続」です。10日移動平均線が上向きである限り、下押ししても拾われやすい一方、ピンクの抵抗線が頭上にあるため突っ込み買い・追いかけ買いは報われにくい展開です。
想定レンジは153.2~154.6を中心とする保ち合いです。終値で154.5超えが出ない限り、上値は段階的に売られやすいと見ています。
ドル円上昇シナリオ|154円台後半突破なら155円試しへ
ピンク線を日足で上抜け、かつRSIが60台に進むようなら、短期モメンタムは買い優位に傾きやすくなります。ターゲットは154.8 → 155.0 → 155.3~155.5です。
この場合の154.0円割れ(ブレイク水準への差し戻し)でシナリオ無効となります。ブレイク直後はだましが出やすいので、終値ベースの確認か、上抜け後の押し目(154円前後)を待つ方がリスクリワードは良好です。
ドル円下落シナリオ|10日線割れなら152円台後半へ
抵抗線で上ヒゲ陰線などの失速サインが出て、10日移動平均線を明確に割り込むと、短期は売りが優勢に傾きます。狙われやすいのは153.0円と152円台後半です。ここで底堅さを確認できないと、持ち合いの下端方向(152.2円近辺までの下落)のリスクが浮上します。
この場合、153.7円(10日移動平均線)回復となったらシナリオは解消です。戻したら深追いせず一度クローズする発想が無難でしょう。
ドル円トレード戦略|押し目買いと戻り売りのポイント
- 買いは「10日移動平均線付近の押し目」限定で、154.5超えの追いかけはしない(上にピンクの抵抗が控えるため)。
- 売りは「154.4~154.6の戻り」か、10日移動平均線の明確割れ後の戻りを待つ。
- いずれも利幅は欲張らず、レンジ中心(153.8前後)に近づいたらこまめに利食い。
- 判断は日足終値とRSIの60/40をシンプルなフィルターに。60超えで強気継続、40割れで弱気優勢という目安が機能しやすい局面です。
今週のドル円戦略まとめ|レンジ相場での二段構え
今週は、「10日移動平均線が下支え、長期のピンク抵抗線が上値押される」という綱引きが続きやすい展開です。154.5円の上抜けが出れば155円トライの可能性、失速して10日移動平均線割れなら152円台後半の押し目探しに視点を切り替える、という二段構えで臨むのが良さそうです。
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ドル円相場で円安にブレーキがかかった
ドル円相場で円安にブレーキがかかった。日本時間午前の取引では1ドル=152円台をつける場面もあり、丸一日で約1.5円の円高が進んだ。アメリカで6日に発表された民間経済指標で労働市場の弱さが示され、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に追加利下げに踏み切るとの見通しが強まったためだ。6日の金融市場では株価も大きく下落しており、リスク回避姿勢の強まりが円買いにつながったとみることもできる。一方、日本経済をめぐっても、日本銀行の12月利上げへの期待が消えていないことが円高要因といえ、日本政府による為替介入も警戒されている。さらに米国経済をめぐっては、米国で史上最長の期間となった政府機関一部閉鎖の悪影響への不安も強まっており、ドル円相場は円高が進みやすい状況にあるといえそうだ。
米FRBが10/29のFOMCで「タカ派寄りの利下げ」を決定したことを受け、ドル堅調地合いが続く中、ポンドドルは10/31に4/14以来の1.3097ドルへ下落。その反動もあり、11/3には1.3162ドルへ反発しましたが、11/4にリーブス財務相が11/26に公表予定の秋季予算案をめぐり、大規模な増税の可能性を示唆。こうした財政見通しの不透明感や金利先安観を強め、11/4と11/5に1.3010ドルへ一段安となりました。ただ、短期の下落行き過ぎを調整する動きで下げ止まり、11/6の米企業人員削減数が大幅に悪化したこと、英中銀政策委員会で「ハト派寄りの現状維持」を決め、「リスクは従前からバランス」としたことから11/7には1.3175ドルへ反発し、1.3160ドルで取引を終えました。一方、ポンド円は11/3の202円81銭を高値に、11/5にかけてポンドドルの下落やドル円の153円割れへの調整に伴い199円07銭へ下落。しかし、11/6-7にかけてポンドドルの反発やドル円の152円台後半での底堅さを確認したことから202円09銭へ持ち直し、201円88銭で取引を終えました。
米国経済の見通しの不透明感は政府閉鎖で重要経済指標が発表されていないことでも高まっている。今後も金融市場でのリスク回避姿勢が強まれば、ドル円相場で円安材料への反応が大きくなる展開が想定されそうだ。
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間7日午前12時35分段階で1ドル=153.09円で取引されている。ブルームバーグによると、午前8時台には152.82円をつけ、6日未明に記録した154.36円から1.53円の円高が進んだことになる。ドル円相場では、高市早苗政権の発足を材料視する「高市トレード」で、10月1日の146.59円から11月4日の154.48円まで大きく円安が進んだが、勢いにブレーキがかかった形だ。
こうした中、ドル円相場の背景となる日米の長期金利(10年物国債利回り)の差には再び縮小の動きが出始めた。ブルームバーグによると、日米金利差は6日段階で2.404%ポイントとなり、10月28日(2.339%ポイント)以来の小ささとなった。米国の長期金利が11月5日終値の4.160%で頭打ちとなり、日本の長期金利が10月28日の1.638%を底として改めて上昇に転じていることが影響している。
ドル円相場をめぐっては、日本政府による為替介入への警戒もある。片山さつき財務相は4日、高市トレードでの円安進行を念頭に「一方的で急激な動きがみられている」とした。片山氏は10月31日にも「為替相場の過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感をもって見極めている」と述べている。日米長期金利差の縮小傾向が維持されているにも関わらず円安が急進する事態が起これば、日本政府が円買い介入で相場を抑え込むシナリオの現実味も増しそうだ。
一方、ドル円相場での円高には、日銀の12月利上げへの期待消えていないことも影響している。ブルームバーグによると、日銀が12月18、19日に開く金融政策決定会合後の政策金利の水準は、7日午前12時35分段階の金融市場では0.599%と見込まれている。利上げ確率は48%程度で、10月下旬からの横ばい傾向が続く。日銀の植田和男総裁は10月30日の決定会合後の記者会見で、2026年春闘に向けた労使の動きを確認したいとしつつ、労使協議の「初動のモーメンタム」次第では利上げを決める材料になりえるとの立場をとっている。


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