
◆ポンド、10月インフレ指標で来月利下げの織り込み進むか見極め
◆ポンド、秋季予算案を巡る思惑には依然として注意
◆加ドル、10月CPIや対米関係を材料視
予想レンジ
ポンド円 201.50-206.00円
加ドル円 108.50-112.00円
11月17日週の展望
来週のポンド相場は、高市政権が目指す「責任ある積極財政」や最長期間を更新した米政府機関の閉鎖解消を受けた市場のリスク選好度合いを見極めつつ、週半ばに発表される10月の英インフレ指標に注目することになる。また、26日のリーブス英財務相による秋季予算案発表を前にし、英財政を巡る思惑で上下する債券市場の動向にも注意したい。
19日に発表予定の10月消費者物価指数(CPI)では、イングランド銀行(英中銀、BOE)が前回会合で示した「インフレ率はピークに達した」という判断を確かめることになる。9月のCPIは前年比で市場予想を下回り、3カ月連続の3.8%上昇を記録した。前回会合で据え置きを支持したベイリーBOE総裁も、最近はインフレリスクが低下し、より均衡した状態だと認めている。12月の英金融政策委員会(MPC)の投票直前に11月CPIも発表されるため、今回の指標だけでインフレ動向を決めつけるのは早計だろう。ただ、ハト派的な据え置きを決めた11月MPCを終え、市場では年内追加利下げを後押しするような結果を期待する声が多く聞かれている。
また、英長期債市場は秋季予算案の発表を控え比較的落ち着いた状態だ。インフレ再燃リスクの減退や、4日のリーブス講演で財政規律維持が約束された事も好感されている。英シンクタンクは「財務相が予算に大幅な増税を盛り込まなければ、保守党政権時の2022年秋に市場を混乱させたトラスショックの再来もあり得る」と警告。そういった中、英FT紙は「スターマー政権が所得税は引き上げない方針」を報じた。26日の発表まで様々な報道や思惑で相場は振らされそうだ。
加ドルはまず、週初に明らかとなる10月CPIが材料視される。7日に発表された雇用統計では、新規雇用者数が6.66万人増と市場予想の0.25万人減を大きく上回った。失業率も6.9%と予想や前回から0.2%改善するなど、労働市場の強さを背景にカナダ金利の先安観が後退している。短期金利市場では、少なくとも来年夏までカナダ中銀は政策金利を据え置くとの見方が優勢だ。そういった中、9月分が前年比2.4%上昇と2月以来の高い水準まで加速したCPIが再び底堅さを示すようだと、金利面から加ドル買いが強まる可能性が高い。
また、高市政権の経済・財政政策や米政府機関の再開を受けた市場心理の変化を見極めることが重要。更には、米国との貿易問題は依然として懸念材料となるだろう。カナダ・オンタリオ州で開かれた主要7カ国(G7)外相会合にルビオ米国務長官も出席し、アナンド加外相と会談したが、安全保障などが話の中心となり、貿易交渉は取り上げられなかった。
11月10日週の回顧
ポンドは底堅かった。英経済指標の弱さが目立ったものの下押し幅は限定。対円では201円半ばを下値に約2週間半ぶりの204円台に乗せる場面があった。対ドルでも1.30ドル後半から1.32ドル前半まで切り返した。
加ドルも、リスク志向が強まった場面では対円で110.60円台の年初来高値圏まで上昇した。一方、対ドルでは1.40加ドルを挟んだ小動きにとどまった。(了)
(執筆:11月14日、9:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
2027年5月のポンド円見通し
2029年3月のポンド円見通し。当月始値 255.16、最低 250.26、当月最高 257.88。平均 254.34。月末 254.07。変更 -0.4%。
2029年7月のポンド円見通し。当月始値 252.55、最低 252.55、当月最高 261.49。平均 256.06。月末 257.63。変更 2.0%。
2027年5月のポンド円見通し。当月始値 212.07、最低 211.95、当月最高 218.41。平均 214.40。月末 215.18。変更 1.5%。
一方、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)をめぐっては、イギリスの中央銀行にあたるBOEの利下げ見通しが後退したことが、ポンド高要因として働いている。BOEが9月18日に政策金利を4.00%で維持すると発表。声明文では、前日に発表された8月消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率が前年同月比3.8%だったことを踏まえ、物価上昇の高さが「賃金と企業の価格設定行動に上昇圧力をかけることを引き続き警戒する」とした。
2028年1月のポンド円見通し。当月始値 234.58、最低 233.65、当月最高 240.77。平均 236.55。月末 237.21。変更 1.1%。
第一週 11月20日(木曜日)のポンド円見通し: 為替レート 206.61、 最高 209.71、最低 203.51。 11月21日(金曜日)のポンド円予想: 為替レート 206.57、 最高 209.67、最低 203.47。 11月24日(月曜日)のポンド円見通し: 為替レート 207.64、 最高 210.75、最低 204.53。 11月25日(火曜日)のポンド円予想: 為替レート 205.05、 最高 208.13、最低 201.97。 11月26日(水曜日)のポンド円見通し: 為替レート 205.08、 最高 208.16、最低 202.00。
2027年7月のポンド円見通し。当月始値 218.87、最低 218.87、当月最高 228.82。平均 223.00。月末 225.44。変更 3.0%。
2027年9月のポンド円見通し。当月始値 227.50、最低 227.50、当月最高 234.73。平均 230.25。月末 231.26。変更 1.7%。
このためポンド円相場でさらにポンド高が進むには、高市氏の利下げへの慎重姿勢が植田氏よりも強くなるか、日銀からの情報発信が米国経済の見通しや日本経済への悪影響への警戒感を強めることが必要だとみることもできる。高市氏は15日にも召集される見通しの特別国会で首相に指名される公算が高いとみられており、発言への注目度の高さが、FX市場に及ぼす影響を大きくすることも考えられそうだ。
2029年1月のポンド円見通し。当月始値 247.62、最低 247.62、当月最高 258.88。平均 252.29。月末 255.05。変更 3.0%。
こうした中、ポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、高市トレードによる円安の持続性が注目される。高市氏が示した日銀の利上げが消費を落としてしまうことへの懸念は、日銀の植田和男総裁が7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で示した立場と同じ。このため高市氏と日銀の足並みはそろっており、ともに利上げに慎重な立場だとみることができる。また植田氏は9月19日の決定会合後の記者会見では、ドナルド・トランプ大統領の高関税政策が日本経済に及ぼす影響についても慎重に見極める立場を強調。米国経済をめぐっては、1日から始まった政府機関一部閉鎖が先行きの不透明感を強めており、植田氏が日本経済への悪影響への懸念をさらに強めている可能性もありそうだ。こうした中、ドル円相場での円安圧力は維持されるとの見方も成り立つ。
ポンド円相場でのポンド高圧力が強まった。ポンド円相場は日本時間6日の取引で201円台後半をつけており、前週末比で1.5%ほどのポンド高が進行。2024年7月以来のポンド高水準を更新した。4日の自民党総裁選挙で高市早苗氏が勝利したことでドル円相場で大きく円安が進んだことが要因だ。また、ポンド相場をめぐっては、イングランド銀行(BOE)による追加利下げへの期待が縮小していることもポンド高要因となっている。こうした中、ポンド円相場の今後の見通しにとっては「高市トレード」の継続性が焦だ。高市氏の立場は日本銀行の植田和男総裁との立場と大きな違いはないとみられ、足元以上の円安進行の材料にはなっていないもよう。このため今後のFX市場では、首相指名に向けて注目が集まる高市氏が日銀以上に利上げへの慎重姿勢を強めるかどうかが材料視されることも考えらえる。
今週の展望 米ドル高は一服ムードにある。しかし、目下のところ米ドル安へ回帰する材料は見当たらない。円安にも一服感が見られる。しかし、高市首相の政策姿勢と日銀の利上げ見通しに不透明感が漂う状況を考えるならば円高トレンドへ転じる可能性は低い。これらの状況を踏まえ、今週のドル円(USD/JPY)は高値圏でのレンジ相場を予想する。
2027年11月のポンド円見通し。当月始値 238.20、最低 227.58、当月最高 238.20。平均 233.76。月末 231.05。変更 -3.0%。
高市氏は4日の総裁選勝利後の記者会見で需要増大が物価上昇を後押しする「デマンドプル」型の物価上昇を目指すべきだ言及。日銀が物価上昇率抑制を狙って物価を引き上げることで、消費が冷えることへの警戒感を示している。こうした中、金融市場では日銀の利上げ見通しは大きく後退。6日午前12時37分段階の金融市場では12月の金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.6%と見積もられ、前週末段階の0.664%から大きく低下している。


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