レイバンなど 販売価格拘束の疑い
自社で決めた価格で販売をしたい場合は次のルートで販売するのも方法の一つです。
独禁法2条9項4号では「正当な理由がないのに」と規定されており、正当な理由があれば再販売価格を拘束しても違法ではないように見えます。「正当な理由」とは、「もっぱら公正な競争秩序維持の見地からみた観念であって、当該拘束条件が相手方の事業活動における自由な競争を阻害するおそれがないことを言う」とされます(最判昭和50年7月11日)。事業経営上必要、あるいは合理的であるというだけでは該当しないとされます。またブランド間競争が促進され、市場全体で見れば競争が促進するとの理由だけでは該当しないとされます。なおこの正当な理由について公取委のガイドラインでは(1)ブランド間競争を促進、(2)商品の需要が増大し消費者の利益を増進、(3)その効果はより競争阻害的でない他の手段では得られず、(4)必要な範囲および必要な期間に限って行われた場合に認められるとしております。
再販売価格の拘束の要件として、まず販売業者の自由な価格決定を拘束することが必要です。ここで「拘束」とは必ずしもその取引条件に従うことが契約上の義務として定められているこを要せず、従わない場合に経済上なんらかの不利益を伴うことにより実効性が確保されていれば足りるとされます(最判昭和50年7月10日)。またメーカーが「メーカー希望小売価格」や「標準小売価格」を設定するだけで、販売業者が実売価格を自由に決定できるのであれば拘束には当たらないとされております。価格が守られているか店頭で巡回したり、秘密番号によって流通ルートの探索等を行う場合は拘束に当たるとされます(審決平成3年8月5日)。そして再販売価格の拘束での公正競争阻害性は自由な競争の減殺とされております。
書籍、雑誌、新聞、音楽CDやレコードなどの著作物の一部に関しては、再販売価格の拘束を禁止するルールを適用しない旨が独占禁止法で定められています。このような出版物などは定価販売を許容することでさまざまな出版物が販売されることにつながり、多様な文化を維持できると考えられているからです。
再販売価格の拘束は、独占禁止法2条9項4号で禁止されている不公正な取引方法の一つです。具体的には、メーカー等が、指定した価格で販売しない小売業者等に対して、卸価格を高くしたり、出荷を停止したりして、小売業者等に指定した価格を守らせることを指します。「再販売」とは、生産業者から商品を購入した卸売・小売業者が、再度その商品を消費者に販売することです。
本件で関家具はオフィスチェアを小売店に卸す際、希望する価格で販売するよう強制し、従わない場合には出荷価格の引き上げや取引の見合わせを示唆していた疑いがもたれております。これらが事実であった場合、取引の相手方に経済上の不利益を伴わせて実効性を確保していると言え、再販売価格の拘束に該当する可能性が高いと考えられます。以上のように相手方に何らかの経済上の不利益を課すことにより販売価格の決定を拘束した場合は不公正な取引方法に該当することとなります。ブランド価値の維持や値崩れを防ぐために価格の拘束や、それに従わない業者に販売しないといった例がこれまでも見られております。自社の取引先に価格を指示していないか、また従わない場合に不利益を課していないかを今一度確認しておくことが重要と言えるでしょう。
公正取引委員会は、再販売価格の拘束をした事業者に対して行政処分の「排除措置命令」を行います。再販売価格の拘束をやめることを命令したり、再発防止のために取締役会決議をもって違反をやめたことの確認や再発防止のための定期的な研修や監査などを命令したりします。10年以内に2回の再販売価格の拘束をおこなった事業者には、2回目の違反の際に課徴金が課される決まりです。しかし、実際に再販売価格の拘束において課徴金が課されたケースは今のところはありません。小売業者等に対する再販売価格の拘束は、各事業所の営業部門などが独断で行っていることもあります。会社全体で独占禁止法についての知識や情報を共有し、トラブルを回避しましょう。
自由競争経済の下では、小売業者等は商品の販売価格を自ら決定できてしかるべきであると考えられています。メーカー等が、小売業者等の間での値引き競争により価格が崩れ、ブランド力が低下することを恐れて小売業者等に対して価格を決定して守らせようとすることで、価格競争が阻害されて、消費者に被害が及ぶことを防ぐために、再販売価格の拘束は禁止されています。
独禁法2条9項4号イロによりますと、正当な理由がないのに相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束することが不公正な取引方法として禁止されております(19条)。相手方からさらに購入する業者との販売価格について拘束する場合も同様です。メーカーが卸売業者に対し自己の販売する製品について販売価格を指示してその価格で販売させる場合、さらに卸売業者から当該製品を購入する小売業者への価格を拘束する場合が典型例と言えます。複数のメーカーが共同して行った場合は不当な取引制限に該当する場合もあるとされております。


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