ウナギ国際取引規制が議題に 開幕
EU側の案が採択されれば、2027年6月から規制が導入されることになる。国際取引には、輸出国当局が発行した許可書が必要になるが、業界関係者が指摘しているのが、中国側の発行手続きをめぐる懸念だ。許可書の発行手続きが複雑になり費用が高くなったりして、コストが輸入価格に上乗せされれば、ウナギ価格が上昇するおそれがある。
2024年の日本国内のウナギ供給量はおよそ6万940トンで、うち7割を生きたウナギやかば焼きなどとして、主に中国から輸入している。日本は、主要漁獲国である中国などと共闘して、養殖場内での稚魚の数量に上限を設けるなど国際的な資源管理を徹底している姿勢をアピールし、採択阻止にこぎつけたい考えだったが、会議の場での連携してのロビー活動は望み薄となったとの見方が強まっている。
絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議が24日、中央アジアのウズベキスタンで始まった。EU=ヨーロッパ連合などは、二ホンウナギを含むウナギ全種類の国際取引の規制強化を提案していて、投票国の3分の2以上が賛成すれば採択される。
付属書2は、すでにヨーロッパウナギを対象にしているが、二ホンウナギなども加え、全種類の取引を含めるというのがEU側の提案で、稚魚や成魚、かば焼きなどの加工品も含まれる。
【ヨハネスブルク=秋山洋成】絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議が24日、中央アジアのウズベキスタンで開幕した。ニホンウナギを含むウナギ全種類の国際取引の規制強化が議題に上がる。採択されれば、ウナギの取引価格が上昇する可能性がある。
EU側の案について「採択を勧告する」とした最終評価では、判断のポイントを、二ホンウナギと、すでに付属書2の対象となっているヨーロッパウナギとの、外見をめぐる「類似性」に置いた。二つのウナギの識別が難しく、ヨーロッパウナギが二ホンウナギなどとして取引される「ロンダリング」が横行していると指摘、全種類を付属書2に含めれば、適切に取り締まることができるとした。二ホンウナギについても規制を強化しないと、ヨーロッパウナギの資源管理を実効性あるものにできないという見方だ。その一方で、二ホンウナギは「取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種にはあてはまらない 」とした。日本側は「資源が回復傾向にある」と訴えてきた主張に沿った判断も示されたと受け止めるとともに、「DNA検査などで二つのウナギの識別は難しくない」として、「規制により稚魚のシラスウナギの取引価格が高騰し、かえって密漁や密貿易のリスクを高める」と訴えていくことにしている。
EUなどの案は、ウナギの全種類について、国際取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれがある「付属書2」に掲載するというものだ。対象となった場合、国際取引自体は可能だが、科学的な助言などに基づいて、輸出国当局が発行した許可書が必要になる。
EUなどは、ウナギの資源減少を理由に、ワシントン条約の「付属書2」の対象にウナギ全種類を掲載することを求めた。付属書2に記載されると、輸出国に科学的な見地に基づいて許可書の発行が義務付けられる。
会議は12月5日までで、ウナギの規制強化は11月27日にも締約国で討議して採決する見込みだ。


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