理研の大量「雇止め」何が問題か

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理研の大量「雇止め」何が問題か
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 理研の大量「雇止め」何が問題か

理研の大量 雇止め 何が問題か

研究現場においては、10年を超えての研究継続が普通であるテーマ・チームもあります。しかし、制度的には「10年で任期制を終える」又は「10年超更新しない」といった運用をする機関が存在します。理研事案が典型的です。こうした上限設定が研究者のキャリア継続を断つ構造になっています。

研究者契約をめぐって「更新が繰り返されていた」「研究テーマ・設備・人材を継続していた」などが更新期待の根拠となる一方、募集要項等に「最長○年」などの上限条項が記載されていれば、これが「期待なし」と判断されるケースもあります(理研の第一審など)。

このほか、リーダーの雇い止めで研究チームが廃止になることで、雇用契約が終わる研究者らも177人おり、別のチームなどに移籍できなかった87人が理研を去った。

2018年3月末の雇止め回避は、「5年/10年の雇用上限」の文言が就業規程から消えたわけではなく、2016年3月以前から雇用されている事務系職員には「5年の雇用上限」を適用しない、という形で行われました。そのため、2016年4月以降に雇用開始された事務系職員の「5年の雇用上限」による雇止めが2021年3月末から、2023年3月末から研究系職員の「10年の雇用上限」による雇止めが始まります。

この状況の中で、理研側は2018年2月中旬に、それまでの態度を一変し、雇止めを回避する案を提示してきました。

裁判を通じて感じたのは、理不尽なことには闘わなければならないということです。理研はブラック企業ではありません。国の公的な研究機関です。理不尽な仕打ちに対し、はっきりとものを言うのは当然でしょう。

今回取り上げた千葉工大の判決、理化学研究所の和解、毎日新聞の「クーリング」報道という3つの潮流は、まさにこの問題の頂点を映し出しています。 千葉工大の判決は、雇い止めが常態化する状況に対して「更新期待」が法的に認めらうるというメッセージを示しました。理研の事案は、研究機関トップレベルでさえ任期制雇用・通算上限規定をめぐる課題と対峙していることを示しています。

理研側が不誠実団交を行ったという事実がなくなったわけではありませんが、「2018年3月末での大量雇止めを回避する」という大きな目的が達成できたので、理研労と科労協は理研側と和解し、都労委への申立を2018年12月に取り下げました。取り下げに際して理研側に、事務系では「5年の雇用上限」が不利益変更で就業規程に導入された2016年度よりも前(つまり2016年3月以前)から雇用されている職員には「5年の雇用上限」を適用しないという対応を行ったのであるから、同じ理由で、研究系でも2016年3月以前から雇用されている職員に対しては「10年の雇用上限」を適用しないことを和解条件とすることを要求しました。しかし、理研側はこの条件を呑まず、また都労委も、不誠実団体交渉として申立を行った団体交渉の内容は事務系の「5年の雇用上限」であり、研究系の「10年の雇用上限」を和解条件に入れることはふさわしくないとの見解を示したため和解条件としては、「5年及び10年の雇用期間の上限規定及び雇用条件について、誠実に団体交渉を行う」との文言を入れるにとどまりました。

理研労は理研側との交渉を継続性していますがそれと並行して、地域住民・国会・監督官庁・マスコミに対して理研ネットと連帯して、「理研の違法な雇止め」を阻止するための活動への支援を働きかけています。

研究系については、2019年度に一部のテクニカルスタッフ等の「10年の雇用上限」の適用除外の獲得以降は進展がありませんでしたが、2023年3月末で雇止めされる研究系職員の実態が徐々に明らかとなってきました。2023年3月末に雇止めとなる研究系職員数は300名弱おり、その中には研究室・研究チームを主宰する研究管理職が含まれます。研究管理職が「10年の雇用上限」で雇止めになるとその研究室・研究チームは廃止となり、そこに属す職員は本人が「5年/10年の雇用上限」を迎えていなくても雇止めされます。その数も300名程度です。つまり、2023年3月末には最大で600名程度の研究現場の職員に雇止めの危険があります。このような大量の職員が一度に職を失うという労働問題だけではなく、研究現場からこのような大量の職員が抜けることは、理研の研究遂行上で大問題です。

更に、理研ネットでは5月20日付けで、内閣委員会、文教科学委員会、文部科学委員会、厚生労働委員会等に属す国会議員に対して「①無期転換を逃れる目的での雇止めを禁止するような労働法制の見直し、②労働契約法に則って無期転換した場合の人件費の増額分の確保」の要請を行いました。これを受けて、科学技術・イノベーション推進特別委員会(2021年5月27日)、衆議院厚生労働委員会(2021年6月11日)では理研の雇止め問題が取り上げられていることを述べておきます。

今回、理研で600人の雇い止めのうち300人は、研究室やチームのトップ(PI)が雇い止めになることに伴い、研究室が閉鎖されることで職を失うという。わずか2、3年でそのような状況になる人には大変気の毒だ。しかし、残りの300人は、研究者として10年働いており、外部に評価される何らかの成果を挙げていなければならない人たちである。

労働契約法改正に対する理研経営陣の対応は許されるものではなく、それまで理研の研究、事務を支えてきた多くの職員を、「業務があり、予算がある場合でも雇用の通算年数が5年、10年で雇止めする」ことは許されません。そもそも、多くの職員は、最初の契約時に、「5年/10年の雇用上限」は示されていませんでした。

理研が「労使コミュニケーションの齟齬に遺憾の意」を表明したことで、労組も都労委への申し立てを取り下げた。Aさんは和解に応じた理由をこう語る。

2021年3月末の「5年の雇用上限」による雇止めが目前に迫り、その後に、2023年3月末の研究系の「10年の雇用上限」による雇止めが控えている状況で、理研ネットは、理研の松本紘理事長に対して「①職員・研究員の使い捨てをやめること、②雇用上限を撤廃すること」を求める署名活動を2020年10月から展開しました。署名は5,717筆(ネット署名 611筆,紙での署名 5,106筆)集まり、要請文とともに2021年3月11日に理研に提出しました。この要請に対する理研の回答(3月25日付け)は、雇止めは仕方がないものだという、当事者意識のないゼロ回答でした。これを受けて理研ネットは、3月26日に理研を管轄する文部科学大臣に対して、「①雇用上限を撤廃するように理研に求めること、②労働契約法第18条に則って無期転換した職員の人件費の増額分を確保できるよう」に要請を行い、同時に記者会見を行いました。この記者会見では、理研の雇止めに限らず、大学、研究機関の不安定な非正規雇用の増加は博士課程進学率低下、日本の研究力低下の一因となっており、日本の研究力低下をくい止めるためにも雇止めを阻止することが必要であるとの主張も行っています。

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