嵐ツアーが入試影響? 生協が対策

北海道大学の後期日程入試が、思わぬ事態に直面している。2026年3月12日の試験日の翌日から、アイドルグループ「嵐」のラストツアーが札幌市内で開催されるため、北大受験生にも影響を与えるのではないかと懸念する声がSNS上で相次いだためだ。 【画像】北大生協が発表した嵐のラストツアー対策 北大生活協同組合では例年、前期・後期日程周辺のホテルや航空券を公式サイトで提供している。25年11月27日には、ラストツアー開催を受けての対策を発表し、後期入試の分の予約については、受験票の提出を求めることがあるとした。 ■北大「安心して受験に臨めるよう努めてまいります」 嵐は11月22日、北海道公演を含むラストツアーの日程を発表した。北海道では、札幌市内にある大和ハウスプレミストドーム（札幌ドーム）で、26年3月13日～15日にかけて開催する。 発表後、札幌市内のホテルの宿泊費や航空券代が高騰し、SNS上では、ライブ前日に実施される北大後期入試の受験生にも影響が出るのではないかと心配する声が相次いだ。こうした中、北大生協が提供するサポートにも注目が集まった。 北大受験生・新入生応援ページには、「北海道大学受験宿泊・フライト案内」というプランがある。そして、航空券とホテルがセットになった「フライトパック」と、ホテルだけを予約する「宿泊」の2種類が、それぞれ前期・後期日程ごとに用意されている。 こうした中、北大生協は11月27日に公式サイトで、「後期受験フライト宿泊のご予約についてのお知らせ」と題した文書を発表。26年3月13日からの「札幌市内大型イベント」の開催を受け、「受験生のためのフライト・宿泊確保のために受験票の提出を求めることがあります」とした。 11月22日以降に予約した人を対象とする。「大学入学共通テスト受験票」あるいは「北海道大学後期入試受験票」のPDFデータの提出を求めることがあるとした。 嵐のラストツアーを巡る状況について、北大はどのように考えているのか。 学務部入試課の試験実施担当は27日、「現在報道されている状況については把握しております。例年、受験生には早めの移動計画をご検討いただくようご案内しているところです。本学としては受験に必要な情報を適切に発信し、受験生やその保護者の皆さんが安心して受験に臨めるよう努めてまいります」と取材に答えている。

2026年度の北大後期日程と嵐ラストツアー札幌公演の日程が近接したことで、「北大受験生がかわいそう」「札幌在住者が有利すぎる」といった声がXを中心に広がっている。 たしかに、遠方から北大後期を受験する受験生にとって、ホテルや航空券の確保が例年以上にシビアになる可能性は高い。しかし、北大生協のフライトパックや受験宿泊センター、キャンセル条件を工夫した予約、宿泊エリアの分散、交通手段のリスク分散といった手段を組み合わせれば、「どうにもならない」状況になる前に打てる手は少なくない。 北大後期はもともと倍率の高い厳しい入試であり、共通テストの結果を武器にした実力勝負のステージである。そのラストチャンスを、宿泊や移動のトラブルで棒に振らないためにも、今のうちから情報を整理し、家族とよく話し合い、できる準備を一つずつ進めていきたい。 「試される大地」と呼ばれる北海道での受験は、ある意味で生涯忘れられない経験になるはずである。その経験が「最悪だった」ではなく、「大変だったけれど、あのときしっかり準備して乗り切った」と振り返れるものになるように、今日できる一歩から始めていこう。

今回のように、受験と大規模イベントが重なってしまうと、受験生本人以上に不安を抱えるのが保護者であることも多い。ここでは、親世代ができる具体的なサポートと、本人の心構えについて整理しておく。 まず保護者にできることとしては、情報収集と事務的な手続きのサポートが挙げられる。入試要項や募集要項、北大生協や航空会社・ホテルの情報をこまめにチェックし、予約の候補をいくつかピックアップしておく、キャンセル期限や支払い条件を一覧にまとめておく、といった作業は、受験勉強で忙しい本人では手が回りにくい部分である。 一方で、親が不安をストレートにぶつけてしまうと、受験生の方がかえって焦ってしまうこともある。「心配だからこそ、こういう段取りを用意しておいた」と、具体的な行動とセットで落ち着いたトーンを心がけることが、メンタル面での支えになる。 受験生本人にとっては、「自分でコントロールできること」と「できないこと」を切り分けて考える習慣が重要である。日程やイベントの重なり、天候などは、自分ではどうにもならない領域だと認識したうえで、「その条件の中でベストを尽くす」という意識に切り替えていきたい。 また、SNSで不安な情報ばかりを見続けていると、実際以上に状況が悲観的に感じられてしまう。最新情報をチェックするのは大切だが、「受験関連のSNSを見るのは1日◯分まで」など、自分なりのルールを決めておくと、勉強への集中力を保ちやすい。

宿が取れないかもしれない、飛行機が飛ばないかもしれない――こうした不安は、漠然と抱えているだけだと勉強にも集中しづらい。しかし、「最悪こうなったら、こう動く」というシナリオをあらかじめ家族と話し合っておけば、不安はかなり軽減される。 例えば、「第一候補のホテルが取れなければ第二候補・第三候補はここ」「飛行機が欠航したら、この時間帯の別便か、このルートのJRに切り替える」「どうしても前日入りできない場合は、大学や生協の窓口にすぐ連絡する」といった形で、できる範囲の“段取り”を書き出しておくとよい。 そのうえで、普段の勉強では「自分がコントロールできることだけに集中する」意識を持つことが、メンタルの安定につながる。日程の問題やイベントの重なりは、自分一人ではどうにもならない領域である以上、「愚痴を言いたくなったら5分だけ」と決めて、それ以上は目の前の問題集に戻る、といった割り切りも大切である。

北大生協、「嵐」ライブツアー開催で対策発表 入試課「報道されている状況については把握」

北大の生協もこれまで受験生用に一定のホテル宿泊枠を確保するなど対策を講じているということです。