
「ドル/円」を中心に前日の振り返りと当日の見通しをギュッとまとめて動画配信しました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
最新のマーケット情報まとめ
<ドル円相場に影響を与えた材料>
日銀観測報道
米新規失業保険申請件数
<ドル円は…>
日銀の追加利上げ観測報道を受けて155.66円前後まで下落する場面も見られたが、日本の補正予算を巡る報道や、米新規失業保険申請件数の結果を受けて156.74円前後まで切り返した。
<今日の注目材料>
野口日銀審議委員講演
米国は感謝祭休暇
<英文要約>
A speech by BOJ Policy Board member Noguchi is scheduled for today, and depending on his remarks, expectations for an additional rate hike at the December Monetary Policy Meeting could increase further. However, since the decline in USD/JPY remained limited even after yesterday’s speculative reports, the upside potential for the yen appears modest even if Noguchi delivers hawkish comments. It should also be noted that today is Thanksgiving in the United States, and both the U.S. Treasury and U.S. stock markets will be closed.
『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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今日のFX予想日銀は12月に利上げ 円買いの余地は 2025
高市政権となる場合でも物価高対策が焦点となる中、日銀は2026年1月までに追加利上げを実施する見通しです。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが続くなか、ドル円相場の150円超での上値余地や滞空時間は限定的とみますが、当面は高市政権下での政策スタンスの変化の可能性を見極める必要があります。2025年7月以降は米日金利差とドル円相場の乖離が目立っていますが、短期的には円を買いにくい地合いが続く可能性が高まりました。
想定以上の調整売りに直面し153.00を下方ブレイクする場合は、日足の一目基準線が推移している152.20台を視野に下落拡大を警戒したい。
1957年10月生まれ。81年東京大学経済学部卒業。88年ペンシルバニア大学ウォートン校経営大学院MBA取得。 81年日本銀行入行。調査統計局長、企画局長を経て、2012年5月理事。金融政策担当として、白川方明総裁の下で「2%物価安定目標」の採択に至る局面を担当。13年3月から国際担当として、G7やG20などの国際会議 で黒田東彦総裁を補佐。16年5月退職。 16年6月から現職。
ただ、日本銀行による12月利上げの可能性は大幅に低下しており、日本円との比較で安全とされる米ドルの需要がただちに弱まる可能性は低いとみられる。10月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨では、一段の緩和に慎重な参加メンバーが過半数を占めていたことが判明している。また、日本銀行の植田総裁、片山財務相、城内経済財政担当相は19日に都内で会談を行ったが、為替についての具体的な話は出なかったことから、市場参加者の間では外為市場で円買い介入が実施される可能性は低いとの見方が多い。短期間で大幅なドル高円安となったことから、ドルの急反落が一部で警戒されているものの、日米金利差の大幅な縮小は想定されていないため、ドル高円安の基調が短期間で失われる可能性は低いとみられる。
また日米の財務当局者の見解も重要であろう。ベッセント財務長官は、金融政策決定会合の直前である10月29日にSNSで「日本政府が日銀に政策余地を与える姿勢は、インフレ期待を安定させ、過度な為替レートの変動を回避する鍵となるだろう」と投稿。高市政権が日銀の金融政策に介入しなければ、日銀が利上げを決定することで円安を止めることが可能であると読み替えることができる。円高を促す意図が透けて見える。日本では、片山さつき氏が5月に「USD/JPYは120円台の時期が長かったので、120円から130円、120円台が実力との見方が多い」としたほか、財務相就任後の11月4日には最近の円安について「一方的で、急激な動きがみられている」と警戒感を滲ませている。日銀の利上げ見送りによって加速した円安を為替介入で抑え込むことの妥当性を米国側にどう説明するかは微妙であるが、日米財務省トップの考え方は大枠で一致しているように映る。
2025年末および2026年に向けてドル円相場の見通しを全般的に円安方向へ修正します。2025年末のドル円見通しは150円(従来140円)とし、2026年末見通しも140円(従来135円)に引き上げます。ユーロ円は180円を試す可能性を視野に入れる必要があります。
2022年以降の円安局面では、大きく分けて2度の介入実績があり、2022年9~10月はUSD/JPY150円、2024年4~7月は160円の攻防であった。次の為替介入はどれくらいの水準になるだろうか。「特定の為替水準を目標にしない」という原則を重視すれば、155円近傍での介入は憚られることになろう。155~160円水準における2度目の為替介入はこの原則に抵触する恐れがある。ただし、ここで言う「特定の為替水準」は、輸出競争力強化を狙う通貨安競争の防止を念頭に置いていることに留意する必要があろう。したがって、日本政府の円買い介入を受けて他国から批判が噴出するとは考えにくい。この点において為替の水準条件はさほど問題にならないだろう。
来週の米ドル・円は底堅い値動きを保つ可能性がある。米景気減速への懸念で12月利下げ観測が広がった場合、リスク選好的なドル買い・円売りは抑制される可能性がある。11月20日に発表された米9月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月分から増加したが、失業率は上昇。強弱まちまちの内容だった。また、ウィリアムズ米NY連銀総裁は11月21日、「近い将来の利下げにまだ余地がある」との見方を伝えたことから、12月利下げの確率は上昇した。
高市氏の勝利は市場にとって大きなサプライズでしたが、初動の株高・債券利回りのツイストスティープ化(期間の短い年限で低下し、期間の長い年限で上昇)・円安という反応は、概ね想定の範囲内でした。高市政権下では財政・金融政策がより拡張的になるとの見方が、長期・超長期債の売り圧力や日本銀行の利上げ遅延への期待を通じて、円安圧力を強めているとみられます。総裁選前は日銀の2025年10月利上げ観測が強まり、いったん円が買い戻されていた反動もあり、高市氏勝利を受けた円売りに勢いがつきやすかったといえます。
10月28日にはトランプ大統領と新首相の会談の可能性が報じられており、過度な円安は日米ともに望まない公算が大きいです。ベッセント財務長官から日銀のビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)を指摘する発言もあるなか、日銀の利上げシナリオが頓挫する可能性は低く、遅くとも2026年1月までに追加利上げとなる公算が大きいでしょう。これは2026年に向けた円相場の下支えになります。拡張的な財政政策への懸念が払拭され、日銀の利上げ継続が確認されれば、米日金利差の縮小と金利差へのキャッチアップが円高圧力として働くと予想します。



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