低迷するEV 戦略の見直し相次ぐ
調査会社フォーインの福田将宏氏は「米中の新興勢に後れを取らないためにも、日本勢は企業間の連携を深めてEV開発コストを分担する戦略が求められる」と指摘している。
もっとも、EV市場の低迷は一時的なものとの見解もある。INGのシニアセクターエコノミスト、リコ・ルマン氏は、CNBCに、「製品ポートフォリオの(EVへの)変更への投資は、次の10年間で市場における長期的なポジションを確保するために、続ける必要がある」と述べている。
世界的にEV販売は、充電施設の整備の遅れなどから低迷している。米国では環境対策に消極的なトランプ大統領の登場で、その傾向に拍車がかかっている。
これまで米国では、2023年11月に米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)が、中国NEVの米国への流入を懸念する文書を発出。「中国NEVが米国の主要貿易相手国を経由して米国内に輸入されることにも備える必要がある」として警戒感を強めていた。2024年4月には、米国商務省国際貿易局(ITA)と中国商務部が初めて商業問題ワーキンググループ(WG)を開催したが、その中でITAは、中国NEVとは明言しなかったものの、「中国ではさまざまな分野で生産過剰問題が生じている」と指摘。同月のイエレン米財務長官の訪中の際にも、李強首相や何立峰副首相との会談において「中国経済の特定分野で過剰生産能力が高まっている兆候がある」とし、その懸念に対処するための行動を促している。中国NEV輸出の急拡大や安価な価格設定が、中国政府の補助金や国内の生産過剰などによるものとして、中国側に是正を求めていた。
他社もEV戦略の修正を急いでおり、ホンダは計10兆円を計画していた関連投資を7兆円に減額。日産自動車は28年に予定していた新型EV生産を延期する。
欧州の自動車メーカーが世界の電気自動車(EV)市場で苦戦している。ステランティス、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツなどの主要ブランドが競合他社にシェアを奪われており、各社は戦略の見直しを迫られている。


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