配達員が不足 長時間労働も課題
置き配には、特別な設備を必要としない利点があるが、荷物の損傷・盗難、誤配達などのトラブルや伝票の個人情報が見えるなどプライバシーに関わる不安がある。共同住宅においては、通行の妨げになる懸念11もあり、オートロック式の場合は不在時に建物に入れず置き配ができないなどの課題もある。以上のような置き配の課題に対する解決策として「宅配バッグ」と「スマートキー」がある。
長時間労働になりやすい構造的な問題を抱え、他業種と比べて年間の収入額が低い傾向がある物流業に対して、ネガティブなイメージを持っている人も多いのが現状です。ネガティブイメージが強いと、新たに人材が流入してくる可能性は必然的に低くなります。
個人事業主のドライバーの長時間労働は問題視されてはいるものの、今のところ、法律で規制される動きはありません。それでも、「北商物流ではこれまで通り、ドライバーが健康で安全に働ける体制を維持していきたい」と瀬戸口さんは話します。
スマートキー(「デジタルキー」「スマートロック」などともいう。)は、電子式の鍵を使用して配達員などに対して鍵を開けるサービスである。自宅の鍵を開けるサービスや自家用車の鍵を開けトランクなどへ配達できるようにするサービスと、オートロック式共同住宅の建築物出入口の開錠のみを行い配達そのものは置き配によって行うサービスがあるが、日本では後者が主流である。特に宅配ボックスが設置されていなかったり、不足していたりするオートロック式共同住宅では、スマートキーが再配達削減策として期待される。
たとえば、指定日配達によって夜遅くに荷物を届けようとすると、配達員が業務を終えるのが深夜近くになります。長時間労働や重労働が常態化しており、労働者の健康や安全が懸念されています。
トラックドライバーの長時間労働が改善される一方で、長距離輸送など、今までどおりの輸送が難しくなり、荷主や一般消費者のニーズに応えられなくなる恐れがあります。 労働力が従来より制限される分、運べる荷物が少なくなり、企業の利益が減少する可能性があります。
宅配便もほぼすべての世帯、事業所が配達対象であり、非対面型配達の実現のためには、ある程度統一した設備の規格を示し、規制的措置を含めて設備の設置を勧奨していくことも必要ではないだろうか。
宅配ボックスは性能も様々であり、予算の関係から安い製品を選ぶと固定や防水性などが不十分な場合もある。特に戸建てでは希望する性能と異なる場合がある。こうした課題に対し、助成金などの設置支援策20や一般財団法人ベターリビングによる優良住宅(BL)部品認定制度21などがあるが、支援策や製品の性能認定を消費者にもわかりやすくすることが必要であろう。また、再配達を利用するから設置しないという層もあり、設置できる場所がある場合は支援策と合わせて設置を勧奨していくことも必要と考えられる。
瀬戸口敦 一台当たりの走行距離が短くなれば、業界全体としてこれまで通りの輸送能力が確保できなくなります。 現在の物流業界は慢性的な人手不足。ドライバーの長時間労働に頼っている部分が大きいので、時間外労働に上限規制が設けられることで、従来と同量の荷物が捌けなくなります。
トラックドライバーの残業時間が制限され、輸送能力の低下が懸念された「物流2024年問題」から約1年。懸念された通り、ドライバーの人手不足や負担の増加が続いている。物流大手では拠点の共同利用や連結トラックによりドライバー1人で2台分の輸送ができるシステムを導入。さらに大型トラックの自動運転の実証実験を進め、将来的なドライバーの負担軽減と特定条件下の無人運転を目指している。 そんな中、トラブルが相次いでいると言われるのが「ラストワンマイル」だ。ラストワンマイルとは拠点に集められた商品を購入者に届ける最後の区間を指す。ここでもドライバー不足や配達員不足が起こり、商品が指定の時間に届かなかったり、商品の扱いが雑だとしてクレームが増えるケースもある。「ABEMA Prime」では物流2024年問題の政府検討会メンバーでもあった流通経済大学教授の矢野裕児氏とともに、配達員不足の要因などを考えた。
宅配バッグ(「置き配バッグ」ともいう。)は、玄関付近にワイヤーでつないだ折り畳みバッグを設置し、配達員がバッグを広げて荷物を入れ、施錠するものである《図表7》。置き配に比べて、荷物を置く場所を明確にでき、ラベルも見えなくなり、ある程度は盗難や水濡れも防止することができる。このため、置き配を経験したことのない人や置き配に不安を感じている人に置き配を勧める場合や、置き配場所を明確にしたい場合には有効な手段といえる。
一方で宅配ボックスは、宅配バッグと比べると高価で、設置場所を選び、設置工事が必要となることが課題である。戸建て及び賃貸マンション・アパートでの設置率は低く、2022年に足立区が行った調査では分譲マンションでの設置率68.6%に対し、戸建て6.0%、賃貸マンション・アパート23.5%となっている《図表8》。同調査によると宅配ボックス未設置の世帯のうち、設置したいが53.3%、設置したくないが40.1%となっており、設置したくない理由としては「再配達を利用する」「設置費用が高い」が上位となっている《図表9》。2017年に三菱UFJ不動産販売が行った調査15では宅配ボックスが欲しいと思う回答者は70.5%いたが、設置にかけてもいいと思う費用の平均は12,428円だった。設置工事費を含むと宅配ボックスは数万円以上を要する16ため、予算感と費用の隔たりは小さくない。
今回、法規制を受けるのは年間960時間を超える時間外労働ですが、そもそもこの上限をぎりぎりでクリアするような業務はかなりの長時間労働です。十分な休養に充てる時間がとれず、心身ともに疲れ、事故のリスクが高まります。だから当社では、ドライバーの“働きすぎ”によるリスクを回避するため、力を入れているんです。
物流業界では、荷物の量や配送距離によって勤務時間が変動しやすく、長時間労働が常態化している実態があります。特にトラック運送事業では、早朝から深夜に及ぶ勤務や待機時間の発生が珍しくなく、生活リズムが不規則になりやすい点が大きな課題です。
この規制は、ドライバーの健康確保や長時間労働の是正を目的とする重要な取り組みですが、同時にドライバー1人当たりの労働時間が減少することによる輸送能力の低下や、労働時間減少に伴う収入減といった影響も懸念されています。


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