中国客が減っても 冷静な観光業界
京都・嵐山は18日、紅葉の季節を迎え、多くの訪日客らが訪れていた。土産物店の50代女性店長は「今は影響がないが、春節に訪れる中国人は多い。自粛の影響が長引いたら…」と心配する。別の土産物店を営む50代女性は「中国以外から来る人も多く、そこまで気にしていない」とした上で「訪日が禁止されたわけでもない。気にせずに来る人もいる」と冷静に語った。
しかし中国側のボルテージはその後どんどん高まり、高市政権が譲歩する雰囲気もない。そういうわけで、筆者の周囲でも「春節までかかることを覚悟している」という声が少しずつ大きくなっている。
そのうち中国人は同40.7%増の820万3100人。ゼロコロナ政策や処理水放出の影響で戻りが遅かった分、今年の伸び率は非常に高いが、それでも訪日外国人旅行者全体に占める割合は23%で、コロナ禍前の2019年の30%(総数3188万2000人、中国人959万4000人)から大きく低下している。
「団体旅行が〇件キャンセル」という報道はキャッチーであるが、中国人の訪日旅行の1割にすぎない。
たまたまではあるが、知人の中国人男性(40代)が訪日旅行自粛呼びかけの数日前に日本旅行の航空券を予約したので、どうするか聞いてみた。彼は「旅行予定の1月下旬までまだ2カ月あるので、しばらく様子を見る」とのことだった。
築地場外市場(中央区)で飲食店を経営する40代男性は「中国人が減ったという感じはなく、営業への影響もほとんどないが、春節に変化があるのではないか」と不安そうな表情を浮かべた。奈良県大和高田市から観光に来た大学生の男性(26)は「中国人観光客が減ると、経済へのダメージも大きいのでは」と懸念した。
東京・浅草を歩く20代の中国人カップルは、自粛要請を知りながらも17日に来日した。男性は「日本は治安が良いので特に気にしなかった。今後の情勢は注視したいが、まずは旅行を楽しみたい」と笑顔で話した。
日本のインバウンドにとって中国人は重要なターゲットではあるが、伸びしろは違うところにある。
第二に、中国の大型連休が近づくと「爆買い」について聞かれる筆者がいつも答えていることではあるが、ツアー客が爆買いをするというような中国人の旅行スタイルは過去のものになっている。
カギを握るのは中国依存からの脱却だ。日本政府観光局によると、今年1~10月の訪日客数は3554万7200人。国・地域別では中国が約23%で首位だが、2019年の約30%からは減少した。
訪日旅行の縮小を見越し、中国国際航空など複数の航空会社が来月以降の日本路線の減便に動いている。
高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に反発し、中国政府が11月14日に日本への渡航自粛を呼びかけてから約半月が経過した。一部では団体客のキャンセルなど影響も出ているが、業界は比較的、冷静に受け止めている。インバウンド(訪日客)の中国依存からの脱却も進む。
これまでの報道を見ると、中止に・キャンセルになっているのは団体旅行や自治体や団体の交流事業だ。中国関連の仕事先に影響をヒアリングしたところ、とある中国IT大手の日本メディア向け説明会が、立ち消えになっていた。関係者は「メディアから日中関係の質問が出るのが嫌で取りやめたのかもしれない」と話していた。
第一に、訪日外国人旅行者に占める中国人の存在感はかつてほど圧倒的なものではない。
では、中国人の訪日旅行の9割を占める個人旅行は現在どうなっているのか。この3連休で観光地を取材したメディアの報道では、「中国語が減っているような気がする」と商店主の言葉があったり、気にせず浅草寺を観光している中国人がいたり、結局は「よく分からない」ようだ。


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