会社に猫 求人で困らぬ 招き猫
20代の終わりに転職して職場が渋谷になり、その会社で今も働いているけれど、始発から終点に通えるアドバンテージはかなり大きい。しかも所要時間はたったの18分だ。
毎日悲しんでいるだけのわたしのことを心配し、多くの人がこの家を連日のように訪れてくれた。日当たりが極端に悪くジメジメした築45年ほどの2階建ての家。ある日来た会社員時代の同期・I君がこう言った。
ときは就職氷河期の終わりごろ。苦労してなんとか新卒入社した会社では、毎日のように深夜まで残業する日々が続いていた。間に合わず家に持ち帰って仕事することも珍しくなかった。
「おい、中川、お前、邪気が出てるぞ。この家に邪気がこもっていて、それがお前にうつってしまってる。この家から早く出た方がいい。オレが住む代々木八幡に来い! あそこはなぁ、新宿から渋谷方面に山手通りという大動脈がガーッと走り人々の行動的な“気”が流れ、代々木八幡宮の良い“気”が集まってくる。そして、明治神宮からの“気”が井の頭通りからやってくる。それが合流するのが代々木八幡駅からほど近い富ヶ谷の交差点だ。オレはここに引越してから会社を辞めて独立し、うまいことやってる。お前も絶対に代々木八幡に来い!」
「すごく癒やされる」オフィスで広がる“ペット同伴勤務”実際に働く社員たちが語る「リフレッシュと求人効果」
ネットニュース編集者、フリーライター。株式会社ケロジャパン代表取締役。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
飲んだ後に立ち寄ることの多い南口の喫茶店「ゆりあぺむぺる」も、なくなったら困る店の1つだ。会社の飲み会など付き合いで飲んで帰ってきた後、最後に1人でコーヒーが飲みたくなる。そんなとき、駅前で深夜0時まで営業しているこの店は都合がよかった。
34歳、名前で仕事を取る同世代の同業者が出てくる中、わたしはまったく目立たない存在だった。さて、このまま自分はフリーでやっていけるのか……。そろそろ会社員に戻るか……そんなことを考えていたタイミング。そしてそんな逡巡のさなか、池ノ上の一軒家で一緒に住んでいた女性が亡くなった。
入院・手術を経て体調も回復し、渋谷の会社に転職したので以前ほど頻繁には来れなくなったけど、なくなってほしくない店なことには変わりない。


コメント