自動運転で先行 JR九州の今後は
また、同省令の解釈基準では、「自動運転をするための装置(中略)は、自動列車制御装置(注釈:ATCのこと)を設けた鉄道に設けること」としています。そのため、これまで自動運転を導入してきた路線は全てATCで整備されており、逆にATSを設置した路線で自動運転を実施することはありませんでした。
ジャパンモビリティショー2025において、トヨタが子ども向けの自動運転車「TOYOTA Kids mobi」を発表した。子ども専用の自動運転車はおそらく世界初だ。
海外では、Waymoがますます勢いを増しているようだ。この勢いが続けば、来年中に現在の2倍以上の都市・エリアで自動運転サービスを展開することになる。
そこで、2019年に発表した中期経営計画に盛り込んだのが、「技術革新をとらえた事業の進化」。IoTの活用や運行管理のAI化、省人化などとともに、自動運転の実現を目指したのです。
【参考】詳しくは「高市政権、「自動運転庁」発足か?国際競争激化で現実味」を参照。
鉄道の自動運転の分類では「2・5」と位置づけられ、JR九州は24年3月から香椎線(福岡)で本格運用していた。ボタンを押すだけで出発や停止を自動制御でき、運転士の免許がない乗務員が乗るのが特徴。
「JR東日本グループ サスティナビリティリポート2019」によれば、山手線で実施した「ドライバレス運転」の試験は、「緊急時の対応などを考慮して係員が乗車する自動運転」を目指すもの。この点はJR九州と同一です。ただし、JR東日本が試験したシステムは、山手線のATCや運行管理装置を活用したもので、ATSをベースとしたJR九州のものとは別物です。
JR九州では、将来的には「運転士以外の係員が前頭に常務する自動運転の実現」を目指すとしています。運転士になるには、国家資格である「動力車操縦者運転免許」の取得が必要になりますが、この取得を目指す教育には、多大な費用が掛かります。この乗務員を運転士ではなく「係員」とすれば、免許なしで乗務できる可能性があります。加えて、異常発生時には即座に停止操作を取れる体制を整えることで、コストと安全の両立を図るのが、JR九州の狙いのようです。
これまで副都心線などで実施されてきた自動運転は、乗務員による自動運転開始などの操作が必要な半自動運転(STO)としてGoA2に、先頭部以外に乗務員が乗務する舞浜リゾートラインは、避難誘導などを担う添乗員付きの自動運転(DTO)としてGoA3に、ポートライナーなどの完全な自動運転(UTO)はGoA4に、それぞれ当てはまります。
【参考】詳しくは「自動運転車向け保険、「10兆円の世界市場」形成へ」を参照。
有人運転路線の自動運転化については、JR東日本も山手線で実証試験を実施しました。
JRの場合に限りますが、基本的には、ATCはレールから情報を連続で伝送するもの、ATSは地上子から情報を伝送するもの、と言えます。また、ATSでも安全性は確保されていますが、ATCではATSより高度な列車制御が可能で、安全性も上、という見方がかつては一般的でした。
続いて2027年末までに、813系を対象に鹿児島本線・門司港~小倉と日豊本線・小倉~宇佐でレベルGoA2.5の自動運転の導入を目指す。GoA2.5は運転士の資格を持たない車掌が列車の先頭部に乗務して緊急停止操作のみ行い、それ以外は自動運転で走行する。
鉄道の自動運転は、国際公共交通連合(UITP)によりGoA0からGoA4までの5段階でレベル分けされています。
香椎線での実証試験は、12月24日に開始。JR九州では、運転士以外の係員が前頭に乗務する自動運転の実現まで継続し実施するとしています。また、当初は対象車両を1編成のみとし、実施区間も香椎~西戸崎のみとしていますが、将来的には対象車両の拡大、宇美~香椎間での自動運転実施なども目指すとしています。


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