
12月に入り1日の日経平均は5日ぶり大幅反落。終値は950円安の49303円。米国株高を受けて買いが先行したものの、すぐに上値が重くなってマイナス転換。半導体株や電線株などAI関連に大きく売られる銘柄が多く、9時台半ば辺りからは鋭角的に下を試しにいった。10時過ぎに900円超下げたところでいったん売り圧力が和らいだが、後場に入ると下げ幅を4桁に拡大。植田日銀総裁の講演を受けて12月の利上げが急速に意識され、東京時間で円高も進む中、深押ししても買いは手控えられた。終値では4桁安は回避したものの、安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で5兆3800億円。業種別ではプラスは銀行と石油・石炭の2業種のみで、保険が小幅な下げにとどまった。一方、電気・ガス、鉱業、不動産などが大幅に下落した。12月の日銀の利上げが意識されたことから、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行が逆行高。半面、国内長期金利上昇に対する警戒から、三井不動産や住友不動産など不動産株の下げが大きくなった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり299/値下がり1268。群馬銀行、西日本FG、第四北越など地銀株の多くが上昇。3Qの好決算が確認できたトリケミカルがストップ高まで買い進まれた。上方修正を発表したミナトHDが急騰。AI関連が弱かったものの電線株は濃淡あり、証券会社が目標株価を引き上げたSWCCは5%近い上昇。住友電工も大きく上昇した。
一方、フジクラが9%近い下落。アドバンテストやキオクシアなど半導体株の一角が派手に売られた。日立、ソニーG、パナソニックなど電機株の多くが大幅安。電力株が軒並み安となっており、中でも東電HDや北海道電力などの下げが大きかった。
本日、グロース市場に新規上場したBRANUは高い初値をつけたものの、全体の地合いが悪い中、終値は初値を大きく下回った。
日経平均は大幅安。日銀の12月利上げを織り込みにいく流れとなり、金融株以外はほぼ下落した。ここからは12月に日銀の利上げがある前提で相場は動いていくと思われる。18~19日の金融政策決定会合まで下げが続くかどうかはともかく、FOMC(9~10日)の利下げを期待した買いは入りづらくなった。米国が利下げで日銀が利上げなら、ドル円は円高(ドル安)に振れやすくなる。きょうの大幅安は仕方ないとして、あす以降、金融株以外の内需が持ち直してくるかどうかが注目される。円高が進行しても内需株が強く買われるのであれば問題はない。ただし、きょうのように金融株しか買われない状況が続くようだと、年末だけに手じまい売りが出やすくなる点には注意を要する。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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