【動画】高市トレード失速!? 米金利急落と信用不安でドル円急変【外為マーケットビュー】
動画配信期間:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
最新のマーケット情報

お知らせ:YouTubeでも外為マーケットビューを配信中
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
ドル円150円割れ米金利急低下と信用不安 米中対立の波紋広がる 2025
総じてみれば、トランプ大統領の強烈な口先介入にもかかわらず、米金利やドル相場は基本的には高止まりしたままであったと言えるだろう。
また、日米の関税合意は世界的な緊張感の緩和につながる可能性がある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は23日に「米国と欧州連合(EU)が15%関税での合意に近づいている」と報道。米国のスコット・ベッセント財務長官は28、29日に中国との間で関税協議を行う。こうした流れがトランプ氏が火をつけた貿易戦争の鎮静化につながれば、世界経済の見通し不安を背景として安全資産としてのドルを買う圧力が和らぐと考えらえる。
また、米経済についても先行き不透明感が強まっています。米経済指標をつぶさに見ると、トランプ関税の影響が少しずつ出始めている印象です。4-6月期の米GDP(国内総生産)では家計部門などで減速がみられています。8月1日からは関税率も引き上げられており、インフレの高進を受けて米国景気の下押し圧力は強まりやすいでしょう。FRBが利下げ方向であるのは間違いなく、そうした点を踏まえると、ドル円相場の上昇トレンドが中長期的にも続く(ドル安局面は終わった)と考えるのは時期尚早と言えます。
この発言を受けて、ドル/円は1ドル=145.15円近辺まで円安に行きましたが、それ以上の勢いはなく145円を挟んだ小動きで推移しています。合意内容を持ち帰って両首脳の判断待ちとなっていることから動きづらいようです。
最近の変化として、一応留意しておきたいのは、日本の金利の影響です。日本の金利は長年にわたって0%近くを底ばいが続いていました。このため、ドル/円の予測分析では、日本の金利を無視して、米金利だけ見ればOKとしてきました。
ドル/円は、米金利次第ではあっても、現時点で「2025年の金利・為替はこうなる」という特定の予想に肩入れするのは困難です。市場はもとより、金融政策をつかさどるFRB(米連邦準備制度理事会)も分からないのですから、市場が織り込む金利観に是々非々で対応するのみです。
「ズバリ予想」でないと物足りなさを感じる個人投資家もいるでしょうが、予言のような「ズバリ予想」は技術的にあり得ません。相場シナリオについて、信頼に足る根拠をなお一層保持しえないというのが、筆者の一貫した2025年観です。
一方で予想を大きく下回るなど雇用情勢の悪化が確認される内容となれば、FRBの金融政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るリスクも意識されるでしょう。その場合は米国株式相場が下落し、ドル買いの勢いも削がれると考えています。
今週は、9日、10日にロンドンで行われる米中閣僚級協議で協議進展への期待からドルは1ドル=144円台で堅調な動きとなっています。11日の東京早朝、ラトニック米商務長官は「米中協議ではジュネーブ合意実施の枠組みで合意」と述べ、「トランプ大統領が承認すれば実施され、レアアースを巡る問題は解決されると見込む」と発言しました。
ただし、米景気・インフレの先行きについて予断を持ちにくいこと、トランプ2.0の政策は表明も実行も相場にとってかく乱的であることから、現時点では、ドル/円が160円に向かうのか、140円に向かうのかについて特定のシナリオに肩入れすることはできません。
金利と為替の相関分析ができる人なら、双方の水準感を結びつけることは簡単でしょう。分析に通じていない方も、図1に照らしてみれば、米利下げ回数がさらに増えて、長短金利が3%割れをうかがうならドル/円は130円割れもあり得るし、コロナ禍時のように1%未満に至るなら110円も…と、ざっくり水準感をイメージできるでしょう。
ただし、足元のドル高の動きは持続せず、中長期的には再び円高・ドル安のトレンドに戻ると見ています。日銀は金融政策決定会合に合わせて公表した「展望レポート」で、物価の見通しを引き上げました。野村證券では2026年1月の利上げがメインシナリオですが、足元の状況を踏まえると2025年10月の決定会合で利上げに踏み切る可能性もやや高まっており、ドル円相場の下押し要因となるでしょう。
このためドル円相場は今後も円高の流れが強まることが想定されそうだ。ブルームバーグによると、ドル円相場は参院選公示前の1日には1ドル=142.68円をつけており、145円を大きく割り込む円高も考えらえる。また、ドル円相場の背景となる日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は24日の終値では2.797%ポイントで、4月3日(2.673%ポイント)以来の小ささとなっており、円高圧力の強まりを裏付けている。
ドル円相場が円高方向に動いてきた背景には、日本経済の不透明感が和らいできたことがありそうだ。149円まで進んだ円安は、3日に公示された参院選で与党敗北が日本の政局の不安定化につながるとの懸念が出たことや、トランプ氏が7日に日本を含む14か国に8月以降の相互関税の税率を一方的に通告したことが要因。しかし参院選は与党が過半数割れしたものの、石破首相は投票日翌日の21日には続投の意思を正式表明。さらに23日朝には日米の関税協議での合意が発表された。いずれもドル円相場では日本経済への過度な懸念を和らげる円高要因として受け止められた。
日本衰退論や国際収支論など、日本の事情だけ強調する理由で、ドル/円相場を捉えることは困難であることを、改めて強調しておきます。


コメント