大阪で相次ぐ地面師事件 背景
福田容疑者は今月4日、昨年2~3月に大阪市中央区道頓堀などの土地と建物の売買代金名目で、不動産会社の40代男性2人から計約14億5000万円を詐取した疑いで逮捕された。
薬物対策については、薬物事件の再犯防止に向け、厚生労働省が、執行猶予判決を受けた初犯者にカウンセリングなどの薬物乱用防止プログラムを直接指導する専門職員を全国の麻薬取締部に配置する方向で検討しているとの報道がありました。こうした専門職員の麻薬取締部への配置は初めてであり、プログラムを受ける対象として、覚醒剤使用など薬物事件で摘発され、保護観察が付かない執行猶予判決を受けた初犯者(これまでの統計では毎年3,000人程度いるということです)を想定しており、医療機関や地域との橋渡し役として、社会復帰を促す役割を持たせるようです。また、薬物やギャンブルの依存症対策を後押しするため、医療、福祉機関などでつくる大阪府のネットワークに犯罪加害者の家族を支援するNPO法人が加盟したという報道もありました。依存症の当事者が事件を起こした場合、治療や再犯防止など立ち直りには家族のサポートが欠かせないと大阪府が判断したもので、自治体と加害者家族支援団体の連携は全国でも珍しいということです。
不動産価格の高騰に沸く大阪で、地面師とみられるグループが相次いで逮捕された。話題となったドラマさながらの手口で、一等地の土地や建物が次々と狙われていた。
国税当局が海外に多額の資産を持つ富裕層の税逃れ対策(租税回避行為対策)を強化しています。国際税務に通じた精鋭集団の富裕層PTは、平成26年に東京、大阪、名古屋の3国税局に設置されましたが、昨夏からは全国12の国税局・事務所に拡充されています。さらにグローバルでの税逃れ対策の切り札と期待されているのが世界各国の口座情報を自動的に交換して資産を「ガラス張り」にする「CRS」(共通報告基準)であり、今般、日本でもスタートし、早速、4カ国・地域の金融機関にある日本人の口座情報550,705件(速報値)を入手したことが明らかとなりました。これまで租税条約を発効した国や地域とは、利子や配当、不動産賃借料、給与・報酬などの情報を交換してきたものの、口座情報は初めてであり、海外に所有する資産を透明化できるようになり、相続税逃れなどもチェックできるようになりました。そして、この中には、タックスヘイブンの情報も含まれており、富裕層や企業の税逃れ対策に効果が期待されています。タックスヘイブンでの節税実態を暴いたパナマ文書問題では、各国の税務当局がグローバル経済に対応できていない実態が浮き彫りになりました。富裕層の税逃れを放置すれば、税制そのものへの信頼も揺らぎかねず、国税当局は富裕層の海外資産の監視に本腰を入れている状況です。タックスヘイブンの問題については、本コラムでもたびたび指摘してきましたが、課税逃れの観点にとどまらないタックスヘイブンの問題の本質を考えるうえで、かつて、金融庁関係者から、BVI(英領バージン諸島)のファンド等を引受先にしているファイナンスは「不公正ファイナンス」である可能性が高い(さらには、「P.O BOX 957 Tortola BVI」とする私書箱を住所に使っている場合はよりその可能性が高い)との指摘がなされていた点は知っておきたいところです。このような不公正ファイナンスの引受け手である海外のファンドの「真の所有者(beneficial owner)」は、実際は日本にいて、反社会的勢力とつながっていることも多い(いわゆる「黒目の外人」と呼ばれている人たち)とも言われています。今後、CRSや、パナマ文書・パラダイス文書等の分析、その他新たなリーク等により、タックスヘイブンに設立された夥しい数のペーパーカンパニーの「真の所有者」や「複雑な送金経路と資金移動の実態」が解明されること、そして、そこに関わる怪しい人脈の解明がすすむこと(過去の事案・悪用の痕跡であったとしても、そこに登場した人物や団体・組織の関連を知ることは極めて有用な情報となります)を期待したいところです。なお、関連して、EU財務相会合は、タックスヘイブンのブラックリストからナミビアを除外したと報じられています。同国が税制と運用の変更を約束したためで、これにより、EUの基準に非協力的としてブラックリストに指定されているのは、サモア、トリニダード・トバゴ、米領サモア、グアム、米領バージン諸島の5カ国・地域となりました。なお、このブラックリストは昨年12月、企業や富裕層による様々な脱税が明らかになったのを受けて策定され、当初は17カ国・地域が含まれていましたが、対象国が急速に縮小していることから各国が提供している租税回避手段の全容を示していないとの批判や、ブラックリスト指定国・地域への制裁について、EU加盟国の間で合意が得られていないといった課題が残されています。
同課は4日、虚偽登記後の昨年2~3月、大阪市中央区の道頓堀、東心斎橋、宗右衛門町といった繁華街にある土地と建物の売買代金名目で、40代男性2人から計約14億5000万円を詐取した疑いで福田容疑者を逮捕した。
大阪で発生した今回の事件も、現在のところ手付け金詐欺とみられている。
登記などによると、この法人は大阪府岸和田市にある金属加工液の製造販売会社。事件直前の昨年1月、福田容疑者が代表に就き、翌月には事件で売買された土地と建物を実際に所有する不動産会社と同じ社名に変更され、業務内容も不動産売買や賃貸業に変わった。
大阪市阿倍野区にあるマンションの管理者になりすまして売買代金の手付金440万円をだまし取ろうとしたとして、不動産会社社員の男性(29)ら2人が2024年12月、詐欺未遂などの疑いで大阪府警に逮捕された。
起訴状などによると、福田被告は他のメンバーと共謀し昨年2~3月、大阪市内のビル所有会社の代表者になりすまし、同社がミナミに所有するビル3棟などを売却すると別の不動産会社2社に偽り、代金として計約14億5千万円をだまし取ったとされる。
事件に先立ち、2023年、被害女性の居住する地域の役所で、容疑者の男性に対し、被害女性の住民票の写しが交付されていた。大阪府警によると、男は窓口で女性の債権者を装い、偽造された数十万円の借用書を提示して手続きしていたことが判明したという。
愛知県では、平成29年度に引き続き、今年度も、はがきによる不当請求に関する相談が多数寄せられており、6月29日には「法務省管轄支局 民間訴訟通達センター」を、7月26日には「法務省管轄支局 訴訟最終告知通達センター」を、不当請求を行う悪質な事業者として公表しており、10月からは「地方裁判所管理局」の名称により、不当請求を行う事業者に関する相談が急増していることから今回が3例目となる公表に踏み切ったものです。なお、報道によれば、県への相談は県内で昨年度、約6,100件寄せられており、今年度も10月までに約4,600件に上っているということです。さらに、10月に入り、「地方裁判所管理局」に関する相談が50件を超えたということです。なお、こうした手口が増えている背景について、グループが自ら電話をかけるより、捕まるリスクが低いと思っているのではないかとの指摘があります。これまでは、電話役の複数の「かけ子」がマンションなどの一室に集って、多数の電話回線から手当たり次第に電話をかけるケースが多く、電話の履歴をたどる捜査で逮捕に至る例も多かったといいます。しかし、はがきを送って電話を待つこの手口であれば回線は一つで足り、詐欺グループ内のメンバーも少なくて済むことから摘発されにくい可能性があるのはそのとおりかと思います。はがきによる特殊詐欺は古典的な手法であり何度がブームとなっていますが、一方で、摘発逃れの観点からはいまだ有効であることから爆発的に拡がっているとも言えます。なお、当然のことながら、連絡すると、個人情報や金銭の支払いを要求されるので、心当たりのない請求は無視することが重要です。


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