
「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
『最新のドル/円相場を解説』
最新のマーケット情報まとめ
<市場動向>
・自民党と維新の連立政権樹立により、ドル円相場が切り返しの動きを見せている
・本日の高値は151円20銭で、ニューヨーク市場でこの水準を試せるかがポイント
<テクニカル分析のポイント>
・60分足チャートで下降トレンドラインとフィボナッチ・リトレースメントが151円前半
・151円前半を明確に突破すると、逆三尊を形成して上昇の可能性
・ネックラインは151円20銭〜40銭付近、突破すれば152円、さらに153円も視野に入る
<注目イベント>
・明日の首班指名選挙がメインイベント
・高市首相が誕生すれば円売りが強まり、152〜153円も見える可能性
・ただし、連立政権はすでに織り込み済みの可能性もあり、円売りは限定的になる可能性も
<日銀関連の動き>
・本日12時台:高田日銀審議委員の発言(利上げに前向き)で円買いに反応
・17時台:日銀の2025年度GDP小幅上方修正の可能性で円買い
・明日の注目:氷見野日銀副総裁の講演
・週末:日本とアメリカのCPI発表
・現在、OIS市場では10月利上げ観測は3割弱
・サプライズ利上げを避けるため、実施する場合はリーク記事が出る可能性
<その他のリスク要因>
・米中貿易摩擦:トランプ大統領が習近平国家主席との会談を予定しており、一旦警戒感は緩和
<結論>
自民党と維新の連立政権樹立により、ドル円は一旦切り返したものの、明日の首班指名選挙が最大の焦点。高市首相誕生で円売りが強まる可能性がある一方、すでに織り込み済みの可能性も。テクニカル的には151円20銭〜40銭のネックライン突破が上昇の鍵。氷見野日銀副総裁の講演や週末のCPIも注目。アメリカ経済の懸念材料も引き続き警戒が必要。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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ドル円が148円台へ下落する場合は 50日線の攻防が焦点となろう
実数として日米長期金利差では説明できない為替変動部分がどのくらいあるかを試算してみた。それが直近(10月8日時点)では+8.6円もあった(図表2)。日米長期金利差でドル円レートを説明する回帰式をつくり、推計地と実際のレートとの残差が、「政治要因+金融緩和予想」だと考えた。つまり、現状、高市総裁になってから、政治的混乱+金融緩和予想で+8.6円も円安が進んでいることになる。
ドル円が153.27レベルを完全に上方ブレイクすれば、154.00のトライが焦点に浮上しよう。このラインを今週の上限と想定したい。4時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準153.65レベルの上方ブレイクは、154.00ラインを目指すサインと捉えたい。
<結論>自民党と維新の連立政権樹立により、ドル円は一旦切り返したものの、明日の首班指名選挙が最大の焦点。高市首相誕生で円売りが強まる可能性がある一方、すでに織り込み済みの可能性も。テクニカル的には151円20銭〜40銭のネックライン突破が上昇の鍵。氷見野日銀副総裁の講演や週末のCPIも注目。アメリカ経済の懸念材料も引き続き警戒が必要。
今後、さらに円安が進むかどうかは、①公明党との連立協議、②組閣・首班指名、③日銀会合・米FOMC、が目先の焦点になるだろう。臨時国会が開かれれば、与野党の協議が行われる。今月下旬にはトランプ大統領の来日もある。高市総裁がAPECでアジアの首脳と対面したとき、右派的な思想への警戒を解きながら関係構築を進められるかも問われる。当初の内閣支持率が公表されて、その結果を見ながらメディアは、日本は短命政権が続きそうかどうかを一斉に書き立てるだろう。今後、目先1ドル153~155円への向かっていく可能性は十分にある。ドル円レートが円安に動かされることは、そうした危機感のバロメーターの1つとみられるであろう。日本がこの難局を乗り切るには、高市総裁がより現実路線にシフトして、政治的な安定感をアピールすることだ。
ドル円レートのレンジは、目先1か月間は1ドル155円までと広い幅でみておく必要があると思う。過去のレンジの天井は、1ドル158円と161円であったが、現時点ではそこまでは行かずに済むとみる。多分、158円に近づけば、政府は為替介入を示唆するだろう。
ドル円が148円台へ下落する場合は、50日線の攻防が焦点となろう。この移動平均線の下方ブレイクは、サポート転換の可能性がある148.00のトライを想定したい。すぐ上の148.15レベルは、レポート掲載時点での10月の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる(4時間足チャートを参照)。148.00を今週の下限と想定したい。
高市総裁の政治姿勢などに反応して、為替レートが大きく動く展開は、11月前半くらいまで続くであろう。政治的混乱が大きくなるほどに円安は進む。また、日銀の利上げにストップをかけるような言動があれば、それも円安要因になる。この間、FRBは利下げに動く可能性があるので、一方でドル安圧力も生じる。ドル円レートは、政治リスクが大きい場合は、米利下げによる円高圧力を飲み込んでしまう可能性もある。今後、あと1か月が正念場になるとみられる。
自民党総裁選の後、円安が進行している。ドル円もユーロ円も驚くべき円安である(図表1)。特にユーロ円は、1999年の発足以来の円安水準から、さらにフリーフォールのように円が安くなって1ユーロ170円台後半に突入している。ドル円も、これまでの140円台後半の膠着から150円台前半のレンジにシフトした。やはりショッキングだったのは、公明党が与党連立を見直す構えを示したことだ。公明党のメンバーの政治姿勢分布は、もっと穏健・中道だろう。また、裏金問題後の政治資金改革についても、もう終わった話ではなく、まだ十分ではないという意見も根強い。政治資金に関しては、公明党と高市総裁の認識は距離がある。これが、さらに野党との連立拡大に進むと、自民党と公明党の間には強い遠心力が生じると想像させている。高市総裁になって、日銀に対する風当たりが強くなりそうなことだけが円安要因ではない。与党内の不安、つまり政治不安が円安を後押ししているのだ。
高市政権の基盤の脆弱さや米ドル安がドル円の下落要因となる場合は21日線、149.00レベルそして148.00レベルの維持が焦点となろう。




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