
「ドル/円」を中心に前日の振り返りと当日の見通しをギュッとまとめて動画配信しました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
最新のマーケット情報まとめ
<ドル円相場に影響を与えた材料>
第104代高市早苗内閣総理大臣誕生
日銀 観測報道
<ドル円は…>
高市内閣への期待と日銀の10月利上げ観測後退で、一時152.17円前後まで上昇
<今日の注目材料>
テスラ決算
<英文要約>
Expectations for Prime Minister Takaichi’s new administration and its commitment to “responsible, proactive fiscal policy” continue to exert downward pressure on the yen, pushing USD/JPY up to around 152.17 at one point. In addition, a retreat in expectations for a Bank of Japan rate hike at the October policy meeting has further contributed to yen weakness. Today, optimism surrounding the Takaichi Cabinet is likely to continue providing support for the dollar-yen pair. Moreover, a series of strong U.S. corporate earnings reports are acting as an additional tailwind for the dollar. However, concerns over the prolonged U.S. government shutdown and persistent uncertainty surrounding U.S.-China trade relations may limit the dollar’s upside. As a result, the pace of USD/JPY appreciation is expected to remain gradual.
『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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今日のFX予想高市首相誕生 ドル円は底堅い動き 2025
ドル円レートのレンジは、目先1か月間は1ドル155円までと広い幅でみておく必要があると思う。過去のレンジの天井は、1ドル158円と161円であったが、現時点ではそこまでは行かずに済むとみる。多分、158円に近づけば、政府は為替介入を示唆するだろう。
高市総裁の政治姿勢などに反応して、為替レートが大きく動く展開は、11月前半くらいまで続くであろう。政治的混乱が大きくなるほどに円安は進む。また、日銀の利上げにストップをかけるような言動があれば、それも円安要因になる。この間、FRBは利下げに動く可能性があるので、一方でドル安圧力も生じる。ドル円レートは、政治リスクが大きい場合は、米利下げによる円高圧力を飲み込んでしまう可能性もある。今後、あと1か月が正念場になるとみられる。
高市氏の勝利は市場にとって大きなサプライズでしたが、初動の株高・債券利回りのツイストスティープ化(期間の短い年限で低下し、期間の長い年限で上昇)・円安という反応は、概ね想定の範囲内でした。高市政権下では財政・金融政策がより拡張的になるとの見方が、長期・超長期債の売り圧力や日本銀行の利上げ遅延への期待を通じて、円安圧力を強めているとみられます。総裁選前は日銀の2025年10月利上げ観測が強まり、いったん円が買い戻されていた反動もあり、高市氏勝利を受けた円売りに勢いがつきやすかったといえます。
2025年末および2026年に向けてドル円相場の見通しを全般的に円安方向へ修正します。2025年末のドル円見通しは150円(従来140円)とし、2026年末見通しも140円(従来135円)に引き上げます。ユーロ円は180円を試す可能性を視野に入れる必要があります。
高市政権となる場合でも物価高対策が焦点となる中、日銀は2026年1月までに追加利上げを実施する見通しです。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが続くなか、ドル円相場の150円超での上値余地や滞空時間は限定的とみますが、当面は高市政権下での政策スタンスの変化の可能性を見極める必要があります。2025年7月以降は米日金利差とドル円相場の乖離が目立っていますが、短期的には円を買いにくい地合いが続く可能性が高まりました。
高市政権の発足が日銀の利上げ時期を遅らせるかどうかも焦点です。高市氏は総裁就任後の記者会見で、金融政策の責任は政府にあり、政府と日銀が足並みをそろえる重要性を強調しました。直近では金融政策運営への具体的な言及はなく、日銀批判もしていませんが、少なくとも10月利上げのハードルは上がった印象です。
実数として日米長期金利差では説明できない為替変動部分がどのくらいあるかを試算してみた。それが直近(10月8日時点)では+8.6円もあった(図表2)。日米長期金利差でドル円レートを説明する回帰式をつくり、推計地と実際のレートとの残差が、「政治要因+金融緩和予想」だと考えた。つまり、現状、高市総裁になってから、政治的混乱+金融緩和予想で+8.6円も円安が進んでいることになる。
10月28日にはトランプ大統領と新首相の会談の可能性が報じられており、過度な円安は日米ともに望まない公算が大きいです。ベッセント財務長官から日銀のビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)を指摘する発言もあるなか、日銀の利上げシナリオが頓挫する可能性は低く、遅くとも2026年1月までに追加利上げとなる公算が大きいでしょう。これは2026年に向けた円相場の下支えになります。拡張的な財政政策への懸念が払拭され、日銀の利上げ継続が確認されれば、米日金利差の縮小と金利差へのキャッチアップが円高圧力として働くと予想します。
繰り返しになるが、高市総裁には、経済・外交では現実路線を採っていただきたい。経済政策では、かつての「三本目の矢」、特に成長戦略を講じて来たる2026年度の春闘をバックアップすることが活路になるだろう。
自民党総裁選の後、円安が進行している。ドル円もユーロ円も驚くべき円安である(図表1)。特にユーロ円は、1999年の発足以来の円安水準から、さらにフリーフォールのように円が安くなって1ユーロ170円台後半に突入している。ドル円も、これまでの140円台後半の膠着から150円台前半のレンジにシフトした。やはりショッキングだったのは、公明党が与党連立を見直す構えを示したことだ。公明党のメンバーの政治姿勢分布は、もっと穏健・中道だろう。また、裏金問題後の政治資金改革についても、もう終わった話ではなく、まだ十分ではないという意見も根強い。政治資金に関しては、公明党と高市総裁の認識は距離がある。これが、さらに野党との連立拡大に進むと、自民党と公明党の間には強い遠心力が生じると想像させている。高市総裁になって、日銀に対する風当たりが強くなりそうなことだけが円安要因ではない。与党内の不安、つまり政治不安が円安を後押ししているのだ。
今後、さらに円安が進むかどうかは、①公明党との連立協議、②組閣・首班指名、③日銀会合・米FOMC、が目先の焦点になるだろう。臨時国会が開かれれば、与野党の協議が行われる。今月下旬にはトランプ大統領の来日もある。高市総裁がAPECでアジアの首脳と対面したとき、右派的な思想への警戒を解きながら関係構築を進められるかも問われる。当初の内閣支持率が公表されて、その結果を見ながらメディアは、日本は短命政権が続きそうかどうかを一斉に書き立てるだろう。今後、目先1ドル153~155円への向かっていく可能性は十分にある。ドル円レートが円安に動かされることは、そうした危機感のバロメーターの1つとみられるであろう。日本がこの難局を乗り切るには、高市総裁がより現実路線にシフトして、政治的な安定感をアピールすることだ。




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