図表でわかる財務分析 Amazon2025年2Q決算・3Q予想

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図表でわかる財務分析 Amazon2025年2Q決算・3Q予想

(写真=iStock photo)

 

 アマゾン(Amazon)はもはや単なるEコマース(ネット通販)の「巨人」ではありません。クラウドサービス「AWS」で世界をリード、これに搭載するAI(人工知能)開発に注力し、この両輪で大きく業績を成長させています。2022年(FY 22)の成長鈍化と大規模なコスト削減を経て、アマゾン(Amazon)は再び「利益を出す」企業へと力強く変貌しました。アマゾン(Amazon)の「会社の成績表」である決算書を分析し、同社の現在の課題と、直前となった2025年(FY25)第3四半期(3Q)に対する市場の期待について解説します。

(1)アマゾン(Amazon)の最新業績と2025年3Qの業績予想

 アマゾン(Amazon)の2025年(FY25)2Qの決算は、力強い回復を示す非常に良好な内容でした。売上高は前年同期比13.3%増の167,702百万ドル、本業の儲けを示す営業利益は30.7%増加して19,171百万ドルとなりました。

 この好調さは、AI(人工知能)関連需要が爆発的に増加しているクラウド事業「AWS」が成長を牽引していること。そして、Eコマース事業もコスト削減が実を結び、利益率が大きく改善したことによります。

単位:百万ドル

 それではアマゾン(Amazon)の2025年(FY25)3Qはどうなるのか。市場アナリストの業績予想は、この好調が今回も継続すると見ています。私の分析も方向性は同じです。

・本格的AI時代到来で多くの企業にAWSが普及する期待感

 私は2025年(FY25)3Qの売上高を182,500百万ドル、営業利益は21,800百万ドルと、引き続き2桁成長を見込んでいます。市場が期待しているのは、生成AIの普及によって、ますます多くの企業がAmazonのクラウドサービス「AWS」を利用するようになることです。そしてEコマース事業の収益性がさらに改善して、より安定的に利益を生み出す「稼ぎ頭」であり続けることです。

・AI開発の膨大なコストとEコマース競合他社との競争激化

 アマゾン(Amazon)にとってAI開発競争に伴う莫大なコスト(設備投資)が大きな課題となるでしょう。AIを動かすためのデータセンターや高性能半導体への投資は巨額にのぼり、これが将来のキャッシュフローを圧迫する可能性があります。また、Eコマース分野で「テム(Temu)」や「シーイン(Shein)」といった新しいライバルが登場し、競争が激化しています。今後、利益率を維持しながら成長を続けるという、難しい舵取りが求められることになるでしょう。

(2)売上高の動向

 会社の「年間成績」をまとめたものが「損益計算書」です。まず、2020年(FY20)から2024年(FY24)までの通期ベースのデータで、アマゾン(Amazon)の売上高から見ていきましょう。

 売上高とは会社がビジネスで稼いだ総収入のことです。アマゾン(Amazon)の場合、通販サイトの売上やAWSの利用料などです。売上高成長率は2020年(FY20)は37.6%、2021年(FY21)は21.7%と20%以上の高成長でしたが、2022年(FY22)は新型コロナの影響で一時的に成長が鈍化しました。しかし、2023年(FY23)11.8%、2024年(FY24)11.0%と、再び2桁成長の軌道に戻っています。

 2025年(FY25)に入ってからも、この傾向は続いています。上半期(1Qと2Q)の売上高合計は323,369百万ドル(155,667百万ドル + 167,702百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績637,959百万ドルに対して50.7%の進捗率です。

 アマゾン(Amazon)の売上は年末商戦の時期(4Q)に集中する傾向があるため、上半期で50%を超えているのは、非常に順調なペースと言えます。そのため、私は2025年(FY25)3Qの売上高を、182,500百万ドルと予想しました。この力強い成長が続くと見ているからです。

(3)営業利益の動向

 営業利益は売上高からコストを差し引いた本業の儲けのことです。営業利益率は、その儲けの効率性を示しています。営業利益の通期ベースのデータを見ると、アマゾン(Amazon)の収益性がいかに劇的に回復したかがわかります。2022年(FY22)の営業利益は12,248百万ドル、営業利益率も2.4%まで落ち込みましたが、大規模なコスト削減を経て、2024年(FY24)には68,593百万ドル、営業利益率10.8%へとV字回復を遂げました。

 2025年(FY25)に入ってからも、営業利益率は1Qが 11.8%、2Qが 11.4%と高水準です。上半期(1Qと2Q)の営業利益合計は37,576百万ドル(18,405百万ドル + 19,171百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績68,593百万ドルに対して54.8%の進捗率です。売上高の進捗率50.7%を上回っており、「売上の伸び以上に利益が伸びている」ことを示す、非常にポジティブなサインです。

(4)当期純利益の動向

 当期純利益とは、税金などを支払った後に最終的に会社に残る利益のことです。通期ベースのデータで、注目すべき点は、2022年(FY22)のマイナス2,722百万ドルという当期純損失を計上したことでしょう。これは本業の不振に加えて、出資したEV(電気自動車)メーカーの「リヴィアン(Rivian)」の株価下落による巨額の評価損を計上したためです。しかし、本業の回復と株価安定に伴い、2024年(FY24)には59,248百万ドルという過去最高の純利益を達成しています。

 2025年(FY25)の上半期(1Qと2Q)の当期純利益合計は、35,291百万ドル(17,127百万ドル + 18,164百万ドル)です。これは2024年(FY24)通期実績59,248百万ドルに対して59.6%という非常に高い進捗率です。本業の好調さが最終的な利益に反映されています。

(5)株主価値指標の動き

 続いて、EPS(1株あたり利益)、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)といった投資家にとって重要な指標を確認してみましょう。

1)EPS (1株当たり利益) の動向

 EPSは「株主が持つ1株に対して、会社がいくら利益を生み出したか」を示す指標です。これが上昇すればするほど株主の価値は高まります。アマゾン(Amazon)の通期ベースのデータを見ると、2022年(FY22)はマイナス0.27ドルの赤字に転落しましたが、2023年(FY23)が2.90ドル、2024年(FY24)が5.53ドルと、劇的に回復しています。

 四半期ベースのデータをみてみると、2025年(FY25)に入ってからは、1Qから3Qまで、1.5ドル以上の価格をつけています。私は2025年(FY25)3QのEPSは1.80ドルになると予想しており、この好調な「稼ぐ力」は続くと見込んでいます。

2)PER (株価収益率) の動向

 PERは「株価がEPS(1株当たり利益)の何倍か」を示し、「投資家がその会社の将来の成長にどれだけ期待しているか」を測る指標です。 下記の通期ベースのデータを見ると、アマゾン(Amazon)のPERは、2020年(FY20)の77.87倍から2024年(FY24)には39.70倍へと低下しています。

 四半期ベースのデータでも、2025年(FY25)2Qには33倍台まで下がっています。これは、株価が暴落したのではなく、EPS(利益)の成長スピードが株価の上昇スピードを上回っているためです。つまり、アマゾン(Amazon)の株価は、その「稼ぐ力」に対して「割安」な方向に向かっていることを示しています。

3)PBR (株価純資産倍率) の動向

 

 PBRは「会社の純粋な資産価値(純資産)に対して、市場が株価を何倍と評価しているか」を示します。アマゾン(Amazon)のPBRはPER同様に、2020年(FY20)の17.5倍から2025年(FY25)2Qには7.01倍まで大きく低下しています。

 これは赤字だった2022年(FY22)を乗り越えて、利益を会社に蓄積(純資産の増加)した結果、会社の資産価値がしっかりと高まっている証拠です。株価が資産価値に対して、より現実的な評価水準に落ち着いてきていると言えます。

(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」

 貸借対照表は、会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金(純資産)」のバランスを示した、会社の「健康診断書」です。

単位:百万ドル

1)資産の動向

 アマゾン(Amazon)が保有する現金、倉庫、データセンターなど財産の総額である総資産(流動資産+固定資産)は、2021年(FY21)の420,549百万ドルから2025年(FY25)2Qには682,170百万ドルへと一貫して増加しています。特にデータセンターや物流網といった固定資産が、2021年(FY21)の258,969百万ドルから2025年(FY25)2Qの490,750百万ドルへとほぼ倍増しています。これはクラウドサービスの「AWS」とAI開発、そして物流の未来のために巨額投資を続けていることを物語っています。

2)負債の動向

 負債は銀行からの借入金など、将来返済しなければならない会社の借金のことです。 アマゾン(Amazon)の負債合計(流動負債+固定負債)も、総資産の増加に伴って増えています。2023年(FY23)以降、その伸びは緩やかになっています。これは赤字になった2022年(FY22)の時期よりも、財務規律を強めていることを示唆しています。

3)純資産の動向

 純資産は会社の総資産から負債を差し引いた、返済不要の「会社自身のお金」です。 アマゾン(Amazon)の純資産は、2022年(FY22)の146,043百万ドルから2025年(FY25)2Qの333,775百万ドルと2倍以上に増加しています。これは2023年(FY23)以降に稼いだ膨大な利益が会社内部にしっかりと蓄積され、財務的な体力が飛躍的に強くなっていることの証明です。

4)流動比率の動向

 流動比率は、会社の短期的な支払い能力、いわば「お財布の余裕」を見る指標です。アマゾン(Amazon)の流動比率(流動資産 ÷ 流動負債)は2022年(FY22)には94.46%と100%を割り込みました。短期的な資金繰りが厳しい状態になりましたが、業績の回復に伴って、2023年(FY23)以降は100%以上を回復・維持しています。アマゾン(Amazon)は顧客から先に現金を受け取り、仕入れ先への支払いを後回しにするビジネスモデル(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)です。いわゆる「キャッシュリッチな状態が先行する」という「強み」があるので、流動比率が100%前後でも大きな問題になりません。

5)自己資本比率の動向

 自己資本比率(純資産 ÷ 総資産)は、会社の長期的な安定性を見る指標です。総資産のうち返済不要な「純資産」がどれくらいの割合を占めるかを示します。この比率は、2022年(FY22)の31.56%を底に、2025年(FY25)2Qには48.93%へと劇的に改善しています。これは利益の蓄積による純資産の増加で、会社が借金に頼らない安定した経営体質へと前進していることを示しています。

(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」

 最後にアマゾン(Amazon)の現金の出入りを確認するためにキャッシュフロー計算書を見てみましょう。

単位:百万ドル

1)営業キャッシュフロー(営業CF)の動向

 営業CFは本業であるEコマース事業やクラウドサービスのAWSで稼いだ現金のことです。営業CFが大きくなればなるほど優秀ということです。アマゾン(Amazon)の営業CFは、2021年(FY21)が46,327百万ドル、2022年(FY22)46,752百万ドル)と足踏みしていましたが、FY2023には84,946百万ドル、FY2024には115,877百万ドルへと急増しています。

 2025年(FY25)に入ってからも、上半期(1Qと2Q)の合計は49,530百万ドル(17,015百万ドル + 32,515百万ドル)の現金を稼いでいます。これは2024年(FY24)通期実績の115,877百万ドルに対して42.7%の進捗率です。アマゾン(Amazon)の営業CFは下半期(3Qと4Q)の特に4Qに集中する傾向があるため、2025年(FY25)のペースは順調で、本業の収益性改善が、見せかけではなく、”本物”の現金を増加させています。

2)投資キャッシュフロー(投資CF)の動向

 投資CFは、アマゾン(Amazon)がAI時代の到来に備えて、いかに巨額の投資をしているかを示しています。投資額(マイナス幅)は年々拡大しています。FY2024には94,342百万ドルという巨額支出で大幅なマイナスになっています。

 2025年(FY25)に入ってから、このペースはさらに加速してしています。上半期(1Qと2Q)の合計投資額は69,227百万ドル(△29,803百万ドル + △39,424百万ドル)のマイナスです。2024年(FY24)通期実績のマイナス94,342百万ドルの73.4%に当たる投資をわずか半年で実行しています。アマゾン(Amazon)がAI開発とAWSのインフラ整備のために、凄まじい規模の投資を続けていることがわかります。

3)財務キャッシュフロー(投資CF)の動向

 銀行からの借入や返済などのお金の動きを示す財務CFは、2023年(FY23)がマイナス15,879百万ドル、2024年(FY24)がマイナス11,812百万ドルで、2年連続で大きなマイナスとなりました。主な原因は、コロナ禍で膨らんだ借入金の返済を進めているからです。2025年(FY25)も上半期(1Qと2Q)の合計は2,586百万ドル(△47百万ドル + △2,539百万ドル)のマイナスです。2024年(FY24)通期実績のマイナス11,812百万ドルに対して21.9%の進捗率です。

 こうしたことから、現在のアマゾン(Amazon)は、本業で稼いだ莫大な「現金(営業CF)」を、巨額の「投資(投資CF)」と「借金返済(財務CF)」にバランスよく充当している健全な財務運営状況と見ていいでしょう。

(8)最もアグレッシブな「成長投資」期に突入したAmazon

 アマゾン(Amazon)は2022年(FY22)に直面した赤字の危機を完全に乗り越え、現在は「高収益」と「高成長」を見事に両立させた優良企業へと変貌を遂げたことがわかります。私は2025年(FY25)3Qの営業利益を21,800百万ドルと予想しました。これは、この力強いモメンタムが継続すると見ているからです。そして、その好調さの要因は、急増するAI需要という巨大な追い風を受けたクラウドサービスの「AWS」と、コスト削減で収益性が劇的に改善したEコマース事業の両輪がアマゾン(Amazon)の成長を加速させているからです。

 貸借対照表を見ると、アマゾン(Amazon)の自己資本比率が、48.93%へと劇的に改善し、「財務の安定性」を取り戻したことが分かります。さらにキャッシュフロー計算書では、本業から生まれる年間100,000百万ドル(1,000億ドル)以上の営業CFを、「将来の成長性」のために、年間100,000百万ドル(1,000億ドル)規模で、AIインフラに再投資(投資CF)しています。

 今、アマゾン(Amazon)は稼いだ現金を未来に賭ける、最もアグレッシブな「成長投資」のフェーズに入っています。

 

(本文ここまで)

 
岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 図表でわかる財務分析 Amazon2025年2Q決算・3Q予想

図表でわかる財務分析 Amazon2025年2Q決算 3Q予想

投資CFは、アマゾン(Amazon)がAI時代の到来に備えて、いかに巨額の投資をしているかを示しています。投資額(マイナス幅)は年々拡大しています。FY2024には94,342百万ドルという巨額支出で大幅なマイナスになっています。 2025年(FY25)に入ってから、このペースはさらに加速してしています。上半期(1Qと2Q)の合計投資額は69,227百万ドル(△29,803百万ドル + △39,424百万ドル)のマイナスです。2024年(FY24)通期実績のマイナス94,342百万ドルの73.4%に当たる投資をわずか半年で実行しています。アマゾン(Amazon)がAI開発とAWSのインフラ整備のために、凄まじい規模の投資を続けていることがわかります。

四半期ベースのデータをみてみると、2025年(FY25)に入ってからは、1Qから3Qまで、1.5ドル以上の価格をつけています。私は2025年(FY25)3QのEPSは1.80ドルになると予想しており、この好調な「稼ぐ力」は続くと見込んでいます。

純資産は会社の総資産から負債を差し引いた、返済不要の「会社自身のお金」です。 アマゾン(Amazon)の純資産は、2022年(FY22)の146,043百万ドルから2025年(FY25)2Qの333,775百万ドルと2倍以上に増加しています。これは2023年(FY23)以降に稼いだ膨大な利益が会社内部にしっかりと蓄積され、財務的な体力が飛躍的に強くなっていることの証明です。

営業CFは本業であるEコマース事業やクラウドサービスのAWSで稼いだ現金のことです。営業CFが大きくなればなるほど優秀ということです。アマゾン(Amazon)の営業CFは、2021年(FY21)が46,327百万ドル、2022年(FY22)46,752百万ドル)と足踏みしていましたが、FY2023には84,946百万ドル、FY2024には115,877百万ドルへと急増しています。 2025年(FY25)に入ってからも、上半期(1Qと2Q)の合計は49,530百万ドル(17,015百万ドル + 32,515百万ドル)の現金を稼いでいます。これは2024年(FY24)通期実績の115,877百万ドルに対して42.7%の進捗率です。アマゾン(Amazon)の営業CFは下半期(3Qと4Q)の特に4Qに集中する傾向があるため、2025年(FY25)のペースは順調で、本業の収益性改善が、見せかけではなく、”本物”の現金を増加させています。

アマゾン(Amazon)は2022年(FY22)に直面した赤字の危機を完全に乗り越え、現在は「高収益」と「高成長」を見事に両立させた優良企業へと変貌を遂げたことがわかります。私は2025年(FY25)3Qの営業利益を21,800百万ドルと予想しました。これは、この力強いモメンタムが継続すると見ているからです。そして、その好調さの要因は、急増するAI需要という巨大な追い風を受けたクラウドサービスの「AWS」と、コスト削減で収益性が劇的に改善したEコマース事業の両輪がアマゾン(Amazon)の成長を加速させているからです。 貸借対照表を見ると、アマゾン(Amazon)の自己資本比率が、48.93%へと劇的に改善し、「財務の安定性」を取り戻したことが分かります。さらにキャッシュフロー計算書では、本業から生まれる年間100,000百万ドル(1,000億ドル)以上の営業CFを、「将来の成長性」のために、年間100,000百万ドル(1,000億ドル)規模で、AIインフラに再投資(投資CF)しています。 今、アマゾン(Amazon)は稼いだ現金を未来に賭ける、最もアグレッシブな「成長投資」のフェーズに入っています。

最後にアマゾン(Amazon)の現金の出入りを確認するためにキャッシュフロー計算書を見てみましょう。

2025年(FY25)に入ってからも、この傾向は続いています。上半期(1Qと2Q)の売上高合計は323,369百万ドル(155,667百万ドル + 167,702百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績637,959百万ドルに対して50.7%の進捗率です。 アマゾン(Amazon)の売上は年末商戦の時期(4Q)に集中する傾向があるため、上半期で50%を超えているのは、非常に順調なペースと言えます。そのため、私は2025年(FY25)3Qの売上高を、182,500百万ドルと予想しました。この力強い成長が続くと見ているからです。

私は2025年(FY25)3Qの売上高を182,500百万ドル、営業利益は21,800百万ドルと、引き続き2桁成長を見込んでいます。市場が期待しているのは、生成AIの普及によって、ますます多くの企業がAmazonのクラウドサービス「AWS」を利用するようになることです。そしてEコマース事業の収益性がさらに改善して、より安定的に利益を生み出す「稼ぎ頭」であり続けることです。

負債は銀行からの借入金など、将来返済しなければならない会社の借金のことです。 アマゾン(Amazon)の負債合計(流動負債+固定負債)も、総資産の増加に伴って増えています。2023年(FY23)以降、その伸びは緩やかになっています。これは赤字になった2022年(FY22)の時期よりも、財務規律を強めていることを示唆しています。

アマゾン(Amazon)が保有する現金、倉庫、データセンターなど財産の総額である総資産(流動資産+固定資産)は、2021年(FY21)の420,549百万ドルから2025年(FY25)2Qには682,170百万ドルへと一貫して増加しています。特にデータセンターや物流網といった固定資産が、2021年(FY21)の258,969百万ドルから2025年(FY25)2Qの490,750百万ドルへとほぼ倍増しています。これはクラウドサービスの「AWS」とAI開発、そして物流の未来のために巨額投資を続けていることを物語っています。

Amazonの効率化により業績が回復、クラウドとAIを軸に成長を加速中。2025年2Qの業績予想を分析し、企業価値を様々な側面から評価します。

PBRは「会社の純粋な資産価値(純資産)に対して、市場が株価を何倍と評価しているか」を示します。アマゾン(Amazon)のPBRはPER同様に、2020年(FY20)の17.5倍から2025年(FY25)2Qには7.01倍まで大きく低下しています。 これは赤字だった2022年(FY22)を乗り越えて、利益を会社に蓄積(純資産の増加)した結果、会社の資産価値がしっかりと高まっている証拠です。株価が資産価値に対して、より現実的な評価水準に落ち着いてきていると言えます。

EPSは「株主が持つ1株に対して、会社がいくら利益を生み出したか」を示す指標です。これが上昇すればするほど株主の価値は高まります。アマゾン(Amazon)の通期ベースのデータを見ると、2022年(FY22)はマイナス0.27ドルの赤字に転落しましたが、2023年(FY23)が2.90ドル、2024年(FY24)が5.53ドルと、劇的に回復しています。

銀行からの借入や返済などのお金の動きを示す財務CFは、2023年(FY23)がマイナス15,879百万ドル、2024年(FY24)がマイナス11,812百万ドルで、2年連続で大きなマイナスとなりました。主な原因は、コロナ禍で膨らんだ借入金の返済を進めているからです。2025年(FY25)も上半期(1Qと2Q)の合計は2,586百万ドル(△47百万ドル + △2,539百万ドル)のマイナスです。2024年(FY24)通期実績のマイナス11,812百万ドルに対して21.9%の進捗率です。 こうしたことから、現在のアマゾン(Amazon)は、本業で稼いだ莫大な「現金(営業CF)」を、巨額の「投資(投資CF)」と「借金返済(財務CF)」にバランスよく充当している健全な財務運営状況と見ていいでしょう。

流動比率は、会社の短期的な支払い能力、いわば「お財布の余裕」を見る指標です。アマゾン(Amazon)の流動比率(流動資産 ÷ 流動負債)は2022年(FY22)には94.46%と100%を割り込みました。短期的な資金繰りが厳しい状態になりましたが、業績の回復に伴って、2023年(FY23)以降は100%以上を回復・維持しています。アマゾン(Amazon)は顧客から先に現金を受け取り、仕入れ先への支払いを後回しにするビジネスモデル(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)です。いわゆる「キャッシュリッチな状態が先行する」という「強み」があるので、流動比率が100%前後でも大きな問題になりません。

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