執筆日時:2025年11月21日 11時20分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
9月雇用統計は強弱まちまちで12月FOMCへの情報は限定的、ドル円は157円台で激しくもみ合い
米政府機関閉鎖の影響から本来10月3日発表される予定だった、9月の米雇用統計が11月20日に発表されました。その中で、9月の非農業部門雇用者数(NFP)は、市場予想の5.0万人に対して11.9万人と、予想を上回り雇用者数が回復傾向にあることが示唆されました。ただ、失業率は労働参加率(8月:62.3%→9月:62.4%)の上昇もあって、4.3%から4.4%へ悪化するなど、アメリカの労働市場の引き締まり傾向も示され、評価は分かれました。
データが交錯したことで、12月FOMCへの明確な情報は提供されなかったものの、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場での12月利下げ織り込みは、35.0%付近から40.0%付近へ若干上昇しました。とはいえ、現状、12月FOMCでは際どい判断となることが見込まれ、今後発表されるインフレ指標などを通じて、12月FOMCへの織り込みがどちらに動くのか着目されます。
各市場の反応
【為替市場】
NFPの好結果を受けて、157.886円まで米ドル/円は急騰したものの、失業率の結果に直ちに157.213円まで急落。その後は、激しくもみ合いながらも明確な方向性は出ず、157円台で振幅しました。米長期金利も、4.15%付近まで上昇した後、株価の下落もあり4.08%付近まで低下するなど、方向性は定まりませんでした。
【株式市場】
NFPの底堅さを受け、アメリカ経済の先行き不透明感が和らぎ、主要3指数は上昇して始まったものの、決算を発表して買いが先行したエヌビディアが失速してマイナス圏に沈むと、株式の割高感が意識され、主要株価指数も揃って下落しました。
- ダウ平均:前日比 -0.84%(-386.51)で45,752.26ドル
- ナスダック総合:前日比 -2.16%(-486.18)で22,078.05
- S&P500種:前日比 -1.56%(-103.40)で6,538.76
【金市場】
強弱まちまちだった雇用統計を受け、方向性の見極めにくい展開となり、4,080ドルを中心に上下動が続きましたが、終盤は米株安の影響から安全資産とされる金が買われ、下げ渋る格好となりました。

※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット、5分足 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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