
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は100.92円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.70円前後で週初を迎えました。
高市政権の財政拡張を巡る懸念や、日銀の追加利上げ時期の後ずれ観測による円売りが週を通して優勢となったため、クロス円は底堅い動きとなりました。豪ドル/円は102.49円前後、NZドル/円88.86円前後まで上値を伸ばしましたが、米国株式市場が調整含みの動きとなったことで、資源国通貨である豪ドル、NZドルの下押し圧力がかかりました。その結果、週初からの上昇率は米ドル/円などと比べると小幅にとどまりました(執筆時)。
豪月次CPIへの反応は限定的になりそう
豪準備銀行(RBA)が重視する最新の四半期消費者物価指数(CPI、7-9月期)は前年比+3.2%まで上昇しました。さらにRBAは基調インフレ率が2026年後半まで3%を超えると予測しています。そのため、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)では来年1回の利下げ(25bp=0.25%ポイント)織り込みが60%未満となっています。来週26日の豪10月CPIが2%台まで低下していたとしても、四半期CPIがRBAのインフレ目標(2~3%)を超えている現状では、RBAの追加利下げ期待が急激に高まるには材料不足でしょう。来週も豪ドル/円は、今週同様に円と株価の動向を睨んだ動きとなりそうです。
RBNZは追加利下げの言及あるか?
26日にはNZ準備銀行(RBNZ)が政策金利を発表します。NZのCPIはRBNZの目標レンジ(1~3%)の上限となる前年比+3.0%(7-9月期)での推移となっています。一方で、4-6月期の国内総生産は前期比-0.9%と予想を大幅に下回るマイナス成長となり、失業率は2016年10-12月期以来となる5.3%まで悪化しています。そのため、RBNZは経済活動の弱さがインフレ低下につながることや、低金利が経済成長の回復を支えるとの予測から追加の利下げを示唆しています。OISでは25bpの利下げを完全に織り込んでいます。利下げ幅が市場予想通り25bpに留まるようであれば、市場の注目は今後の利下げペースについて声明等で言及があるかどうかとなります。現時点でOISでは来年1回の追加利下げを60%弱しか織り込んでいません。追加利下げを示唆する声明内容となれば、NZドルは売りで反応することになりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表の転換線がサポートとして機能しています。終値ベースで同線を下抜けた場合には、11日安値(100.14円前後)や同基準線が次の下値目途として意識されそうです。一方上値は20日高値(102.49円前後)が目先の目途となりそうです。この水準を上抜けた場合、2024年7月11日高値(109.37円前後)から2025年4月7日安値(86.04円前後)を結んだフィボナッチ・リトレイスメントの76.4%戻し(103.90円前後)が次のレジスタンスとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:99.50-103.50、NZD/JPY:86.50-89.50
11/24週のイベント:
11/26 (水) 09:30 豪 10月消費者物価指数(CPI)
11/26 (水) 10:00 NZ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
11/27 (木) 06:45 NZ 7-9月期四半期小売売上高
11/27 (木) 09:00 NZ 11月ANZ企業信頼感
11/27 (木) 09:30 豪 7-9月期四半期民間設備投資
一言コメント:
息子が「犬を飼いたい」と言い出しました。気持ちはわかりますが…今の我が家にはちょっと難しそうです。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
むしろ、RBAの利下げ決定によって豪州の金融政策を巡る不透明感が払しょくされ、金融緩和による先行きの景気下支え効果への注目が高まれば、豪ドル相場の見直しに繋がる可能性があると考えられます。
今週は11/18に公表される11/4開催分の中銀政策理事会議事要旨、そして11/19の7?9月期労働賃金物価指数が注目材料となります。市場では「豪中銀は既に利下げサイクルを終了した」との見方が強まりつつあり、今回の指標や議事要旨がその認識を後押しするかが焦点となります。さらに、11/20発表の米9月雇用統計を受けて、FRBによる12月利下げ継続観測が一段と強まるか、合わせて注目が集まります。豪ドルの対ドル、さらにはドル円の反応も見極める必要があります。こうした中、日足・転換線(100円32銭)を下値支持線として、11/13の101円82銭を明確に上抜けられるかポイントです。この水準を突破すれば、昨年11/7の高値である102円40銭を目指し、一段高へ進む展開が意識されます。
2028年7月の豪ドル円見通し。当月始値 115.68、最低 115.62、当月最高 119.14。平均 116.96。月末 117.38。変更 1.5%。
今週の豪ドル/円は99.80円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は86.48円前後で週初を迎えました。10日には、米政府機関の閉鎖が週内にも解除される可能性が報じられ、米株価指数が大幅に上昇したことを背景にリスクオンが進行。13日には、豪ドル/円は約1年ぶりの101.83円前後、NZドル/円は87.85円前後まで上昇しました。しかし同13日、トランプ米大統領がつなぎ予算案に署名して政府機関の閉鎖解除が決まると、米株価指数が一転して大幅に下落。この影響で豪ドル/円、NZドル/円ともに上げ幅を縮小しています(執筆時)。
2028年12月の豪ドル円予想。当月始値 113.37、最低 110.01、当月最高 113.37。平均 112.11。月末 111.69。変更 -1.5%。
豪ドル関連に投資する上で、しっかり確認しておきたいリスク要因は、「財政引き締め」「新興国経済の落ち込み」「一段の利下げ懸念」「資源価格の下落」「世界的な天候不安」などが挙げられます。
2029年3月の豪ドル円見通し。当月始値 111.65、最低 111.65、当月最高 115.88。平均 113.34。月末 114.17。変更 2.3%。
11/10の8円84銭を安値に、米政府機関の再開に向けた期待が高まったほか、米財務省が11/12に発表した財政・経済見通しの中で、今年度の財政赤字対GDP比率が5月時点の4.8%から4.7%へ改善、ランド上昇を支援する結果となりました。さらに、南ア中銀がインフレ目標の中央値を従来の4.5%から3.0%へ、25年ぶりに引き下げたことも市場のサプライズとなり、政策の信認改善として好感。そのため、南ア全株指数は11/13まで4日続伸し、連日で史上最高値を更新。加えて、南アの主要輸出品である金・プラチナ相場が堅調に推移したことを背景に、ランドは対ドルで2023年2月以来の高値へ上昇したほか、対円でも2018年2月以来となる9円12銭へ一段高となりました。ただし、11/14には南ア株式市場とランドドルがともに利益確定売りに押され反落したことから、ランド円も一時8円93銭へ反落し、9円04銭で取引を終えました。
両国における相場の変動は、そのままAUD/円に影響しており、為替レートも常に変動しています。現在のレートは73.86で、AUDの上昇が低金利の円と対抗する形になっています。2010年末、豪ドル対円相場は、82.96でした。2000年12月31日時点でのAUD/円相場は63.15となっています。
2029年1月の豪ドル円見通し。当月始値 111.69、最低 111.69、当月最高 116.37。平均 113.60。月末 114.65。変更 2.7%。
2028年9月の豪ドル円見通し。当月始値 113.86、最低 112.14、当月最高 115.56。平均 113.85。月末 113.85。変更 0.0%。
為替レートには、多くの要因が影響しています。上述した内容は、豪ドル対円相場の推移、そしてこの通貨ペアを取引する際の注意点についてです。
2029年4月の豪ドル円予想。当月始値 114.17、最低 111.71、当月最高 115.11。平均 113.60。月末 113.41。変更 -0.7%。
2029年10月の豪ドル円予想。当月始値 123.28、最低 118.17、当月最高 123.28。平均 121.18。月末 119.97。変更 -2.7%。
2027年7月の豪ドル円見通し。当月始値 105.61、最低 105.61、当月最高 110.41。平均 107.60。月末 108.78。変更 3.0%。



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