
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、低調な米経済指標を受けてFOMCでの利下げ観測が高まったことや「ハセット米NEC委員長が次期FRB議長の最有力候補」との報道などで、155.80円まで下落した。ユーロドルは1.1586ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測の高まりから軟調推移が予想される中、12月の日銀金融政策決定会合に向けて10月の基調的なインフレ率を捕捉するための指標を見極める展開が予想される。
昨日発表された米11月の消費者信頼感指数では、労働省発表の雇用統計の失業率と相関している労働市場格差が、10月の10.3から9.7に低下していた。そして、ADPが発表した米民間雇用者数は、11月8日終了週までの4週間に週当たり平均で1万3500人減少した。米国の11月の雇用情勢の悪化を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では12月FOMCでの0.25%の利下げ確率は85%程度まで上昇している。
また次期FRB議長の最有力候補としてハセット米NEC委員長の名前が挙がったことも、ドル売りに拍車をかけた。ハセット米NEC委員長はFRBに対して利下げ圧力をかけ続けており、第1次トランプ米政権ではCEA委員長として「減税・雇用法」の策定と成立に中心的な役割を果たし、第2次トランプ米政権では、NEC委員長として、「税制・歳出法案」の成立に尽力した重要人物である。
14時に日銀が金融政策を判断する上で重視する指標である「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の10月分が発表されるが、「刈り込み平均値」が、8月の前年比+2.0%、9月の同比+2.1%から上昇基調にあるのか否か注目しておきたい。
植田日銀総裁は先日、基調的な物価上昇率は物価安定目標である2%に向けて緩やかに上昇していると述べていた。
また小枝日銀委員は、先日20日の講演で「基調的な物価上昇率は総合的に見て2%位になってきている」と述べ、「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことは必要だ」とややタカ派的な見解を示していた。
その他、豪やNZで発表される経済イベントにも注目したい。9時30分に発表される10月豪消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+3.6%と予想されており、9月の同比+3.0%からの伸び率上昇が見込まれている。第3四半期のCPIは前期比+1.3%、前年比は+3.2%だったことで、12月8-9日の豪準備銀行(RBA)理事会での利下げ確率が低下している。RBAは月次ベースよりも四半期ベースのインフレ動向を重視しているものの、ネガティブサプライズだった場合は、12月RBA理事会での利下げ観測を台頭させる可能性に注目しておきたい。
11月のRBA理事会議事要旨では「据え置きか利下げ、どちらのシナリオがより可能性高いかは確信できず」「経済成長や労働市場が弱含めば追加緩和もありうる」などの見解が示され、追加利下げの可能性が示されたものの、金利先物市場では12月理事会での利下げ織り込み度はほぼゼロ%になっている。
10時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、2.50%から2.25%への利下げが確実視されている。声明文などで来年以降のブレマンRBNZ総裁の下での金融政策に関する言及を確認しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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