猛暑被害ミカン農家 アボカド挑戦
小川キャスター: 猛暑日という言葉が登場したのは、2007年です。あっという間に、このような状況になってしまいましたね。
アボカドの産地化では、やはりミカン産地である和歌山県や愛媛県、鹿児島県が先行して動いている。これらの産地の挑戦に科学的な根拠を提供する研究も登場した。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が2025年3月に公表した「ウンシュウ(温州)ミカンとアボカドの適地移動予測マップ」がそのひとつだ。温暖化によりいまのミカン産地が打撃を受ける一方、入れ替わるようにアボカドの有望な産地になるとした。
その指針が本年3月に公表された農水省農研機構の研究報告「温州ミカン・アボカド適地移動予測マップ」です。これは温暖化の進み具合を3つのケースに分けて、今世紀半ば(2040-2059年)と今世紀末(2080-2099年)の適地を予測しています。温暖化が中程度のケース(今世紀半ばに平均1.8℃、世紀末に2.9℃の上昇)では、ミカン適地は今世紀半ばに房総半島全域まで北進し、今世紀末には宮城と山形沿岸に達します。一方、東京以西の沿岸域は高温過ぎて不適地になるとしています。
ウンシュウミカンの後を埋めてくれそうなのが亜熱帯植物のアボカド(生育適温15-30℃)です。アボカドは温暖化が中程度のケースでは今世紀半ばには関東地方の沿岸域まで北進し、今世紀末にはミカンの不適地をカバーすると予測しています。この農研機構の研究報告と符合するように、松山市、静岡県、鹿児島県では自治体がアボカドへの転換を推奨しています。日本での需要が伸びているアボカドは、その9割をメキシコなどからの輸入に頼っています。食料自給の点からも、「ミカンからアボカドへ」は一つの具体策と考えられます。それとは別に、「アボカドの後はバナナかな?」にならぬように、私たちは温暖化抑制策をしっかり進めていきましょう。


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