訪日客の支出増 背景に安い日本

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訪日客の支出増 背景に安い日本
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 訪日客の支出増 背景に安い日本

訪日客の支出増 背景に安い日本

コロナ禍前に顕著に増加したインバウンドの背景について、内閣府では36か国・地域の訪日外国人旅行者数のデータからその変化の要因を分析している(第II-2-3-7表)。その分析結果によると、出発国の経済成長と為替レートが訪日外国人者数の増加に大きな影響を与えたとし、さらにビザの緩和措置や、LCCの就航便増加の寄与も高いことが分かった。

2023年3月には前述した「観光立国推進基本計画」が閣議決定されており、「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」を三つのキーワードとして2023~2025年度の新たな計画が取りまとめられた。具体的な数値目標として、持続可能な観光地域づくりに取り組む地域を2025年までに100地域設置、訪日外国人旅行額単価を20万円/人に(2019年実績:15.9万円)、訪日外国人旅行者一人当たり地方部宿泊数を2泊にする(2019年実績:1.4泊)等が2025年までの目標として掲げられた。2025年には大阪で「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の開催が予定されており、これを追い風としてインバウンドをさらに拡大させ、日本経済底上げの重要な役割を果たすことが期待されている。

その結果、訪日外国人旅行者数の増加要因としては、まずは各国・地域における経済成長及び為替レートが挙げられ、さらに、受入れ側における査証(ビザ)の免除措置といった政策や、LCCの就航便数が寄与していることが分かった。一方、2011年に発生した東日本大震災は減少方向に働いた。

また、費目別の各1位は、宿泊費がイギリス(15万62円)で2019年と比べると平均宿泊数は3.2泊増加。飲食費はイタリア(8万2455円)、交通費はスペイン(6万3454円)、娯楽サービス費と買物代は中国(2万3121円、11万9484円)となった。買物代の全体平均が5万5739円という中で、中国は突出して高いが、一般的に欧米豪よりもアジアからの訪日客の方が買物代にかける割合が多い傾向にある。

2016年には、次なる目標とその実現のために必要な対策を検討する「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が開催され、「明日の日本を支える観光ビジョン232」が取りまとめられた。同ビジョンの中で、新たな目標として「2020年までに訪日外国人旅行者数4,000万人、訪日旅行消費額8兆円、2030年までに同6,000万人、同15兆円」と掲げ、着実に訪日外国人旅行者数、消費額を拡大させ続けてきた。

こうした状況下、日本を訪れる外国人旅行者を国・地域別にみると(第2-3-3図)、アジアからの旅行者がその大半を占めており、かつその割合も拡大している。2017年においては、アジア地域からの旅行者が約86%、アメリカ地域で約6%、ヨーロッパ地域で約5%、その他の地域で約2%となっている。アジアの内訳をみると、中国、韓国、台湾、香港の東アジア4ヶ国・地域からの旅行者が、訪日外国人旅行者全体の約4分の3を占めており、2017年では、中国からの旅行者が25.6%、韓国で24.9%、台湾で15.9%、香港で7.8%となっており、4ヶ国・地域の合計で74.2%となっている。近年では、特に中国からの旅行者の増加が顕著である。

他方で、潜在成長圏の観光資源の魅力の発信については、特に、インターネットを用いた広報に課題がある。また、家族連れ旅行者がより旅行しやすい環境の整備や、地方に優位性がありながら旅行者の再訪日意欲につながっていない自然・景勝地観光や自然体験等の観光サービスも改善の余地があろう。

2017年に4兆円を初めて突破した外国人旅行消費額総額は、2019年には4兆8135億円となり、5兆円も目前だったが、新型コロナウイルス感染症による渡航制限の影響を受け、2020年からの3年間は低迷した。しかし、2022年秋以降の、国境を越えた移動再開を受け、2023年は序盤から2019年の水準近くまで回復。2023年後半には2019年同期を上回るようになり、総計で5兆円を超えた。訪日客数はまだ8割の回復ということを考えると、旅行消費額の伸びは著しいといえるだろう。

こうしたことから、世界経済、特に日本の近隣諸国・地域であるアジア経済の成長が続けば、海外旅行が可能となる所得層の人々が増えることによって、今後も訪日外国人旅行者数の増加が期待できる。さらに、政策的には、入国の際に必要となるビザ要件の緩和や免除、LCCの就航便数の拡大及び路線の新設を促していくことは有益である。

2013年に、安倍総理大臣(当時)は施政方針演説の中で「世界の人たちを惹きつける観光立国を推進すること」を表明し、新たに創設した「観光立国推進閣僚会議」において「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」を取りまとめた。さらに同年9月には「2020年オリンピック・パラリンピック夏季大会」の開催地に東京が選出されたことから、この絶好の機会を追い風として、2020年に向けて訪日外国人旅行者数2000万人の高みを目指すことが2014年のアクション・プログラム231で明記された。政府一丸、官民一体となってアクション・プログラムの実施に取り組み、戦略的なビザの緩和や免税制度の拡充、出入国管理体制の充実、航空ネットワーク拡大等の改革が次々と進められた。

野村では訪日外客数予想を23年が19年比70%水準の2,229万人(22年は383万人)、24年が同92%水準の2,923万人、25年が同103%水準の3,281万人としている。空港での人員不足や航空機の小型化によって運航能力をコロナ前に戻しにくいことから、訪日外客数はコロナ前の水準に向けて緩やかに回復していくとみている。

それでは、中国人旅行者を始め日本を訪れる外国人旅行者の数は、どのような要因に左右されるのであろうか。訪日外国人旅行者数の増減については、訪れる側である海外諸国・地域における要因と、受入れ側である日本における要因が考えられる。そこで、「訪日外客数」(日本政府観光局)から入手可能な36ヶ国・地域の訪日旅行者数のデータを基に、同旅行者数の変化要因について分析した(第2-3-4表、詳細は付注2-3を参照。)。

訪日外国人客の接客時には、オーダーの取り違えなどが起こる懸念もあります。特に文化的背景などの説明を要する体験型アクティビティは、会話のパターンや語彙数も多くなりがちで、スタッフの語学力では対応できないこともあるでしょう。

仔細に見ていくと、実質GDPについては、インバウンドの主体となっている東アジアが高い経済成長を遂げたことで、国民の経済的な豊かさが向上し、訪日人数の増加につながった(第II-2-3-8図(左))。為替レートについては、対円名目為替レートでみた円安傾向が訪日人数の増加に寄与していた(第II-2-3-8図(右))。ビザ免除対象については、日本国内の治安への十分な配慮を前提としつつ、訪日外国人旅行者増加に大きな効果が見込まれる国・地域を対象に要件の緩和が進められた(第II-2-3-9表)。ビザ緩和は、具体的な緩和内容だけではなく、我が国が相手国と活発な人的交流を歓迎しているメッセージとなり、旅行者、旅行業界にとっては訪日に対する安心材料になるという側面もある。

国・地域別の訪日外国人旅行消費額のシェアは、訪日客数2位の台湾が全体の14.7%を占める7786億円で初めてトップになった。ついで中国が7599億円(構成比14.4%)、韓国は7444億円(同4.1%)、アメリカが6062億円(同11.5%)、香港が4795億円(同9.1%)と続き、これら上位5カ国で全体の63.7%を占めた。ちなみに、2023年の訪日客数のトップ5は韓国、台湾、中国、香港、アメリカの順だった。

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