来年も米不足の可能性 農家の疑問
今回の米不足は一過性のものではありません。生産基盤が弱体化しているので、今後も続く危険があります。しかも政府は、来年の6月末在庫を今年より少ない152万トンと見込んでいます。来年も米不足が再燃する可能性があります。
このような背景を踏まえ、無農薬米研究会は来年の米不足に備えるため、産地訪問の担当を決めることを決定しました。各担当者は、取扱い産地に出向き、現地の農家や関係者と直接対話を行い、今年の課題や来年に向けた対策について話し合います。この取り組みにより、現場の状況をより詳細に把握し、具体的な対応策を策定するための情報を収集することが目的です。
供給不足の一番の原因に、昨年の猛暑などの異常気象による米の不作があげられます。 近年、夏場は全国で35℃を超える猛暑日が幾日も続くようになりました。そのため、米が生育するのに必要な水量も十分に確保できず、例年通りの収穫量を確保できない生産地も増えてきています。 そして、もう一つ、深刻な理由があります。それは米の生産人口の減少です。米を作る農家は年々、着実に減少しています。今年の米不足は、生産人口の減少がいよいよ顕在化してきたのではないか?と私は感じています。
さて、いままで話してきたように、今後、基幹的農業従事者の減少とともに、米が安定的に供給できることが難しくなっていく可能性が高いです。逆に、需要は国内外ともに食糧(穀物)の消費が増しており、秋の業者間での今年の取引価格は前年に比べて間違いなく上がっていき、店頭の米価格の値上がりも必至です。 そして、来年度以降の米価格についても、おそらく、この傾向は続いていき、大きな価格の下落はないでしょう。 また、巷で食糧危機の話が散見されるようになりました。私はそこまでの状況に落ちてほしくないと思っていますが、でも可能性はゼロではないかな?とも感じることがあります。 いずれにせよ、今後、食糧に関しては世界中で品薄になる? いえ、すでになっている?可能性があるので、念のため、少量の備蓄米をストックしたり、お気に入りのお店を探したり、できれば知り合いの農家さんをつくり、いざという時は融通してもらえる方がいたら少し安心ができるのではないかと思います。
無農薬米研究会は、今後も消費者に安全で美味しい米を提供し続けるため、積極的に産地との連携を深め、持続可能な農業の実現を目指しています。特に、気候変動やその他の予測できない要因に対応するためには、柔軟な計画と迅速な行動が求められます。産地訪問の取り組みを通じて、今年の教訓を活かし、来年の米不足のリスクを最小限に抑える努力を続けていきます。
私は、大学生の時から家業である米作りを手伝って今年で約30年になります。 日本の多くの農家は、収穫後、一度にJAや米卸問屋に米を出荷し、現金化することが一般的です。これは、農家の経営安定や、収穫後の保管・管理の負担を軽減するために行われています。 ネット販売などを行うごくごく一部の農家以外は自宅や会社に在庫を持つことはありません。つまり、年末以降、日本の米の在庫は、政府の備蓄米、米卸問屋、地元の米販売店に集中する傾向にあります。よって、業者間の売買も秋、年末以外の時期に行われる事はありません。 ところが、今年は4月に米卸業者、5月に地元の米販売店より、令和5年度産のお米の在庫状況の確認と、できれば売ってほしいとの要請がありました。このような出来事は30年米作りに関わって初めての事でした。
その一方、安倍政権で減反政策が廃止された後も、国が減反を促すために農家に出している補助金は3500億円で、これは税金が原資となっています。米の生産量を制限し、値段を押し上げる現在の施策は正しいのでしょうか。
お米は日本人の食生活に欠かせない食べ物の一つですが、戦後の食生活の変化とともに需要も減りつつあります。 それに伴い、米価も年々下落していく傾向にあります。1990年代のバブル期には全国平均価格で23607円/60kgの価格で取引をされていましたが、ここ数年では13000円/60kgが平均となり、地方によっては9000円/60kgの価格で売買されている地域もありました。 このため、米農家では生計が成り立たないため、農家を廃業する人が年々増加しており、基幹的農業従事者の減少に拍車をかけています。
スーパーマーケットの陳列棚から、お米が消えています!?この現象は6月頃からチラホラ見られ、先日、8/8に発生した南海トラフ地震の臨時情報発表後には、全国のスーパーから完全にお米が消えました。なぜ、こんなことが起こっているのでしょうか?また、この現象がいつまで続くのでしょうか?米作りや今の農家の現状、そしてお米の流通情報を知っている現役農家が今後のお米の価格動向や、もしお米が無くなった時の対策にて詳しく解説します。
無農薬米研究会は、今年の米不足に対する教訓をもとに、来年に向けた具体的な対策を講じています。産地訪問を通じて、現場の実態を把握し、業者や消費者にとって安定した供給を実現するための道筋を模索しています。このような取り組みが、来年の米不足の影響を最小限に抑え、持続可能な無農薬米の流通を支える鍵となると考えております。
日本人が米を食べなくなったことを理由に、国は米の需要が毎年10%ずつ減るという前提で減反してきました。足もとでも猛暑とは関係なく、米は昨年より10万トン生産量が減らされ、平均米価は2割も上昇しました。来年は3割の上昇になると予想され、取引手数料に依存する農協は大きな利益が出ます。あくまで例え話ですが、品薄状態になって値上げしやすい方が農協にとっては都合がいいのです。
「兼業農家」のうち、農業所得を主とする農家を「第1種兼業農家」、他の仕事の所得のほうが多い農家を「第2種兼業農家」と言いますが、第1種兼業農家は 17.7%、 第2種兼業農家は68.0%なので、本当に保護すべき純粋な農家はわずかなのです。減反で補助金をもらい、本業の収入も入るため、農業収入を大きく上回る貯蓄が可能な兼業農家が、JAバンクに多額の預金をしているのが現状です。農家が農地を宅地に転売したときも、その利益は農協に貯蓄されるので、JAは今や100兆円のメガバンクになっています。
「減反は農家の保護と食糧自給のため」という建前ですが、実際問題、日本の農家のかなりの部分は兼業農家です。販売農家数は115.9万戸。そのうち専業農家が27.3万戸なのに対し、兼業農家 は88.5万戸と約76%を占めています。
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