日経平均先物も夜間取引で2000円超急落した
日経平均の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は一時28付近まで急上昇し、投資家心理の悪化を示すとされる節目の20を大きく上回った。価格変動率を元に資産配分を決める「リスク・パリティー戦略」を採る機関投資家からの売りも出ているようだ。
日経平均株価は1日も一時1300円超下げており、連日の急落となった。日銀が7月下旬に追加利上げに踏み切り、さらに米経済の減速懸念が強まったことで市場に動揺が広がった。
週明けの日経平均株価は700円余り値下がりして取り引きが始まりました。
27日の東京外国為替市場で円が対ドルで急騰し、一時1ドル=142円台後半を付けた。同日実施した自民党総裁選で石破茂氏が新総裁に選出された。市場では日銀の利上げ停止を求めていた高市早苗氏が勝利するとの思惑から事前に円売り・ドル買いの動きが膨らんでいたため、石破氏の勝利で巻き戻しの円買いが生じた。日経平均先物も夜間取引で2000円超急落した。
2日午前の東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均株価(225種)が大幅に続落した。下げ幅は一時2000円を超え、取引時間中としては今年4月中旬以来、約3カ月半ぶりに節目の3万7000円を割り込んだ。
株式相場は下げで反応した。27日夕方の大阪取引所の夜間取引で日経平均株価先物が急落し、12月物が3万7700円前後と、27日の清算値(3万9850円)から2000円超下げた。対ドルの円相場の上昇で輸出企業が主力の日本株の売り姿勢が強まった。
日経平均株価の過去最大の値下がり幅は、1987年10月20日の3836円48銭です。ニューヨーク市場での株価暴落をきっかけに、世界的に株価が暴落したいわゆる「ブラックマンデー」の翌日の取り引きで、日本市場に影響が波及した形でした。2日の日経平均株価の下落幅は、この時に次ぐ過去2番目の大きさとなります。次いで値下がり幅が大きかったのは▽1990年4月2日の1978円38銭▽1990年2月26日の1569円10銭▽1990年8月23日の1473円28銭と、いずれも1990年です。日経平均株価は、バブル景気の絶頂期だった前年の1989年12月29日に終値で3万8915円87銭となり、当時の史上最高値を記録しましたが、翌年は状況が一変し、株価の下落が続いていた局面です。また、2000年の4月17日に1426円4銭、値下がりしたときは、ニューヨーク市場で株価が急落したことを受けて東京市場でも電機や情報通信関連などの銘柄に売り注文が広がりました。その後、いわゆるITバブルが崩壊し、日経平均株価は下落する場面が増えました。
今回の株価急落について、大和証券の坪井裕豪 日米株チーフストラテジストは「日銀による今後の利上げのペースやどこまで利上げするのか、不透明な部分が色濃く残っている中で、アメリカ景気の不安という要素が新たに加わってきた。市場関係者の間で、アメリカの景気の先行きは予想よりもう少し速いペースで減速してしまうのではないかという警戒が強まった」と話しています。一方で「リーマンショック前夜と同じかと言われると、そこまでではない。米国のクレジット市場は全く傷んでいない状況で、たとえ景気の減速が強まったとしても、景気不安や金融不安まで、問題が広がるリスクはかなり低いと思う」と述べました。そのうえで、今後の株価の見通しについて、「日本時間の今夜発表される先月のアメリカの雇用統計や、週明けに発表されるアメリカの非製造業の景況感の指標が市場の予想どおりであれば、アメリカの景気に対する過度な不安に歯止めがかかり、自律反発の動きが出る。米国の経済指標や、今後の日銀の金融政策が確認できると自律反発が強まっていき、日経平均株価は4万円近辺を目指すようになるのではないか」と話しています。
今回の株価下落の要因の一つとなったアメリカ経済について、松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「もともと高い金利でもアメリカ経済は持続していたわけだが、さすがに疲弊するのではないかとみられている。この先も減速傾向が出てくるのではないか」と述べました。また、「アメリカは大統領選挙前だ。FRB・連邦準備制度理事会のパウエル議長は9月の利下げの可能性を示唆しているが、中央銀行が政治的なバランスをとることを考えると、難しいかじ取りを迫られるので、金融政策という観点からも不安定な状況が続くとみている」と指摘しました。一方、今後の日経平均株価の見通しについては、「日本は低金利が持続する一方でインフレ率が高まるという見方から4万2000円台まで大きく上昇したわけだが、日銀の追加の利上げによってその前提が変わったということであれば、ことしの上昇幅を吐き出してしまう可能性も出てきた。日銀で利上げに積極的な姿勢、タカ派の姿勢が続くのであれば、ことし初めの3万4000円という水準も視野に入ってくると思う」と述べました。
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