ドル円は、東京市場で149.84円まで値を上げるも前日に続いて150円の大台を前に伸び悩むと、時間外の米長期金利の低下も重しとなり、欧州市場で前日安値148.98円を割り込んで148.85円まで下押した。相場はすでに約2カ月半ぶりの高値水準に上昇したことで、調整売りが出やすい面もあったようだ。
本日のNY市場でのドル円は、このまま調整が進むか、米経済指標や要人発言、株価や長期金利に注目することになろう。
経済指標は、NY市場序盤に10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表予定。市場予想は3.9と前月の11.5から低下が見込まれている。前回9月は、それまで9カ月連続でマイナスとなる中で予想外に強い結果となり、ドル円の上昇を後押ししたのは記憶に新しい。足もとで米年内大幅利下げ観測が後退する中、予想より強い結果となればドル円が切り返すきっかけになり得る。ただし、少数ではあるがマイナスを予想するアナリストもおり、マイナスとなる場合、ドル円は一段と調整が進む展開もあり得る。
また、本日はデイリー米サンフランシスコ連銀総裁やクーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事の発言機会が設けられている。共に今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有している。デイリー総裁は10日に「労働市場は持続可能なペースに下方シフトしている」「年内に1回か2回の利下げが実施される可能性が高い」などと発言しているほか、クーグラーFRB理事は8日に「インフレ抑制で進展が続けば追加利下げを支持」などと発言している。トーンに変化がないか確認していきたい。
また、前日にダウとS&P500が史上最高値を更新しており、米国株の行方は注意が必要だろう。本日の米企業決算発表では、寄り前にバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックスなどが発表予定となっている。好決算が相次ぐようならセンチメントの一段の改善が見込まれそうだ。ただし、過去最高値圏での推移につき利益確定やポジション調整などによる反落もあり得る点には注意したい。
そのほか、カナダでは9月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前月比-0.2%/前年比+1.9%と、前年比では2021年2月以来となる2%を割り込むと見られている。カナダ中銀(BOC)のインフレ目標が2%であることを勘案すると、予想よりも伸び鈍化が明らかとなれば、23日のBOC理事会での大幅利下げ観測が浮上してカナダドル相場の重しとなることも考えられる。
想定レンジ上限
・ドル円は10日高値149.55円。超えると14日高値149.98円
・カナダドル円は日足・一目均衡表の転換線108.75円
想定レンジ下限
・ドル円は11日安値148.41円。割ると9日安値148.01円
・カナダドル円は21日線107.26円
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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●米国は、これまでの大幅な利上げに伴う景気抑制効果から、景気が緩やかに減速するとみられます。ただし、雇用が比較的安定しており、個人消費が底堅いことや、企業収益が回復傾向にあることから、景気の急減速は避けられ、ソフトランディング(軟着陸)する見通しです。
●中国は、不動産市場の低迷や海外景気の減速で需要不足が続き、若年層の雇用悪化の影響などから個人消費も力強さを欠くことから、景気の回復ペースが鈍化するとみられます。ただし、政府が拡張財政を継続することから、緩やかな減速にとどまる見通しです。
筆者は先行き12ヶ月のUSD/JPY見通しを145円に修正する(従来150円)。従来見通しからさほど円高方向への推移を予想しないのは、米国の景気後退が回避される下、中立金利の上方シフトが続くことで、下方ターミナルレートの予想値が切り上がり、日米金利差の縮小が限定的となるとの見方に基づく。
●日本は、7-9月期に下振れしたものの、インバウンド消費の増加や経済対策の効果、堅調な企業収益を背景に、緩やかな景気回復のパスに復調する見通しです。円安地合いも景気を支えるとみられます。
●日銀は1月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の現状維持を決めました。また、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で24年度の消費者物価上昇率(生鮮食品除く)の見通しを引き下げました。
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