本日のNY為替市場のドル円は、中東の地政学リスクや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、ニューヨーク株式・債券市場の動向を注視しつつ、攻防の分岐点である200日移動平均線151.36円突破に向けた強含みの展開が予想される。
11月5日の米大統領・議会選挙に向けて、トランプ候補・共和党、あるいはハリス候補・民主党のどちらが勝利した場合でも、さらなる財政刺激策を講じることが示唆されている。すなわち、大規模な財政出動によりインフレが再び加速して、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍化する公算、あるいは利下げが停止される公算が大きいとの見方から、米長期債利回りが上昇し、ドルは全面高の展開となりつつある。
超党派の米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は、米大統領選での両候補の公約を基に財政赤字を試算した。
共和党候補のトランプ前大統領が返り咲いた場合、2026~35年度の10年間で財政赤字が7兆5千億ドル拡大するとのことである。
25年末に期限を迎える減税策の恒久化が5兆3500億ドル、残業代への課税撤廃は2兆ドルの財政悪化が見込まれている。全ての輸入品に10%、中国に60%の関税を課す方針では、2兆7千億ドルの税収増となる。
民主党候補のハリス副大統領が勝利した場合は、年収40万ドル未満の世帯に関してはトランプ減税を延長して増税しない方針を表明しており、3兆ドルの財政悪化の要因となる。
また本日は、ハト派のハーカー米フィラデルフィア連銀総裁の発言機会が予定されており、今週末からのブラックアウト期間を控えて、11月や12月のFOMCでの利下げ幅への言及に注目しておきたい。
本日も引き続き、イスラエルとイランの軍事衝突激化に関するヘッドラインには警戒しておきたい。自宅を攻撃されたネタニヤフ・イスラエル首相が側近らと会合を開き、イランへの報復攻撃を協議した、と報じられている。
また、イラン外務省の報道官は、イスラエルがイランの原子力施設を攻撃すると脅迫していると訴える書簡を国連原子力機関(IAEA)に送付したと明らかにした。
今週末27日に投開票を迎える衆議院議員選挙では物価高対策が争点となっていることで、石破政権は、輸入物価高の要因となる円安の放置は、政権与党へのマイナスとなるため抑制に動くことが予想される。
本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、151.36円(200日移動平均線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、149.70円(日足一目均衡表・転換線)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しNY株式 債券市場の動向や中東の地政学リスクなどに要警戒か
植田日銀総裁が、従来の「経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、引き続き金利を上げていく」というタカ派的なスタンスに軸足を置くのか、それとも、「利上げの検討にあたってはアメリカ経済や不安定になっている金融市場の動向を慎重に見極めていく」というややハト派的なスタンスに軸足を置くのか、注目しておきたい。
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