22日のニューヨーク外国為替市場で、ドル円は続伸。米10年債利回りが4.16%台まで低下すると150.61円付近まで下押すも、アジア時間に付けた日通し安値150.50円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米10年債利回りが4.21%台まで上昇すると全般ドル買いが強まり、151.20円まで上昇して7月31日以来の高値を更新した。ユーロドルはセンテノ・ポルトガル中銀総裁が「雇用市場が軟化すれば0.50%の利下げも可能」と述べたことなどが相場の重しとなり、1.0793ドルと8月2日以来の安値を更新した。
本日の東京市場では、主だった経済指標の発表や要人発言が予定されておらず、前日に続き本邦株価や時間外の米長期金利を眺めながらの展開になるか。
昨日、日銀からは9月全国消費者物価指数(CPI)の基調的なインフレ率を捕捉するための指標が公表された。刈込平均値が+1.7%(前回:+1.8%)、加重中央値は+0.8%(同:+0.7%)、最頻値は+1.4%(同:+1.3%)とまちまちの結果であった。いずれも日銀のインフレ目標2%を下回っている。植田日銀総裁が9月24日に「政策判断にあたり時間的な余裕がある」と発言したこともあり、日銀の早期利上げ期待の後退により、円は積極的には買いづらいとみる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」を見ると、年内あと2回ある米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げはゼロもしくは1回にとどまるとの確率が約3割となっている。この点も考慮すると、足元のドル円相場は、ドル高・円安に傾きやすい地合いといえる。本日も引き続き、時間外の米長期金利が上昇する場面ではドル円に上昇圧力が掛かりやすいとみる。
テクニカル面でも、今週に入り日足の一目均衡表では三役好転の強い買いシグナルが点灯したほか、昨日は3カ月弱ぶりに200日移動平均線に迫る上伸を見せるなど、上値を試しやすい状況といえる。本日も引き続き、151.37円に位置する200日線を巡る攻防の行方に注目したい。もし同線を上抜くと、7月31日以来となる152円台も視野に入ってくるだろう。
一方、27日投開票の衆院選の争点が物価高対策となっていることもあり、本邦通貨当局による円安抑制や、口先介入には注意が必要だろう。相場は3カ月弱ぶり高値水準となる151円台に上昇しており、きっかけがあればドル売り・円買いが入りやすいことにも留意したい。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 引き続き200日線を意識した展開か
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、149円前半まで売られたものの、円買い圧力はさほど強まらなかったことから買い戻される展開となった。
前回の記事「9月末は日本株の今年最後の買い場になりそうだ」(9月30日配信)がリリースされた日の株式市場は、自民党総裁選挙の結果を受けて急落した。それまでは「高市早苗首相」を材料にして、日経平均株価は4万円をつけるのではないかという動きを見せていたが、同月27日に石破茂氏の勝利が決まると、30日には一時3万7000円台まで急落し、為替は1ドル=141円台まで円高が進んだ。
簡単に言えばM3は市中に出回っているカネの量を表ものだが、月中平均残高をみてみると、確かに本年4月に1612.8兆円と過去最高になってから拡大は止まっている。だが最新分(9月)まで1600兆円台の高水準を続けており、引き続き「お金ジャブジャブ」の状態は変わっていない。
昨日の日銀金融政策決定会合で、実質金利は極めて低い水準であり、経済・物価が見通し通りに進めば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えが示されたことが、タカ派方向のサプライズになったと思います。FOMCもドル安を後押ししたため、ドル円の1カ月物ボラティリティーも11%台に乗せており、円キャリー取引の巻き戻しによる円高はもう少し続きそうです。ドル円は200日移動平均線151.60も割り込んでいますから、テクニカル上は3月安値の146円49銭や大台の145円ちょうどが短期的な下値メドとして浮上しています。
東京市場はドルが小高い。一時7月31日以来となる151円台を示現する局面も観測されていた。
6月以降、米長期金利が低下した一方で、ドルインデックスは上昇し続けるなど、ドル相場はファンダメンタルズを無視した展開が続きましたが、この1週間で米長期金利とドルの連動性がやや回復してきたように思われます。とはいえ、シカゴ通貨先物市場IMMの円ポジションを見ると、投機筋の円売りは足下急拡大しており、市場では根強い円の先安観に加え、金利差を狙った円キャリー取引が再び活発化しているように見えます。今週の焦点は米CPIですが、減速したとしても、市場にサプライズを与えるほどの大幅な下振れとならない限りは、円安圧力により短期的なドル円の押し目は限られるように思います。
国債買入れ減額について、植田総裁が①債券市場の安定性に配慮し柔軟性を確保しつつ予見可能な形で実施、②ほんのわずかな減額ではなく相応の減額規模になる見込み、③次回会合で、今後1~2年の減額計画を決定して速やかに減額を行っていく、などと説明したことで、円金利の大幅上昇は避けられたうえ、円相場も落ち着きを取り戻しました。今後は「相応の規模」がいくらなのか、どのようなペースで減額するのかに注目が集まります。減額に対する市場の期待が先行すれば、その反動で次回の決定会合で円が急落する可能性もあるため、市場への事前の刷り込みなど、日銀の丁寧な情報発信が今後さらに重要になってくると見ています。
6月の米CPI後のドル円の下落が急激だったため、22年の「逆CPIショック」を思い出しました。今回市場ではCPI発表前に、既に年内2回の利下げは織り込まれていたものの、やはり6月のFOMCで示されたドットチャートが、年内利下げ2回→1回に修正の後だっただけに、CPI直後に米長期金利が急低下するなど、それなりに市場の反応は大きかったのだと思います。日本では出口の議論が活発化するなかで、長期金利が上昇傾向にあるものの、期待インフレ率を除いた10年の実質金利は依然として大幅にマイナスのままで、緩和的な政策が続いているため、結局は米インフレと金融政策の動向がドル円には大きなインパクトを及ぼします。
利上げ観測の報道により、今朝の段階で市場では今回の決定会合での利上げがほぼ織り込まれている状況です。仮に政策金利据え置きなら相当程度円安が進む可能性が高いですが、それでも①FOMCの金融政策発表が控えていること、②為替のボラティリティーが上昇しつつあり、円キャリー取引の巻き戻しが起きつつあること、③イベント後の介入リスクも一部意識されていること、などにより、さほど大幅な円安とはならないように思います。反対に、予想通り利上げとなっても、織り込み済みで、一気に数円規模で動くような極端な円高とはなり難いでしょう。
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