本日の欧州市場では、主だった経済指標の発表や要人発言が予定されておらず、ユーロドルは足もとで堅調に推移する米長期金利を眺めながらの展開となるか。
その米長期金利については、年内利下げ観測の後退を背景に堅調な推移となっており、これを受けたドル買いの流れがユーロドル相場の重しとなっている。
昨日はポルトガル中銀のセンテノ総裁が「雇用市場が軟化すれば0.50%の利下げも可能」などと発言したほか、タカ派とされるオーストリア中銀のホルツマン総裁からは「インフレは予想よりも早く低下する可能性がある」との発言も伝わっている。もし、ユーロ圏の金利先安観が意識されるようだと、前述のドル買いの流れと合わさってユーロドルが下値を試しやすくなる展開も想定される。
テクニカル面では、前週に200日移動平均線を割り込んだ後、戻りは同線が抵抗となって下放れとなっており、下値を試しやすい状況といえる。昨日下押しの際にサポートとして意識された8月1日安値1.0778ドルを割り込む場合、6月26日安値1.0666ドルまで目標値が見当たらない。1.0700ドルなどの心理的節目が機能するか注目したい。
なお、NY市場に入ると、10月ユーロ圏消費者信頼感・速報値の発表ほか、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁やベイリー英中銀(BOE)総裁などの発言機会が予定されている。
他方、南アフリカでは 9月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前月比が+0.1%、前年比は+3.8%(8月:+0.1%/+4.4%)となっている。ポイントは前年比の伸びだろう。南アフリカ準備銀行(SARB)のインフレ目標は3-6%であり、予想と同等もしくは低い伸びにとどまるようだと、次回11月のSARB金融政策発表での利下げ観測が浮上することも考えられる。通常、利下げは自国通貨売り要因であるが、南アの場合はこれまで高インフレで景気低迷が続いていたという事情がある。インフレが抑制されれば、SARBが追加利下げに踏み切る余地が生まれて国内経済にとってプラスであり、ランド買い材料になり得る点に留意したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:200日線1.0871ドル。
・ランド円:7月16・17日高値8.78円
想定レンジ下限
・ユーロドル:心理的節目の1.0700ドル
・ランド円:日足・一目均衡表の転換線8.54円
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しユーロドル 下値が意識されやすいか
相場の見通しを見る上では、当該通貨を構成する国の経済格差や政治状況などを見ることになりますが、スイスフラン円を構成するスイスと日本は、両国とも成熟国として、今後強い経済成長を望むような状況にありません。ファンダメンタルズを見る上で、代表的な金利面でも、日本では、1999年にゼロ金利政策、2016年1月からは、マイナス金利政策を導入、量的・質的緩和も継続していますが、インフレが全く上昇せず、今後も長期に渡って低金利背策を余儀なくされそうです。一方スイスも、2015年からマイナス金利を許容する政策を導入、2018年には、それまでの誘導目標となる-0.75%から+0.25%を、更にー1.25%から-0.25%と中央値ベースで、もっとも低い水準にまで引き下げています。 現状では、コロナウイルスの感染拡大もあって、最低でも政策金利の引き上げは、当面全く想定されませんし、加えて既にマイナス金利が導入されていますので、更に大きく深堀することも難しいでしょう。
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