ドル高の流れが続くなか、ドル円は欧州タイムに入っても買いが継続し152.70円台まで7月31日以来の高値を更新した。
最近、米経済指標の良好な結果を受けて米景気のソフトランディング(軟着陸)期待が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩やかになるとの見方が広がっている。また、米大統領選が近づくなかで、景気刺激に前向きなトランプ前大統領が優勢との見方も米長期金利上昇・ドル高の手がかりとなっている。ドル高地合いが続くなか、ドル円はNYタイムでも底堅い動きが続きそうだ。今晩に予定されている米経済指標は9月中古住宅販売件数程度で、引き続き米長期金利の動向が手がかりとなる。
全般ドル高に傾いているなかで、円の対ドルでの下落が目立っている。市場で「衆院選での自民・公明与党の苦戦が予想され政局不安が高まるなかで、日銀が利上げに踏み切りづらい」との見方が強いこともドル高・円安を後押ししているようだが、これは織り込んでいる部分も大きく、この後も円売りを後押しする材料にはなりにくい。日本株は衆院選後の政局不安への警戒で売りに押される動きとなっているが、これから円もリスクオフの買いが入る可能性がある。ドル円は底堅さを維持しつつも上値を試す動きに一服感が出ると見込んでいる。
本日は国際通貨基金(IMF)イベントで植田日銀総裁の講演が予定されており、同総裁の発言内容に注目。同総裁は9月下旬にこれまでの一方的な円安が修正されてきたと述べ、「政策判断にあたり時間的な余裕がある」の見解を示したが、この1カ月でドル円は10円以上上昇している。
・想定レンジ上限
ドル円、節目の153.00円や7月31日の高値153.88円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、200日移動平均線151.38円や本日これまでの安値151.03円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 日銀総裁の発言に注目
こうした中、ドル円相場の今後の見通しに関しては、米国で4日午前8時30分(日本時間4日午後9時30分)に発表される9月雇用統計が円高材料になる可能性がある。ロイターがまとめた市場予想は失業率などの注目指標が横ばいになる見通し。しかし結果が予想よりも悪くなれば、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)が難しくなり、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペースが速くなることも考えられる。今後、日米の金利差の縮小が加速していけば、ドル円相場での円高見通しは強まる。
ただ、円安進行は日銀にとって輸入物価の上昇を通じて物価の今後の見通しを悪くする懸念材料だ。植田氏は20日の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げの必要性を判断するための「時間的な余裕がある」と述べて追加利上げから距離をとったが、その根拠は、9月16日には1ドル=139.56円まで円高が進むなどして、物価上振れリスクが減少したことにあった。改めてドル円相場で円安が進めば、物価上昇圧力が日銀の利上げを後押しするとの見通しも成り立ち、円高材料として意識されることも想定される。
カナダ中銀は23日、政策金利を50bp引き下げ3.75%にすることを決めました。50bpという大幅利下げは2020年3月以来のことになりますが背景には、9月の消費者物価指数(CPI)が1.6%と、同国における高インフレは終わったという判断がある模様です。米国経済との結びつきが強いカナダが大幅利下げを断行したことは、今後のFRBのインフレ見通しにも影響があるかもしれません。
「高度の不確実性がある局面では、通常は慎重かつ漸進的に進めたいと望むものだ」と指摘。「だが、ここでの問題は、非常に漸進的に進めて、金利がとても長い期間にわたって低水準にとどまるとの見通しを生じさせた場合、これが極めて大きな投機的ポジションの形成につながる恐れがあり、後々問題になりかねないという点だ」と説明した。
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