衆院選巡り 経済3団体がコメント
経団連の十倉会長は「政治資金をめぐる問題に対し、国民が厳しい判断を下したと認識しており、真摯に受け止めるべきである。他方、日本経済は待ったなしのさまざまな重要課題に直面している。自民党・公明党を中心とする安定的な政治の態勢を構築し、政策本位の政治が進められることを強く期待する」というコメントを出しました。その上で「成長と分配の好循環を通じた経済成長の実現、原子力の最大限の活用をはじめとするエネルギー政策の推進、公正・公平で持続可能な全世代型社会保障の構築、賃金引き上げのモメンタムの維持・強化に向けた環境整備、地域経済の活性化、国際経済秩序の維持・強化といった重要政策課題について、政治がリーダーシップを発揮し、迅速に取り組んでいただきたい」としています。
海外メディアもNHKの報道を引用し、相次いで速報で伝えています。▼ロイター通信は「自民党と公明党の連立政権は過半数割れが確実」と伝えました。▼中国国営の新華社通信は「自民党と公明党の連立政権は過半数の議席を得られず」と伝えました。▼韓国の通信社、連合ニュースは「日本の与党の議席が過半数を下回るのは2009年以来初めて」と伝えました。▼ロイター通信は「最大の勝者は野党第一党の立憲民主党で、議席数を大きく伸ばした。有権者は政治資金のスキャンダルやインフレをめぐり石破総理大臣の自民党に罰を与えた」と伝えました。また「次の政権の枠組みや世界第4位の経済大国の見通しに不透明感が高まっている」とか「日本が経済的な逆風と東アジアでの緊迫した安全保障の状況に直面するなか、政治的な不安定を招く可能性がある」と伝えています。▼AP通信も「選挙の結果は政治資金のスキャンダルに対する有権者の怒りを反映している」と伝えています。▼イギリスの公共放送BBCは石破総理大臣の「自民党は有権者から厳しい審判をいただいている」という発言を伝えました。BBCは特派員が開票所から中継を行うなどして伝えていました。
自民党の牧原秀樹・法務大臣は小選挙区の埼玉5区で敗れ、重複立候補した比例代表の北関東ブロックでも惜敗率で及ばず、落選が確実になりました。牧原氏は53歳。弁護士で、経済産業省の職員を経て、2005年の衆議院選挙で初当選し、これまでに厚生労働副大臣や経済産業副大臣を務め、石破内閣で法務大臣として初めて入閣しました。選挙戦では、閣僚となった知名度に加え、古い政治の変革を訴えるなど政治改革に取り組む姿勢をアピールしましたが小選挙区の埼玉5区で立憲民主党の枝野幸男・元代表に敗れました。また、重複立候補した比例代表の北関東ブロックでも惜敗率で及ばず、落選が確実になり現職大臣として議席を守れませんでした。
福岡11区で、自民党の前議員で公明党の推薦を受けた武田良太・元総務大臣の落選が確実になりました。武田氏は56歳。衆議院議員の秘書を経て、2003年の衆議院選挙で初当選し、総務大臣や国家公安委員長を歴任したほか、自民党の旧二階派では事務総長を務めました。武田氏は収支報告書に不記載があり、自民党から1年間の「党の役職停止」の処分を受けました。政治倫理審査会で説明したことで党の公認は得られましたが、比例代表への重複立候補は認められませんでした。選挙戦で武田氏は、一連の問題をおわびし、政治改革に取り組む姿勢を示すとともに、誰もが実感できる経済成長の実現や地方の活性化などを訴え、8回目の当選を目指しましたが、支持は十分に広がらず、落選が確実になりました。
東京24区は無所属の前議員で、自民党の政務調査会長を務めた萩生田光一氏の7回目の当選が確実になりました。萩生田氏は61歳。安倍元総理大臣に近かったことで知られ、経済産業大臣や文部科学大臣などを歴任しました。自民党の政務調査会長も務めましたが、収支報告書に不記載があった問題をめぐり、去年12月に辞任しました。その後、自民党から1年間の「党の役職停止」の処分を受け、今回の選挙には自民党から公認を得られず、無所属で臨みました。選挙戦では一連の問題を反省し、政治の信頼回復に努めていく姿勢を強調するとともに、憲法改正の実現や食料自給率の拡大などを訴えて自民党や公明党の支持層を固め、7回目の当選を確実にしました。
自民党の前議員で公明党の推薦を受けた小里泰弘・農林水産大臣は小選挙区の鹿児島3区で敗れ、重複立候補した比例代表の九州ブロックでも惜敗率で及ばず落選が確実になりました。小里氏は66歳。2005年の衆議院選挙で初当選し、これまでに総理大臣補佐官などを務め、石破内閣で農林水産大臣に起用されました。選挙戦で小里氏は、地方の農林水産業の持続的な発展や地域経済の活性化などを訴え、7回目の当選を目指しましたが、選挙区で敗れ、重複立候補した比例代表の九州ブロックでも惜敗率で及ばず、落選が確実になりました。
大阪6区は公明党の前議員で自民党の推薦を受けた伊佐進一氏の落選が確実になりました。伊佐氏は49歳。2012年の衆議院選挙に立候補して初当選し、これまでに厚生労働副大臣などを務めました。大阪6区には、日本維新の会が、初めて候補を擁立し、立憲民主党や共産党などの候補を交えて、5人による激しい選挙戦となりました。伊佐氏は自公政権の実績をアピールするとともに、経済や社会保障政策のさらなる充実を図っていくと訴えましたが及ばず、落選が確実となりました。
衆院選で与党の獲得議席が過半数を割り込んだことに対し、経済界から28日、「真摯(しんし)に受け止めるべきだ」(経団連の十倉雅和会長)とのコメントが相次いだ。
国民民主党の玉木代表は28日午前0時すぎから東京都内で開いた記者会見で、自民・公明両党から連立政権への参加の打診は受けていないとした上で「どこかに加わるというよりも、選挙で訴えた『手取りを増やす経済政策』の実現に向けて、協力できるところとは協力する。政府や与党にも求めていく」と述べました。そして「どの党も過半数を取らない状況になれば、各党のさまざまな意見を聞いて物事を決めていく新しい政策決定のルールが必要だ」と述べました。
東京1区は、立憲民主党の前議員、海江田万里さんの9回目の当選が確実になりました。自民党の前議員で、公明党が推薦する、山田美樹氏の落選が確実になりました。山田氏は50歳。経済産業省の職員などを経て2012年の衆議院選挙で初当選し、これまでに環境副大臣などを務めました。山田氏は収支報告書への不記載があり、今回の選挙で比例代表への重複立候補が認められませんでしたが、自民党の公認は得て戦いました。選挙戦で政治とカネの問題への反省を踏まえ、政治改革に全力を挙げる姿勢を示すとともに子育て支援や教育施策などの充実を図っていくとアピールし支持を呼びかけましたが及ばず、落選が確実になりました。
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