29日の香港市場は堅調か。前日の米株高を好感し、香港市場でも買いが広がりそうだ。前日のNY市場は、週内にアップル、マイクロソフト、アルファベットなどのメガキャップの決算発表や10月雇用統計などの注目指標の発表を控える中、中東情勢緊迫化への警戒感の緩和や、それを受けた原油相場の大幅下落がセンチメントの改善につながった。イランは週末にイスラエルに空爆を行ったが、石油関連施設や核施設を攻撃対象としなかった。
ただ、今週は中国の製造業購買担当景気指数(PMI)や米国の国内総生産(GDP)速報値、雇用統計などが発表されるとあって、様子見ムードが強まる可能性もある。一方、香港市場では7-9月期決算を材料に個別物色の動きが活発となりそうだ。29日はHSBC(00005)やペトロチャイナ(00857)、中国人民保険(01339)などが決算を発表する。
28日のNY株式市場でダウ平均とS&P500は反発。ハイテク株主体のナスダック総合は3営業日続伸した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)はHSBC(00005)や美団(03690)、テンセント(00700)、アリババ集団(09988)などが香港終値を上回って引けた。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
米景気は低水準ながらプラス成長を続ける見通しです
●FRBは、9月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2会合ぶりに据え置きました。参加者の政策金利見通し(ドットチャート)では、24年末のFF金利は5.125%と、0.25%の利下げ2回を織り込む水準にとどまり、前回予想(4.625%)から切り上がりました。
●米国の10年国債利回り(長期金利)は、9月のFOMCで参加者の政策金利見通し(ドットチャート)がタカ派的だったため、FRBが高水準の政策金利をより長く維持するとの観測が強まったことから、大幅に上昇しました。米長期金利は一時4.6%台と、2007年以来約16年ぶりの高水準を付けました。
●FRBは9月のFOMCで、政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%としました。FOMC参加者による金融政策の見通しは、年内2回の会合でさらに0.25%で2回分の利下げを行い、26年にかけて緩やかなペースで利下げを継続する内容となりました。
●米国は、これまでの大幅な利上げに伴う景気抑制効果から、経済が減速するとみられます。ただし、雇用が安定しており、個人消費が底堅いことやインフレが鈍化していることから、景気の腰折れは回避されるとみられます。米景気は低水準ながらプラス成長を続ける見通しです。
●S&P500種指数採用企業の増益率(純利益ベース)は7-9月期が前年同期比+1.6%、除くエネルギーセクターは同+6.7%となる見通しです。10-12月以降も増益率の上昇が予想されています。(リフィニティブ集計、9月29日現在)。一方、TOPIX採用企業の7-9月期の純利益は同+19.2%の見通しです(Bloomberg集計、10月2日現在)。2023年度も日本の企業業績は増益が予想されています。
一方、新興EVメーカーのニオ インク A(09866)は4-6月期の粗利益率が市場予想以上に低下し、大幅安となりました。値下げ競争の影響で同社は4-6月期に販売が苦戦し、業績悪化につながりました。なお、経営陣は決算発表会で、7月以降の販売回復により、業績は7-9月期に底を打つ可能性があるとし、楽観的な見通しを示しました。
●豪州は、海外景気の減速やインフレによる消費への下押し圧力を受けて成長率が鈍化するものの、緩やかな景気回復の流れが続く見通しです。中国経済が減速するとみられるものの、企業の投資意欲、良好な雇用環境、コロナ下で積み上がった貯蓄などが、豪州経済を支えるとみています。
●9月の米国株式市場は調整しました。FOMCで利上げは行われなかったものの、政策金利の見通しが上方修正されたことや原油高などから金融引き締めの長期化か懸念されたことを背景に、米長期金利が上昇し続けたことが嫌気されました。一方、日本株式市場は、前半は中国景気に対する不安感が和らいだことなどで上昇したものの、後半は米国株式市場の調整を受けて下落しました。
米国の10年国債利回り(長期金利)は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で参加者の政策金利見通し(ドットチャート)がタカ派的だったため、FRBが高水準の政策金利をより長く維持するとの観測が強まり、16年ぶりの水準に上昇しました。ドイツの長期金利は、ECBによる金融引き締め局面が長引くとの観測から12年ぶりの上昇しました。日本の長期金利は、日銀による早期の緩和修正観測から10年ぶり水準に上昇しました。
●日本は、インバウンド消費の回復、設備投資の増加、供給制約の緩和に加え、底堅い米景気を背景とした輸出増を支えに、緩やかな景気回復が続く見通しです。ただし、24年前半にかけては欧米や中国など海外景気の減速により、回復ペースが鈍化するとみています。
コメント