午前の為替予想は… レンジ内取引 日銀総裁発言に注目
作成日時 :2024年10月31日7時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 研究員 中村勉
ドル円予想レンジ
152.000-154.500円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は、153円台を維持したものの伸び悩んだ。米10月ADP全国雇用者数が予想を大幅に上回る結果となり、153.48円前後まで強含む場面も見られた。ただ、その後に発表された米7-9月期国内総生産(GDP)が予想に届かなかったほか、対ユーロでのドル売りの影響もあり上値を伸ばすには至らなかった。
本日は日銀金融政策決定会合が開催される。政策金利は0.25%で据え置かれる見通しで、市場の注目は植田総裁の定例記者会見での発言に向いている。先週末の衆院選で与党が過半数議席を獲得できなかったことから、日銀は当面利上げに動きにくいとの見方が広がっている。植田総裁の発言内容次第ではドル/円は上下ともに大きく動くことも考えられる。ドル/円は今週に入り152.41円前後~153.88円前後でのレンジ取引となっているため、レンジを抜けた際には上下ともに相応の値動きとなる可能性があるため注意したい。NY市場では米9月個人消費物価指数(PCEデフレーター)や前週分の新規失業保険申請件数が発表される。
今朝 最新のドル/円チャート
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 レンジ内取引 日銀総裁発言に注目
29日のアジア市場では、朝方に1ドル160円を付けた後、ドル円レートは1ドル159円台前半で推移していたが、13時台に入って一転して円高に振れ、1ドル155円近くまで円が買い戻された。その後29日の海外市場では、ドル円レートは1ドル154円台と156円台の間で大きく変動する不安定な動きが続いた。
仮に為替介入が行われた場合には、それが、円安が進んだ先週末ではなく週明けのタイミングとなった理由は2つ考えられる。第1は、朝方に1ドル160円の節目を超えたことで、日本の当局の円安への警戒感が一段と高まったことに加えて、日本の為替介入に難色を示す米当局を説得する材料になったと考えられる。第2に、日本市場が休日でアジア市場でのドル円の取引が薄商いであったことから、比較的規模が小さい介入でも為替市場を大きく動かすことが可能な状況であったことだ。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が大幅利下げに踏み切る一方、今後の利下げは急がない姿勢を示し、19日の円相場は一時143円95銭と6日以来の安値を付けた。上田氏は、米経済が軟着陸に近づいたことで日本経済も下振れリスクが低下しており、「日銀が利上げに向けて進みやすくなっている」と指摘した。
2022年に、政府は米国が難色を示す中でも為替介入を実施したとみられることを踏まえると、今回、イエレン財務長官が日本の為替介入をけん制する姿勢を見せるなかでも、介入に踏み切る可能性はなお十分に考えられる。政府は、円安阻止に向けた対応をしていることを企業や国民にアピールすることが政治的には求められており、その観点からも、いずれ為替介入に踏み切る可能性は引き続き高いだろう。
4月26日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合の後に、為替市場では円安が一段と進んだ。会合前には1ドル155円台前半で推移していたドル円レートは、決定会合で政策変更が見送られたことに加え、会合後の記者会見での植田総裁の発言から、日本銀行は円安に対する警戒心が弱いとの見方につながり、1ドル156円台まで円安が進んだ。
1時間以内に4円程度も円高に振れることは、通常の取引では起こりにくいことだ。日本が休日でアジア市場でのドル円の取引が薄商いであったため、価格の変動(ボラティリティ)が高まっていたことを考慮に入れても、政府による為替介入があったことが疑われる状況だ。政府は為替介入の有無を明らかにしていないことから確実ではないものの、覆面で為替介入が行われた可能性は比較的高いのではないか。
一方で、予想に沿ったレンジとなったNY金に対し、国内大阪取引所の国内金価格(JPX金)は、想定レンジの上限を大きく上回る価格となった。これはドル高の背景となった米長期金利の上昇と好調な景気見通しが、再び日米金利差拡大見通しを強め、ドル円相場が、大きくドル高円安に動いたことによる。前述のようにNY金が最高値を更新する中での円安は、ダブルでJPX金の押し上げ要因となった。
先々週(10月15日週)に149.53円で終わっていたドル円相場が、10月23日に一時153.19円と7月末以来の円安・ドル高水準を付けた。前述したようにNY金が最高値を更新した現地23日は日本時間では24日の深夜であり、JPX金は23日の夜間取引にて一時1万3572円まで付け、これが史上最高値となった。JPX金の25日終値は1万3345円となったが、前週末比259円、1.98%高の3週続伸となった。
円安を加速させる特定の材料があった訳ではないが、日本が休日であるため、政府の為替介入に対する警戒感が薄れていたことが、市場参加者が安心してドル買い円売りを仕掛けることを許した一因と考えられる。さらに、日本が休日のためドル円の取引がかなり薄いことも、市場のボラティリティを低下させ、一気に1ドル160円台まで円安が進んだ背景だろう。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト、連休を控えた五・十日(ごとおび)に当たるが、仲値を過ぎてから実需の動きで円高に振れていると指摘した。日銀会合は据え置き予想で反応は乏しいと予想する半面、「米国の大幅利下げにもかかわらず、円高が一時的だったことが日銀を勇気づけており、植田総裁は利上げ路線を変えないだろう」とみている。
20日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=142円台前半で堅調推移。日本銀行の金融政策決定会合では政策の据え置きが見込まれ、午後に行われる植田和男総裁の会見で追加利上げの時期を探る。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけては実需の円買いも指摘された。
円安の流れに弾みがつく最初のきっかけとなったのは、米国時間の25日に、イエレン米財務長官が、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べ、日本政府の為替介入をけん制したことだ。
終値ベースで見ると23日までの8営業日連続で最高値更新となった。レンジは1万3086円~1万3572円となったが、想定レンジを米ドル/円相場が「147~149円ほどとした上で」1万3050~1万3250円としていた。想定外の円安進行がかい離につながった。なお、10%の消費税込みで表記される店頭小売価格も最高値を更新し、23日の1万4748円が最高値でその後も1万4700円台を維持して週末を迎えた。
4月10日に1ドル152円という2022年、2023年の円安のピークの水準という節目を超えて円安が進んでから、短期間で8円も円安が進んだ。年初の1ドル約140円からは約14%も円安が進んだことになる。それは、消費者物価を1年間で0.2%程度押し上げる効果を持つ(内閣府「短期日本経済マクロ計量モデル(2022年版)」による)。
円安の流れは海外市場でも続き、米国市場の終盤には、1ドル158円台まで円安が進行した。24時間のうちに約3円もの急速な円安となった。1ドル160円台乗せも時間の問題となってきた。
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