損保4社に計20億円の課徴金命令
公取委によると、大手損保4社は民間企業や官公庁など9社・団体との保険契約に関し、入札や見積もり合わせで保険料の水準を調整したり、受注予定者を決定したりして競争を実質的に制限していた。あいおいを除く3社は全9契約の調整に関与した。
企業向けの保険をめぐり損害保険会社どうしで保険料の価格を調整していた問題では、去年12月、金融庁が大手損保4社に対し保険業法に基づく業務改善命令を出しました。この命令で金融庁は、大手損保4社が保険の販売先である顧客企業と関係を保とうと、株式を保有したり、商品やサービスの販売で協力したりするいわば“もたれ合い”の慣習を続けていて、本来ならば保険会社どうしが入札などで価格を競うべき場面で競争意欲を損なわせた可能性があると指摘しました。こうした指摘を受けて大手損保4社はことし2月、“もたれ合い”の温床にもなった顧客企業の株式を持つ「政策保有株」をゼロにする計画を一斉に発表しました。東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の3社が2029年度末(まつ)までに、損害保険ジャパンは、2030年度末(まつ)までにゼロにするとしています。また、業界団体の日本損害保険協会も明確な期限を定めて政策保有株をなくし、新たな保有も認めないとするガイドラインを策定しました。一方、金融庁の調査では、保険料の価格調整について、違法または不適切かどうかを認識していなかったり、問題ないと認識していたりした事例は全体のおよそ3分の2にのぼっていました。大手損保4社は独占禁止法などについて理解を深める研修を行うなどの再発防止策を示していますが、損保業界では今回の問題以外にも代理店が持つ顧客情報を漏えいしていた問題が発覚していて、法令順守の意識をいかに高められるかが課題となっています。
対象となるのは、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の損保大手4社。
また、東京都立病院の賠償責任保険や警視庁の自動車保険を巡る入札、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(東京)が発注する石油備蓄基地での事故などを補償する保険の入札でも受注する損保や落札金額をあらかじめ決めていた。
損保大手4社に課徴金20億円 公取委new!
発表によると、4社は遅くとも2019年以降、災害時などの巨額補償を複数の損保で分け合う「共同保険」を巡り、取引先が4社へ支払う保険料の値下がりを防ぐことで合意。取引先が契約更新時に見積もり合わせを行う際、各社が取引先へ高額の保険料を提示するよう調整し、補償時の負担割合も事前に定めていた。
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