午前の為替予想は… 米雇用統計がドル売りを誘発するイベントにはなりにくい
作成日時 :2024年11月1日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
ドル円予想レンジ
151.000-153.200円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は植田日銀総裁の発言を受けて一時151円台へと下落した。植田総裁は金融政策決定会合後の会見で、8月以降たびたび使用している「時間的な余裕がある」との表現について、今後は使わないと表明。追加利上げへの距離感が縮まったとの見方から円を買い戻す動きが出ると欧州市場で152円台を割り込んだ。NY市場に入り153円台を回復する場面もあったが、月末のロンドン・フィキシングに向けたドル売りや米長期金利の低下を背景に151.83円前後まで下値を拡大。終値は前日比で約1円40銭(0.9%)ドル安・円高の152.00円前後だった。本日は米10月雇用統計が発表される。南東部を襲った大型ハリケーンや、大手航空機メーカーのストライキの影響で10月の非農業部門雇用者数は10.0万人増にとどまると予想されている。もっとも、特殊要因による一時的な雇用情勢の悪化は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを巡る判断には大きく影響しないと考えられる。さらに、今回の米10月雇用統計には特殊要因の影響で「弱くて当たり前」というバイアスがかかっていることから、ドル売りを誘発するイベントにはなりにくいだろう。雇用統計の発表後は、来週5日に迫った米大統領選に関心が移ることになりそうだ。
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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ドル円午前の為替予想 米雇用統計がドル売りを誘発するイベントにはなりにくい 2024
日銀金融政策決定会合は、日本銀行が日本の金融政策を決定するために行う会合であり、米国のFOMCと同じようなイベントになります。年に8回開催され、政策の発表は通常正午前後に行われ、その後に日銀総裁による会見が午後3時半に開かれます。この会合の発表内容や総裁会見において、今後の円の見通しを公表するようなことがあれば、米ドル/円相場などの為替市場では大きな変動が生じます。市場参加者は、この会合での政策決定や総裁の発言を重視し、それに応じて取引の方向性を見極めます。
FXでは、円高や円安のいずれの状況下でも利益を得る機会があります。例えば、1ドル=100円の時に1万通貨のドルを購入し、円安で1ドル=110円になった際に売却すると、10万円の利益が生まれます。
米ドル/円は国内のFX取引で圧倒的な人気を誇り、この人気に支えられた高い流動性と、実質的な取引コストであるスプレッドが狭い点が特徴となっています。
米国消費者物価指数は、一般消費者が購入する商品やサービスの価格変動を調査して指数化したものであり、インフレーション(物価上昇)を示す代表的な指標の1つです。この指数は毎月中旬に米国労働省によって公表されます。消費者物価指数の結果が予想値を上回る場合、市場では米ドルの需要が高まり、米ドルを買う反応が強まる傾向があります。逆に予想を下回る場合、米ドルの需要が低下し、米ドルを売る動きが強まる傾向があります。
「10月のADP」はややサプライズでした。市場予想の「11万人」に対して「23.3万人」と大きく伸びており、ここ1年余りで最大の増加でした。また、9月分も「14.3万人」から「15.9万人」に上方修正され、労働需要が堅調なことが示されました。9月から10月にかけては米南西部に2つの大きなハリケーンが襲来し、甚大な被害を与えたことは記憶に新しいところですが、そうした中でも労働市場が健全な状態を維持したことになります。ADPのチーフエコノミストはこの結果について、「ハリケーンからの復興のさなかでも、10月の雇用の伸びは力強かった。米企業の採用ペースは10月に急加速し、雇用の伸びは1年余りで最大だった。労働需要が驚くほど力強い状況を浮き彫りにしている」と説明しています。(ブルームバーグ)今回の結果を受け、先月も同じような状況であったことが思い起こされます。「9月のADP雇用者数」が大きく伸び、「雇用統計」本番への期待も高まり、事実「9月の雇用統計」では想定外の伸びをみせました。FRBによる大幅利下げ観測が一気に後退し、これがドル円を押し上げる契機になりました。「明日の雇用統計」で、再び同じ結果が示され「2匹目のどじょう」ということになるのか、あるいは、やはり2つの指数に相関性は見られない結果になるのか注目です。通常、昨日のような結果が示されれば、本来ならドル円はもう少し上値を試してもおかしくはなかったと思われますが、GDPが予想に届かなかったことや、上でも述べたようにビッグイベントを控えていることが影響したとみています。
GDPとは、一定期間内に国内で生み出された財とサービスの付加価値の総額を表す経済指標であり、国の経済規模を測るための重要な指標の1つです。米国商務省経済分析局が速報値を1月、4月、7月、10月に発表します。改定値、確報値などもありますが、この速報値の内容が特に注目されます。GDPの結果が予想を上回る場合、通常は米ドルの需要が高まり米ドルが買われる傾向になります。逆に、予想を下回る場合、米ドルの需要が低下し米ドルが売られることになります。指標が予想に対して強かったり弱かったりすることで、為替市場における米ドルの動向に影響を与えるため、押さえておきたい経済指標の1つとなります。
米労働統計局によれば、年次改定により3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されそうだ。下方修正幅は2009年以来最大。
米ドル/円は国内のFX取引で圧倒的な人気を誇り、この人気に支えられた高い流動性と、実質的な取引コストであるスプレッドが狭い点が特徴です。
例えば、「米ドル/円」と「円/米ドル」の違いをみていきましょう。米ドル/円とは、1ドルが何円と交換できるかを指します。つまり、1ドルが100円である場合、米ドル/円のレートは1ドル=100円となります。一方、円/米ドルは、1円が何ドルと交換できるかを示します。例えば、1円が0.01ドルである場合、円/米ドルのレートは1円=0.01ドルとなります。
「ゴトウ日」とは、毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日など、5と10がつく日のことを指します。これらの日は多くの企業が決済日であり、海外の取引先に支払うために大量のドルが必要となるため、為替市場においては東京時間の「仲値」に向けてドル高・円安の傾向が生じやすくなります。
米ドル/円の取引を行う際には、幾つか抑えておかなければならないポイントがあるので詳しく解説します。
新規失業保険申請件数は、失業者が失業保険の給付を初めて申請した件数を指します。この数字が増加すると、失業状況が悪化していることとなり、米国の雇用状況を把握するための重要な指標となります米国労働省は毎週この統計を集計し、木曜日に前週の数値を発表しています。雇用状況が悪化すると個人消費が低下し、経済が不振になる傾向があるため、米ドルが売られる可能性が高くなります。
本日のドル円は152円20銭~154円程度を予想します。
ドル円は前日と同様に152円台後半から153円台半ばで推移。「ADP雇用者数」が予想を大きく上回り、米利金利が上昇し153円50銭までドルは買われたものの、重要イベントを控え上値は抑えられた。ユーロドルは反発。ドイツがリセッショ入りを回避できたことや、同国のインフレ率が想定を上回ったことで1.0871まで上昇。ユーロは対円でも166円59銭前後まで買われた。株式市場では3指数が揃って下落。半導体銘柄の売りが相場全体を下げ、S&P500は19ポイントの下落。債券は反落。長期金利は4.3%台に乗せて引ける。金は5日続伸し2800ドル台に。原油も買われる。
ここでは、米ドル/円相場に大きな影響を与えるメジャーな指標・金融政策を解説します。重要な指標発表の時は相場が大きく動く可能性があるため、収益の機会でもありますが、損失が発生する可能性もあります。そのため、すでに保有しているポジションを一旦クローズさせるなど、リスク管理を意識した取引を心がけましょう。
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