郵便料金 年賀状じまい加速
10月1日の郵便料金値上げをきっかけに、新年のあいさつ代わりの年賀状を見直す動きが加速しそうだ。島根県内では、値上げ前に「年賀状廃止のお知らせ」を郵送する企業もあり、印刷会社には注文取りやめの連絡が入り始めている。負担は増す一方、心のこもった1枚を出し続けようとする人もいる。
日本郵便は、メールや交流サイト(SNS)の普及で利用減が続く郵便事業を維持するため、10月1日から郵便料金を約3割値上げした。年賀状を含むはがきは63円から85円になり、消費税の増税時を除き、1994年以来、30年ぶりの大改定となった。
日本郵便は1日、2025年用の年賀はがきを全国一斉に発売した。12月15日から受け付け、25日までの投函(とうかん)を呼びかける。10月1日の郵便料金値上げで通常の年賀はがきは63円から85円になった。印刷業者は「年賀状じまい」の加速に気をもむ一方、年賀状には「つながりの効用がある」と指摘する識者もいる。年賀状、どうしますか――。
年賀はがきを含めたはがきの料金が値上げされる背景の1つに、郵便事業の厳しい状況があります。日本郵便の郵便事業の営業損益は、令和4年度に民営化以降、初めての赤字となり、昨年度は赤字幅が896億円に拡大しました。インターネットやSNSの普及で郵便の利用数が減少する一方、物流コストなど費用が増加しているためで、日本郵便は10月1日から郵便料金を一斉に値上げしました。年賀はがきの発行枚数も平成16年用の44億枚余りをピークに減少傾向が続いています。SNSやメールで新年のあいさつをするケースが増えていることや、企業の間でコストの削減や環境への配慮から年賀状を取りやめる動きが出ていることが要因です。このため来年・令和7年用の年賀はがきの当初の発行枚数は10億7000万枚と前の年より25%減り、減少率は比較できる平成16年用以降で最も大きくなっています。発行枚数が減少する中、日本郵便は近年、通話アプリを使って年賀はがきのような見た目のメッセージをやりとりできるサービスなども始め、年賀状の文化を守っていきたいとしています。
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