午前の為替予想は… 152円台で底堅さを維持 米祝日で動意は限定
作成日時 :2024年11月11日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
ドル円予想レンジ
151.800-153.500円
前日の振り返りとドル円予想
8日のドル/円は終値ベースで約0.2%下落。米長期金利の低下を背景に一時ドル売り・円買いが優勢となり152.14円前後まで弱含んだ。ただ、米大統領選で勝利したトランプ氏の政策がインフレ再燃や財政悪化を招くとの見方は根強く、米長期金利の低下が一服すると152円台後半へと持ち直した。なお、トランプ氏は次期政権の通商代表部(USTR)代表への就任をライトハイザー氏に要請した模様だ。ライトハイザー氏はトランプ政権1期目で対中貿易戦争を指揮するなど、対外強硬派として知られている。トランプ次期政権の関税強化を巡る思惑などから、ドルは買われやすい地合いが続きそうだ。もっとも、本日は米国のベテランズ・デーの祝日でNY債券市場が休場となる。このためドル/円の動意は限定される公算が大きく、153円台半ば以上では戻り売りが優勢となるだろう。一方、20日移動平均線や200日移動平均線が通る151円台後半が下値支持として機能しそうだ。
今朝 最新のドル/円チャート
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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ドル円午前の為替予想 152円台で底堅さを維持 米祝日で動意は限定
この点について、ドル円が161円台に向けて上昇し始めた2023年以降の相関係数で確認すると、ポンド円とドル円のそれは0.725である一方、ポンドドルとの相関係数は0.341と低い。
英ポンド売りと米ドル買いが重なることで、ポンドドルは50日線を下方ブレイクする展開が予想される。ポンドドルが50日線を下方ブレイクする場合は、9月11日の安値1.30のトライそして下方ブレイクを想定しておきたい。
最後に、今年の年末に向けたドル円(USD/JPY)の見通しについて考察したい。
米国経済が底堅さを維持したまま、米ドル高政策を掲げるトランプ候補がアメリカ大統領選挙で勝利する場合、外為市場では「2016年の再来」と言わんばかりに、米ドル高が進行することが予想される。
一方、仮にハリス候補が大統領選挙で勝利した後、さえない米経済指標が続きパウエルFRBの利下げペースが速まるとの思惑が再び強まれば、米ドル安優勢へ転じるシナリオを用意しておきたい。
この点について、まずは民主党とハリス候補が掲げる政策から考えてみると、対中国政策の強化、移民の抑制などは共和党とトランプ陣営が主張する政策と若干の違いはあれど、ほぼ同じである。大きな違いは法人税の引き上げであるが、この点は米国の株式市場に大きな影響を与えても、米ドルへの影響は限定的となることが予想される。
米ドル高の進行、そして日銀の追加利上げ観測の後退による円安が重なる場合は、152円の上方ブレイクを想定しておきたい。このケースでは、今年7月の高値と9月の安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準153.40レベル、そして76.4%の水準156.67レベルのトライが焦点として浮上しよう。
一方、今晩の9月雇用統計が米ドル売りの要因となる場合は、ドル円(USD/JPY)の反落を想定しておきたい。ポンド円(GBP/JPY)もドル円の下落に追随する展開が予想される。
よって、ハリス候補が勝利する場合、米ドル相場はパウエルFRBの政策動向をより強く受けると予想する。
先週のドル/円相場はドルが行って来い。ザラ場ベースでは一時154.71円、7月30日以来の高値を示現したものの、レベルを維持出来なかった。
しかし、ベイリー発言の前からポンドドルがジワリと下落している状況は、上で述べたパウエルFRBの利下げペースについて再考が迫れていることと深く関係していよう。
特に共和党のドナルド・トランプ候補が勝利する場合は、年末に向けて米ドル安ではなく米ドル高のシナリオを用意しておく必要がある。
ゆえにハリス候補の勝利で米ドル高となっても、トランプ候補勝利のそれと比べて米ドル高は限定的となることが予想される。
12月アメリカが更に0.25を利下げし、日本が0.25を利上げし、ドル安に行きます?
日米の金融政策に対して市場の思惑が揺れている。この状況は、米ドル安と円高の圧力をジワリと後退させる要因となろう。よって、今年末に向けたドル円(USD/JPY)は節目の140円、テクニカルの面では短期サポートラインの維持に注目したい(下の週足チャートを参照)。
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