執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は100.46円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は91.06円前後で週初を迎えました。今週の外国為替市場は米ドル中心の値動き。前週に実施された米大統領選で共和党候補のトランプ氏の大統領返り咲きが決まったことから、週明けの月曜日(11日)からドルが全般的に買われました。豪ドル/円、NZドル/円は米ドル/円の上昇とストレートドルの下落、双方から引っ張られた結果、ともに週を通して約1円の狭いレンジでの値動きとなりました(執筆時)。
豪労働市場のひっ迫は緩みつつある?
今週は豪7—9月期賃金指数(WPI)、豪10月雇用統計と豪州の労働関連指標が相次いで発表されました。13日に発表された豪7—9月期WPIは前年比+3.5%、前期比+0.8%といずれも市場予想(+3.6%、+0.9%)を下回りました。翌14日に発表された豪10月雇用統計では、雇用者数が1.59万人増と市場予想の2.5万人増を下回りました。雇用者数変化が市場予想を下回るのは今年の3月分以来7カ月ぶりとなりました。これらの結果は豪州の労働市場が減速しつつあるサインと受け止められないこともありません。ただ、その前の6カ月は市場予想を大きく上回る結果であったことを考えると、今回の豪10月雇用統計や豪7—9月期WPIが市場予想を下回ったことで、豪準備銀行(RBA)がすぐに利下げに転じるとは考えられません。短期金利市場が織り込むRBAの利下げ開始時期は来年の5月です。ほかの主要国が利下げに金融政策のかじを切る中で、いまだに利下げに動かない豪ドルは国内発の材料で大きく下げることはあまりなさそうです。
当面は米ドルを中心とした動き
来週は豪州や中国で主要な経済指標の発表は予定されていません。米大統領選以降、市場のメインテーマはトランプ次期米大統領の政策です。トランプ氏の掲げる政策は減税、関税強化、移民送還など、どれをとっても米国のインフレを再加速させかねないものです。そのため米国の長期金利が上昇しやすく、米ドルが買われやすい地合いは来週も続きそうです。さらに、中国や欧州に対する米国の関税強化は強く懸念されており、ユーロや中国と交易関係の強い豪ドルは対米ドルで売られやすくなっています。ドル高による米ドル円の上昇とストレートドル(豪ドル/米ドル)の下落、双方に引っ張られて豪ドル/円は来週も方向感のない動きが続きそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は100円台後半から101円台前半での動きを中心に方向感のない動きが続きました。目先の上値目途は今週高値の101.36円前後になりそうです。その上の水準では11/7高値の102.399円前後が意識されそうです。一方で下値は、200日移動平均線が目先の目途となります。その下の水準では99円台後半~100円台前半が目途となりそうです。この水準には週足雲上限や週足基準線が位置しています。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:99.50-102.50、NZD/JPY:90.00-93.00
11/18週のイベント:
11/18 (月) 06:45 NZ 7-9月期四半期卸売物価指数(PPI)
11/19 (火) 09:30 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
11/20 (水) 10:00 中国 1年物・5年物ローンプライムレート
一言コメント:
早朝のラジオ出演の準備などもあり、毎朝始発で出勤しています(その分帰宅も早い)。最近は家を出るときはまだ外は真っ暗。朝と言うより夜です。今週、家を出た際にふと空を見上げると、オリオン座が見えました。冬ですね。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
2027年7月の豪ドル円見通し。当月始値 112.54、最低 111.57、当月最高 114.97。平均 113.09。月末 113.27。変更 0.6%。
2027年1月の豪ドル円見通し。当月始値 108.50、最低 108.50、当月最高 113.04。平均 110.35。月末 111.37。変更 2.6%。
2027年9月の豪ドル円見通し。当月始値 116.67、最低 116.67、当月最高 121.57。平均 118.67。月末 119.77。変更 2.7%。
2026年12月の豪ドル円予想。当月始値 110.14、最低 106.87、当月最高 110.14。平均 108.91。月末 108.50。変更 -1.5%。
為替レートには、多くの要因が影響しています。上述した内容は、豪ドル対円相場の推移、そしてこの通貨ペアを取引する際の注意点についてです。
2028年1月の豪ドル円見通し。当月始値 116.46、最低 116.46、当月最高 121.75。平均 118.66。月末 119.95。変更 3.0%。
IMM通貨先物11月12日資源国通貨 豪ドルの買い越し減少カナダ 182389枚の売り越し7160枚の売り越し増豪ドル 29795枚の買い越し1181枚の買い越し減NZドル 11660枚の売り越し3461枚の売り越し増レバレッジド・ファンズ11月12日資源国通貨豪ドルが売り越しに転じるカナダ 91894枚の売り越し1855枚の売り越し減豪ドル 3927枚の売り越し11872...
2026年10月の豪ドル円予想。当月始値 110.61、最低 110.61、当月最高 115.25。平均 112.51。月末 113.55。変更 2.7%。
前者については2017年に成立した減税で2025年末に期限が切れますが、これを「恒久的に延長する」というものです。延長には議会の承認が必要ですが、上でも述べたように、上下院を共和党が支配すれば議会通過は極めて容易になります。「単純に延長すれば景気へのマイナスは避けられるが、米議会予算局は財政赤字が今後10年間で4.6兆ドル(約706兆円)拡大する要因になるとはじいている。」(日経新聞)、そうなると格付け会社は米国の格付けを引き下げる可能性も出てきます。もっとも、すでに米国債の格付けは唯一、ムーディーズだけが最上級の「Aaa」を維持していますが、他の大手、スタンダード&プアーズと、フィッチは上から2番目に格付けにしているため、それほど影響はないかもしれませんが、いずれにしてもドル安要因になることと思われます。
2027年4月の豪ドル円予想。当月始値 110.91、最低 108.53、当月最高 111.83。平均 110.36。月末 110.18。変更 -0.7%。
曲線が曲がりくねっている理由は? AUD/円の取引の際、トレーダーが知っておくべきこととは?
11月18日(月曜日)の豪ドル円見通し: 為替レート 98.68、 最高 100.16、最低 97.20。 11月19日(火曜日)の豪ドル円予想: 為替レート 98.71、 最高 100.19、最低 97.23。 11月20日(水曜日)の豪ドル円見通し: 為替レート 98.54、 最高 100.02、最低 97.06。 11月21日(木曜日)の豪ドル円予想: 為替レート 98.48、 最高 99.96、最低 97.00。
2027年5月の豪ドル円見通し。当月始値 110.18、最低 110.18、当月最高 115.13。平均 112.23。月末 113.43。変更 2.9%。
2027年2月の豪ドル円予想。当月始値 111.37、最低 106.83、当月最高 111.37。平均 109.51。月末 108.46。変更 -2.6%。
2026年8月の豪ドル円予想。当月始値 114.04、最低 108.96、当月最高 114.04。平均 111.92。月末 110.62。変更 -3.0%。
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