船井電機前社長 資金流出不正ない
かつて「世界のFUNAI」とも呼ばれた船井電機は、主力の液晶テレビの事業で中国メーカーとの販売競争が激化する中、経営に行き詰まり、24日に取締役の1人が準自己破産を東京地方裁判所に申し立て、同じ日に破産手続きの開始決定を受けました。裁判所への申し立てによりますと、業績の低迷を受けて2021年に出版などを手がける東京の会社の傘下となりましたが、関連会社への多額の貸し付けや買収した脱毛サロンなどを運営する会社への資金支援などによって、およそ300億円が流出したとしています。ことし4月からは、毎月およそ3億円から8億円の営業赤字の状態が続くなどして、資金繰りが急速に悪化し、東京の会社の傘下に入る前には347億円あった現預金がほぼ尽き、ことし9月末の時点で117億円余りの債務超過に陥っているということです。10月24日時点の債権者は524人、負債総額は469億円余りに上るということです。会社の従業員およそ550人は、破産手続きの開始が決まった日に突然、解雇を言い渡されていてハローワークが再就職の支援を行う方針です。
不透明な財務状況は、企業内部のリスク管理やガバナンスの不備を浮き彫りにする。特に多額の借入や外部からの出資を受けていた同社において、資金の流れが不透明であったことは、企業の信用を失墜させた大きな要因となる。
なぜそのようなことをする必要があったのか?これについて東京商工リサーチは、外部経営者と創業家一族との対立があったのではないかと見ています。素性の知れない役員たちにこれ以上、船井電機の資産を使われたくなかったのではないかということです。
船井電機の社長に就任した上田氏は「事業の多角化」を掲げ、23年4月に全国で脱毛サロンを展開する「ミュゼプラチナム」を買収。しかし、約1年後の24年3月にミュゼを売却している。これ以降、不可解な事柄が浮かび上がってくる。
まず、M&Aのリスクについて、船井電機は美容サロン「ミュゼプラチナム」の買収や、出版業の秀和システムによる買収が進められましたが、これらの事業拡大が経営に大きな負担となり、資金繰りを悪化させました。異業種への投資は、相乗効果が期待される一方、企業の財務構造を不安定にするリスクも伴います。
ハローワーク門真が11月11日に開催した、船井電機元従業員の再就職を支援する説明会に参加した男性(46)はそう訴えた。突然解雇された元従業員を雇用しようと多くの企業が手を挙げ、約800社、約2000件の求人をまとめた冊子が訪れた人に手渡された。
なぜ船井電機はここまで急速に経営破綻へと追い込まれ、多くの従業員が仕事を失う事態になったのか。その背景には、単なる業績悪化だけではなく、経営の透明性の欠如や無謀な多角化戦略、さらには経済犯罪の疑惑さえも絡んでいる可能性が示唆されている。2000人もの解雇者を出すまでに至った真の理由を考察してみよう。
上田氏は買収後、経営再建に向け、多角化を進める方針を示し、23年3月に船井電機・ホールディングス(HD)を設立し、持ち株会社制に移行。業容拡大を図り、23年4月に脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を買収した。この際、横浜幸銀信用組合(横浜市)から借り入れた33億円が簿外債務となった。ミュゼへの資金支援や関連会社への貸し付けなども行われていた。
船井電機の会長になったいきさつについては、もともと法的相談を受けていたと話したうえで、次のように述べました。
船井電機の破産は、60年以上の歴史を持つ老舗メーカーとしては異例の幕切れだった。10月24日午後、本社で集められた約500人の従業員に弁護士から会社の破産と一斉解雇が通達された。
M&A(企業の合併・買収)に詳しい公認会計士の久禮(くれ)義継氏は「買収の手段の一つで、スキーム上、特に不自然なところはないように見受けられる」と話す。ただ、船井電機が持ち株会社である船井電機HDに約253億円を貸し付けていたことについて「グループ全体を統括する持ち株会社が子会社に貸し付けるのが普通。金額もきわめて多額で、違和感がある」と指摘する。
破産申立書などによると、船井電機の21年3月末時点の現預金残高は約347億円あった。しかし、今年10月25日に予定していた従業員への給与計1億8000万円を支払うと、運転資金は1000万円を下回るというほぼ枯渇した状態となっていた。約3年半の間に一体何があったのか。
(船井電機会長 原田義昭氏)「8月末に『ちょっと会社がきついんだ』『先生 応援してくれませんか』と言うから、(法理相談を受けていたので)当然のことながら『できる範囲でやるよ』と。ある時期に『代表取締役会長をお願いします』と言われて、私も当初はびっくりしましたけど、船井電機さんの思い入れにお応えするのが男の道かなと思った」
この買収の際、秀和側がりそな銀行から借り入れた180億円は、船井電機の定期預金が担保とされ、今年5月、回収されていた。
船井電機は2021年に出版会社によって買収され、翌年には新社長が送り込まれました。
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