今週のNY市場はインフレ指標に注目。先週はダウ平均が1.96%高、S&P500が1.68%高、ナスダック総合が1.73%高と、主要3指数がそろって反発した。予想を上回る決算や強い見通しを発表したエヌビディアが上値の重い展開となったほか、独占禁止法問題でグーグルの親会社のアルファベットが大きく下落したことが重しとなった一方、トランプ次期政権の政策期待を背景に景気敏感株などへの資金流入が強まった。S&P500の11セクターはコミュニケーションが0.30%安と唯一週間で下落した一方、生活必需品が3.10%高となったほか、素材、不動産、公益、資本財、エネルギーが2%超上昇した。
今週は木曜日が感謝祭の祝日で株式市場が休場で、金曜日も午後1時までの短縮取引となる。参加者の減少で薄商いが予想されるものの、利下げ見通しをめぐって水曜日に発表される10月個人消費支出(PCE)価格指数が焦点となりそうだ。10月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が強い結果となったほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長も米国経済の堅調を理由に利下げを急ぐ必要がなくなったとしたことで足もとでの利下げ期待が後退しており、CMEのフェドウォッチ・ツールの12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は1カ月前の72%から51%に低下した。FRBがインフレ指標として注視する10月PCE価格指数は前月比+0.2%、前年比+2.3%とそれぞれ前月分の+0.18%、+2.1%から伸びの増加が見込まれている。変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPCE価格指数も前月比+0.3%、前年比+2.8%とそれぞれ前月分の+0.25%、+2.7%から上昇が予想されている。PCE価格指数が強い結果となれば利下げ期待の一段の低下が相場の重しとなりそうだ。このほかの経済指標・イベントは11月消費者信頼感指数、10月新築住宅販売件数、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、7-9月期GDP改定値など。
今晩の米経済指標・イベントは10月シカゴ連銀全米活動指数、11月ダラス連銀製造業景況指数など。企業決算は引け後にアジレント・テクノロジーなどが発表予定。(執筆:11月25日、14:00)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
前々回・去年12月と前回・ことし3月の3回の見通しから減りました
12日のニューヨーク外国為替市場では、FRB=連邦準備制度理事会が示した政策金利の見通しやパウエル議長の発言を受けて円安が進み、見通しの発表前に1ドル=155円台後半だった円相場は一時、1ドル=156円台後半まで値下がりしました。12日のニューヨーク外国為替市場では、FRBの会合のあとに示された政策金利の見通しが年内に1回の利下げが行われるとの想定で、ことし3月時点の見通しから減ったことから、FRBが利下げを早い時期に始めるとの見方が後退しました。また、この日、発表されたアメリカの先月の消費者物価指数の伸びが市場予想を下回ったことについてパウエル議長が記者会見で「進展が見られたものの、この時期に金融を緩和的にし始めることを正当化するには確信を得られていない」などと述べたことが利下げに慎重だと受け止められ、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが強まりました。このため、政策金利の見通しの発表前に1ドル=155円台後半だった円相場は一時、1ドル=156円台後半まで値下がりしました。
また同氏は、今回の雇用統計で経済見通しが変わるわけではないものの、投資家やFOMCが労働市場について抱いていた懸念を和らげるはずだと付け加えた。
こうした中で注目されるのは27日(水)の米10月個人消費支出(PCE)統計がある。その中で基調的なインフレを判断する上で指標となるPCEコア価格指数(デフレーター)に注目したい。先行して発表された米10月生産者物価指数(PPI)などから根強いインフレ圧力を示すと見込まれている。そうなれば、12月FOMC利下げ見送り観測を強める可能性がありそうだ。FRBの政策見通しという点では、26日(火)発表の11月開催分のFOMC議事要旨にも注目したい。
FRBは12日までの2日間、金融政策を決める会合を開き、政策金利を現在の5.25%から5.5%の幅と、およそ23年ぶりの高い水準のまま据え置くことを決定しました。FRBとしては高い金利水準を維持することでインフレを抑え込むねらいです。また、合わせて発表された会合の参加者による政策金利の見通しはことし・2024年末時点で5.1%となりました。政策金利の1回あたりの引き下げ幅を0.25%とすると、年内に1回の利下げが行われる想定です。利下げの想定回数は前々回・去年12月と前回・ことし3月時点の3回から減りました。この日発表されたアメリカの5月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて3.3%の上昇となり、上昇率は2か月連続で前の月を下回りました。ただ、FRBの会合の参加者はインフレ率の低下が想定通り進んでいないという厳しい認識を示した形です。パウエル議長は会合終了後の記者会見で「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を得られるまで、利下げすることは適切ではない」と述べ、利下げの時期を慎重に見極める考えを強調しました。
FRBによる利下げ見通しとトランプ次期米政権による企業優遇策への期待が追い風となり数値を押し上げている。10~12月期にも経済成長が加速している兆候と受け止められた。その一方で、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げは見送りとの見方が増えることで金市場にはマイナス要因となる。
●中国は、不動産市場の低迷に加え、海外企業の投資減少や若年層の雇用悪化などから個人消費も力強さを欠き需要不足が続くことから、景気が徐々に減速するとみられます。ただし、金融緩和や政府の住宅対策、拡張財政により急激な減速は避けられる見通しです。
●FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%としました。FOMC参加者による金融政策の見通しは、年内残り2回の会合で0.25%で2回分の利下げを行う内容となりました。
円相場に影響を及ぼすアメリカのFRB=連邦準備制度理事会の金融政策を決める会合が開かれ、12日、7会合連続で政策金利を据え置くことを決定しました。また、会合の参加者による政策金利の見通しが示され、年内の利下げ想定がこれまでの3回から1回に減りました。
【政策金利の水準】今回の会合で、FRBは会合の参加者19人による政策金利の見通しを示しました。参加者がそれぞれ適切だと考える金利が点=ドットで示されることからドット・チャートと呼ばれ、市場ではその中央値がFRBが目指す金利水準だと受け止められています。それによりますと、ことし・2024年末時点の金利水準の中央値は5.1%で、政策金利の1回あたりの引き下げ幅を0.25%とすると年内に1回の利下げが行われる想定です。前々回・去年12月と前回・ことし3月の3回の見通しから減りました。また、2025年末時点の金利水準の中央値は4.1%で前回より0.2ポイント引き上げられた一方、2026年末時点での金利水準は前回と同じ3.1%でした。【個人消費支出の物価指数】FRBは、インフレの実態を見極める指標として重視しているPCE=個人消費支出の物価指数の上昇率の見通しも示しました。それによりますと、ことし10月から12月のPCEの物価指数の上昇率は去年の同じ時期と比べて2.6%で前回から0.2ポイント引き上げられました。価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数は2.8%と、前回から0.2ポイント引き上げられましたが、2026年に2.0%とFRBの物価目標に到達するという予測は前回から変わりませんでした。【GDP・失業率】ことし10月から12月のアメリカのGDP=国内総生産の予測は、去年の同じ時期と比べた実質の伸び率で、前回の見通しと同じ2.1%でした。またことし10月から12月の平均の失業率については前回と同じ4.0%でしたが、来年10月から12月は4.2%で前回から0.1ポイント上昇しました。
「インフレ率 2%に向かっている確信得られていない」FRBのパウエル議長は、会合後の記者会見で「インフレはこの2年で顕著に緩和したが、FRBの物価目標である2%を依然上回っている。インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信を得られるまで、利下げすることは適切ではない」と述べました。そのうえで「今年はこれまでのところ、データからはそのような確信を得られていない。インフレの目標に向けた変化は緩やかで、確信を強めるためにはさらにデータを見極める必要がある」と述べ、利下げの時期が早すぎると逆効果になる可能性があると慎重な見方を示しました。「金融を緩和的にし始めるには確信得られていない」「きょうの(経済見通しの)リポートでは進展が見られたものの、この時期に金融を緩和的にし始めることを正当化するには確信を得られていない」「雇用情勢注意深くみている」「労働市場は2年前は過熱していたが、徐々によりよい需給のバランスがみられている。ただ、雇用者数は議論はあるが依然として強い。徐々に落ち着きつつあり、注意深く見ているが、それ以上のよい兆候は見られていない」「1つのデータだけで動こうとするのは避けたい」「きょう発表された消費者物価指数の指標は前向きなもので、今後のデータがどのようなものになるか、傾向を見極める必要がある。われわれはインフレ率が2%に持続的に低下することを確信できる指標を求めており、1つのデータだけで動こうとするのは避けたい」
一方、11月ユーロ圏PMI総合指数速報値は、48.1と、10月の50.0から大幅に低下し10ヶ月ぶりの低水準で、好不況の分かれ目となる50を割り込んだ。サービス業PMIが51.6から49.2に低下し縮小に転じたほか、製造業PMIも46.0から45.2へと一段と縮小した。欧州中銀(ECB)の今後の利下げ幅は拡大するとの見通しにつながった。
今週のNY金は、本来の金融経済環境の見通しに沿った動きに戻ることになりそうだ。前週に140ドル余り駆け上がったことで、ウクライナを巡るリスクは一定の織り込みが進み一巡したと見る。ウクライナ情勢に新たな動きがあれば、その都度評価した動きになろう。
●日本では、インフレ圧力の継続により個人消費が力強さを欠くものの、賃金の上昇、経済対策(定額減税・給付金)、省力化やデジタル化などの設備投資の増加、堅調なインバウンド消費、底堅い米景気を背景に持ち直し、緩やかな成長軌道を辿る見通しです。
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