◆豪ドル、市場の目線は12月第2週のRBA金融政策に
◆豪ドル、10月CPIは特殊要因反映、判断材料にはならず
◆NZドル、RBNZは来年以降の追加利下げを示唆
予想レンジ
豪ドル円 95.00-100.00円
南ア・ランド円 8.00-8.50円
12月2日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週はトランプ次期米大統領が中国やメキシコ、カナダなどに対して来年1月の就任後すぐに追加関税を課すと宣言したことで、市場全般でリスク回避ムードが強まった。豪州が名指しされたわけではないが、「トランプリスク」によるリスク回避の動きはリスクに敏感な豪ドルにとって今後も重しとなるだろう。来週は豪州から12月2日に10月小売売上高、12月4日に7-9月期国内総生産(GDP)などの発表が予定されている。ただ、市場の注目は12月9-10日の次回豪準備銀行(RBA)理事会に向けられており、相場への影響は限られそうだ。
今週発表された10月消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%となり、市場予想(2.3%)を下回る結果となった。もっとも、今回のCPIは連邦政府からの補助によって前年比35.6%低下と記録的な減少率になった電気料金が寄与した面が大きく、市場ではRBAにとって大きな考慮材料にはならないだろうとの見方が優勢だ。ブロックRBA総裁が以前に「月次データよりも四半期データをより注意深く監視している」と述べていたこともあり、RBAは12月会合でも金利を据え置き、金利を引き下げる前に物価上昇が緩和したというさらなる証拠を求める可能性が高いだろう。
隣国のニュージーランド(NZ)では、年内最後となったNZ準備銀行(RBNZ)金融政策決定会合で予想通り50bpの利下げが決定された。オアRBNZ総裁は会合後の会見で「フォワード予測は2月の50bp利下げと整合的」「軌道は8月よりも急激な金利低下を示唆」などの見解を示しており、来年以降も継続的な緩和姿勢は維持される見込みだ。市場全般でリスク回避ムードが強まるなか、金利先安観も高まっているNZドルは売り圧力に押されやすい状況が続きそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も上値の重い展開が予想される。市場のリスク志向が低下する中で当面は買いづらい地合いが続くだろう。南アにとっての懸念材料となっているのが米国のアフリカ成長機会法(AGOA)の行方。南アは一部の品目を対象に米国へ無税でのアクセスを提供するAGOAを利用して主に自動車などを輸出しているが、現行のAGOAは2025年9月末に失効する予定となっている。すでに米議会では同国が中国やロシア、イランなどと関係を深めていることを懸念する声が聞かれており、トランプ次期米大統領の意向次第ではAGOAの再承認が立ち行かなくなる可能性も出てくるだろう。
11月25日週の回顧
豪ドルは弱含み。トランプ次期米大統領の関税発言をきっかけにリスク回避の動きが強まり、対円を中心に売りに押された。その後は、トランプ氏とメキシコ大統領の協議後に対メキシコの追加関税観測が後退すると、市場全般でのリスク回避の動きも落ち着いたが戻りは限られた。
ZARもリスク回避目的の売りに押される展開に。対円では一時10月2日以来の安値となる8.27円まで弱含む場面も見られた。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 週間為替展望 豪ドル
今週の豪ドルは、10月雇用統計発表後も目立った売買は観測されず小動き推移となり、101円を挟んだもみ合いとなった。
もっとも、豪州の労働党政権の下、近年は中国との外交・貿易関係の正常化が進んでいることや、中国の景気支援策への期待から鉄鉱石価格が上昇していることは、豪州にとっての中国リスクの後退を示唆しています(図6)。豪ドル相場は引き続き高水準の資源価格との乖離が残されており、資源高を背景にした貿易黒字は実需面から豪ドル相場を下支えすることが期待されます(図11)。
今週の豪ドルは、オーストラリア準備銀行が政策金利を4.35%に据え置き、引き続きインフレ抑制に軸足を置くスタンスを維持したことなどから、しっかりの展開となった。
今後の豪ドル相場のリスクに関しては、中国の動向への投資家の注目は引き続き高そうです。
今週の豪ドルは、第3四半期CPIはまちまちとなったが、9月小売売上高が想定以上に弱かったことなどから、早期の利下げ観測がやや強まり100円台を割り込む格好となった。
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