執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年11月29日 14時15分
焦らず押し目買いを考えたい、一目雲が支持帯
米ドル/円、下げ幅を拡大
米ドル/円は、関税引き上げ政策は高インフレをもたらすとして消極的な姿勢を示していた、スコット・ベッセント氏が米国の次期財務長官に指名され、週明けはギャップダウンしてオープン。その後は154.70円レベルまで戻す場面もありましたが、トランプ米次期大統領が「中国に10%の追加関税、メキシコとカナダの全品目に25%の関税を課す」と発信すると、経済の先行きに対する不安から米ドル/円は150.45円レベルまで下落。加えて、日銀の12月利上げ観測も燻り、149.766円まで下げ幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、感謝祭前の閑散相場、一時150円台へ30銭超急落(2024年11月27日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
休暇前の調整と考えるべきか
ただ、改めて足もとの米ドル/円の動向を振り返ると、ニュースへ反応した部分はありましたが、他の金融市場との整合性は低く、感謝祭前で市場参加者が少ない中で、ポジション調整が大きく出たことが米ドル/円の下げ幅を広げたと解釈した方がしっくりくるように感じています。そのため、直近の流れが続くかどうかは、12月2日週に日米で発表される、10月毎月勤労統計調査(日)、10月雇用指標(米)などの結果を見極めてからでも遅くはないのではないかと、考えています。
米雇用指標については、ボーイングのストライキ終結、自然災害からの復興、米大統領選挙通過など不透明感が薄らぐ中で、極端にネガティブな材料にはなりづらいのではないかと、考えています。個人的には足もとの新規失業保険申請件数が低下傾向を示しており、前月の雇用減少が一時的要因との見方を支持する結果になるのではと期待しています。また、日銀についても、足許の円高により輸入物価の反発が限定されそうなこともあって、利上げのタイミングには少し余裕がありそうなことも、米ドル/円のサポート要因と考えます。一時的には米ドル/円が調整地合いを引き継いで下げ幅を広げる可能性はありそうですが、米国の利下げペース鈍化期待などから、米ドル/円は徐々に下値を切り上げることになるのではないかと、考えています。
下げ一服を期待(テクニカル分析)
米ドル/円は、200日移動平均線を下回っており、以前と比べて地合いは悪化しています。ただ、日足一目均衡表の雲が支持帯となっている様子も窺えます。期間3日のスローストキャスティクスも、まだゴールデンクロスしていませんが、20%付近まで低下しており売られ過ぎを示唆していることもあり、同テクニカルのゴールデンクロスを待って焦らずに押し目買いレベルを見極める局面のように考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:148.500-152.500
12/2 週のイベント:
一言コメント
相場の格言に「もうはまだなり、まだはもうなり」とあり、円高への警戒は怠るべきではないのでしょうが、個人的には少しやり過ぎのようにも感じています。
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