◆豪ドル、金利据え置き予想も声明文に変化生じるか注目
◆豪ドル、11月雇用統計にも注意
◆ZAR、トランプ次期米政権への不安要素多く上値重い
予想レンジ
豪ドル円 93.00-98.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
12月9日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。ただ、12月に入り流動性が悪化していることや、RBAの声明文次第でボラタイルに動く可能性があることには注意したい。
今週発表された7-9月期の国内総生産(GDP)は前期比、前年比ともに予想を下回る伸びに留まったことで、豪州の中長期金利が低下。豪ドルも対ドルで約4カ月ぶりの安値を更新した。この結果を受け、市場では9-10日に予定されている豪準備銀行(RBA)理事会で、どのような見解が示されるのか注目している。
RBAは物価上昇が緩和していることが確認されるまで政策金利を据え置くとの予想が大半で、11月の理事会でも「政策がより長期間制限的である必要、またはさらに引き締める必要があるシナリオを議論」と、利上げについても議論していた。また、ブロックRBA総裁は「コアインフレが目標を上回っており当面利下げしない」と11月末に述べている。
ただ、GDPだけでなく10月の月次消費者物価指数(CPI)や今週発表されたメルボルンインスティテュートの11月インフレ指数が予想から下振れているように、インフレは抑制されつつある。タカ派だった声明文に変化が生じるかを確認することになりそうだ。なお、理事会後の11日にはハウザーRBA副総裁、12日にはジョーンズRBA総裁補佐、13日にはハンターRBA総裁補佐などの講演も予定されている。
その他では、12日に11月の雇用統計が発表される。11月のRBA理事会では雇用市場の大幅な悪化を警告し、将来のデータによっては金融緩和が必要になる可能性も示唆している。RBAの予想通りに雇用市場が悪化した場合は、年初の利下げ期待も高まりそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も上値の重い展開が予想される。中国人民元が1年超ぶりの安値を更新するなど、来年から始まる第2次トランプ政権に対する懸念がぬぐえず、この影響が南アにも波及する可能性が高い。米国からの経済制裁だけではなく、米中の関係悪化による中国経済の停滞は、通商パートナーでもある南アにとっては不安要素。ZARの上値を抑えそうだ。
また、市場の反応は限られているが、今週発表された7-9月期GDPが非常に弱い結果だったこともZAR売り要因。来週は10日に11月卸売物価指数(PPI)、11日にCPI、12日に南ア経済研究所(BER)の10-12月期インフレ見通しなど、インフレ関連の指標が多く発表される。
12月2日週の回顧
豪ドルは弱含み。7-9月期GDPが市場予想を下振れると、対ドルでは8月上旬以来となる水準まで弱含んだ。対円でも9月中旬以来となる95円台まで一時売られたが、ドル円が上昇したことで下値も限られた。
ZARは、植田日銀総裁が日経新聞のインタビューで早期利上げの可能性を示唆したことから、対円では週明けに9月下旬以来となる8.19円まで売られた。ただ、豪ドル円同様に週後半にはドル円が買い戻されたこともあり、下値が徐々に切り上がった。対ドルでは18ランド前半の小幅なレンジ内で上下を繰り返した。(了)
(執筆:12月6日、9:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 週間為替展望 豪ドル
先週の米ドル/円は陽線を形成し、一旦155.72円まで反落したものの、その後大幅に切り返し、一旦158.27円をトライ、4月29日以来の高値を更新した。しかし、終値は157.35円と、高値圏にて推移。米消費者物価指数(CPI)、米連邦公開市場委員会(FOMC)、そして日銀金融政策決定会合などイベントが相次ぎ、米利上げ見通しや日銀政策に関する思惑に左右された1週間だった。
ただ、FRBは18日に0.5%の利下げを決め、今後も追加利下げを行う方向性を示した。このため、今後のドル円相場の見通しが円高方向に戻ることも考えられる。米国経済の堅調さが続けば、日銀が再び追加利上げへの意識を強める可能性もあり、豪ドル円相場での豪ドル安材料となる可能性もありそうだ。
また、足元の豪ドル高の背景には、日銀の追加利上げ見通しが弱まったこともある。植田総裁は20日の金融政策決定会合後の記者会見で、利上げの必要性を判断するための「時間的な余裕がある」と言及。金融市場では利上げに距離をとったとの見方が広がり、ドル円相場(USD/JPY)は1ドル=144.39円まで円安が進んだ。こうした円安は豪ドル円相場での豪ドル高要因として働いている。
7月31日の日銀の利上げ以降、国際投機筋による円の買戻しが加速し、8月5日の日経平均株価の歴史的な急落と共に、円売りポジションの決済が進んでいたと思われる。最近の状況としては、国際投機筋の総計として円買いに傾いており、米ドルの頭が重く、戻りに限界がある見通しだ。
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