ドル/円、152.60円台へ急伸…日銀は来年1月に追加利上げ先送りか
欧米時間のドル/円予想レンジ:151.400-153.400円
東京市場のドル/円は、じり安の展開。日本株安などを背景に一時151.41円前後へ弱含みました。ただ、その後は米長期金利が持ち直したことなどから151.70円台へやや値を戻しています。
欧州市場に入ると、中国当局が「トランプ関税を睨んで2025年の人民元安容認を検討」と伝わったことで人民元/円が下落。その動きに連れて、ドル円は151.46円前後まで押し戻されました。18時頃には日銀に関して「一部の政策委員は12月会合で利上げが提案された場合、反対しない見通し」との報道を受けて151.00円前後へ急落する場面もありました。しかし、同時にトランプ次期政権への不確実性から「1月に利上げを先送りした場合でも大きなコストは伴わないとの認識」などと追加利上げを急ぐ状況ではないとの認識を示したことが円売りを強めて152.60円台まで急反発しました。
17-18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを巡り、今夜の米11月消費者物価指数(CPI)は最後の重要な手掛かりとして注目が集まっています。市場予想は前年比+2.7%と前回(+2.6%)から小幅に伸びが加速すると見られています。コアCPIは前回(前年比+3.3%)と同率の伸びが見込まれており、高止まりする予想です。予想以上に伸びが加速した場合は利下げ観測が後退しドル買いが強まるでしょう。一方で、予想に反して鈍化となれば25bp(0.25%ポイント)利下げを完全に織り込む可能性がありドル売りで反応すると考えられます。
ドル円 日足チャート
この後の経済イベント
12/11(水)
20:00 南ア10月小売売上高
22:30☆米11月消費者物価指数
23:45☆カナダ中銀政策金利
24:30 EIA週間原油在庫統計
27:00 米10年債入札(390億ドル)
28:00 米11月財政収支
—– OPEC月報
12/12(木)
07:15 ジョーンズRBA総裁補講演
09:30☆豪11月新規雇用者数
09:30☆豪11月失業率
※☆は特に注目の材料
経済指標・イベントの結果について
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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第1は政治からの圧力 第2はトランプトレードとドル円の動きだ
9日の欧米外国為替市場で円相場が大幅に下落した。一時は1ドル=151円30銭台と東京市場の同日17時時点(150円33〜35銭)よりも1円程度、円安・ドル高に振れた。中国政府が2025年に積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を進める方針を示し、中国の景気回復期待の高まりがリスクを取った円売りを刺激した。側面支援するのは「日銀が利上げをまったく急いでいない」という前週に高まった観測だ。
東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円ちょうど付近でもみ合い。米国の雇用統計を受けた12月利下げ観測の高まりが円の支えとなる一方、日銀の追加利上げ期待が低下している。来週の日米金融政策会合を見極める雰囲気が強かった。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、米国の12月利下げ確率の高まりを受けた金利低下でドル・円は上値が重いと指摘した。
日銀による利上げ継続方針の表明を受け、東京外国為替市場では31日、円相場が1ドル=152円台前半に急伸、1円以上円高が進んだ。東京株式市場では円高を嫌気して株が売られ、日経平均株価は一時400円超下落した。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、米利下げ期待の高まりで為替市場が1ドル=150円付近で落ち着いており、日銀が12月に慌てて利上げするとの期待が低下していることで債券が買いやすくなり、長期金利が1カ月ぶり水準に低下するなど中長期ゾーンはしっかりだと指摘した。
ドル円は11月14日の1ドル=156円27銭水準から、ドル安・円高が進み、11月29日時点で149円77銭水準に達しました(ニューヨーク市場取引終了時点)。8月以降、ドル円はおおむね日米長期金利差に沿って推移していますが(図表1)、先週のドル安・円高の加速は、28日の米感謝祭前後で薄商いのなか、27日にドル円が200日移動平均線を下抜け、週末にかけ植田総裁発言など日銀の12月利上げ観測が強まったことが主因と思われます。
財務省が8日発表した7~9月期の為替介入実績によると、政府・日銀は急速な円安進行を抑えるため、7月11日に3兆1678億円、12日に2兆3670億円の円買い・ドル売り介入を実施した。介入は直ちに実施の有無を公表しない「覆面」の形で行われ、実施日と、各日の介入規模が今回明らかになった。
週明け12月2日時点で、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む12月の日銀の利上げ確率は6割強(図表2)で、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ確率も6割強となっています。今後の織り込み次第で、ドル円は神経質な動きが予想されますが、12月の日米政策決定会合では、来年以降の政策運営にかかわる手掛かりが、ドル円を見通す上での重要な材料になると考えます。
日本銀行が追加利上げのタイミングを決める際に大きな影響を与える要因が2つある。第1は政治からの圧力、第2はトランプトレードとドル円の動きだ。
新発10年債利回りは一時約1カ月ぶりの低水準に下がった。6日の米雇用統計を受けて17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での米利下げ確率が上昇。ドル・円相場が過度な円安に動いておらず、日銀が円安対応で利上げを迫られるという観測が弱まった。
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