◆クリスマス休暇で薄商いのなか、ドル高・円安は続きそう
◆ポンド、英中銀による来年の利下げ予想減少で底堅い
◆加ドル、利下げサイクルの継続や米加関税合戦への懸念で軟調推移
予想レンジ
ポンド円 195.00-201.00円
加ドル円 108.00-111.50円
12月23日週の展望
今週、日米英を含む多くの中銀が今年最後の金融政策会合を終え、年内の注目イベントはほぼ終了した。来週は多くの市場参加者がクリスマス休暇に入り、1年のなかで流動性がもっとも薄くなる。流動性が薄い時はポジションを持たないか、控えめにするかなど流動性リスクを減らす工夫をするのも肝要だ。今週の日米金融政策イベントはドル高・円安で反応したが、来週薄商いのなかでもこの流れは続きそうだ。
イングランド銀行(英中銀、BOE)は今週、6対3で政策金利の据え置きを決定した。1人が利下げを主張するとの市場予想に対し3人が追加利下げを主張。来年2月の次回会合での利下げ観測は完全に払しょくされたわけではない。ただ、今週に発表された8-10月週平均賃金は前年比5.2%と市場予想を上回り、11月消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%と10月の2.3%から伸びが加速し8カ月ぶりの高い水準となった。BOEが懸念要因をインフレ高から経済活動の低迷にシフトするのは難しく、景気抑制的な政策の段階的解除を正当化する結果となった。
ベイリーBOE総裁は「経済の不確実性が高まり、来年、いつどの程度利下げを行うかは確約できない」と述べた。他の主要国中銀と比べてBOEは金融緩和サイクルに後れをとるとの見方は変わっていない。英雇用・物価データを受けて市場では来年の利下げ予想が4回から2回に減少しており、ポンドは底堅い動きが続きそうだ。
加ドルは上値の重い動きが続きそうだ。カナダ中銀(BOC)が12月会合で「今後の利下げはより緩やかなペースになる」とハト派姿勢を弱めたが、来年も利下げサイクルは続くと見込まれる。
また、トランプ次期米大統領の下で米国との関税合戦への懸念も引き続き加ドルの重しとなる。トランプ次期米大統領が掲げる関税への対処法などをめぐり、政権内部では早くも対立が見られ、フリーランド加財務相が辞任している。来年10月に総選挙を控えているが、トルドー首相の与党・自由党は最大野党・保守党に支持率で引き離されており、政情不安が高まる可能性がある。
なお、カナダ市場は25・26日がクリスマス休暇で休場となる。今週発表された11月CPIは前年比1.9%と予想や前月の数字を下回った。来週は10月GDPなどの発表が予定されているが、市場ではBOCが次回1月会合で0.25%の追加利下げに踏み切るとの見方が優勢となっている。
12月16日週の回顧
注目の日米金融政策イベントにはドル買い・円売りで反応。米連邦準備制度理事会(FRB)は0.25%の利下げを決定、日銀は政策金利を据え置いた。予想通りの結果だったが、FRBは来年の利下げペースの鈍化を予想した一方、植田日銀総裁は早期利上げに慎重姿勢を示した。ポンドドルは1.25ドルを割り込んだ一方、ポンド円は一時199円手前まで上昇した。BOE政策発表後にポンドは一時売りに押されるも反応は限定的だった。
ドル/加ドルは2020年3月以来の加ドル安となる1.44加ドル台半ばまで加ドル安が進んだが、加ドル円は109円後半まで強含んだ。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 週間為替展望 ポンド
なお、11 日発表の12 月米消費者物価指数(CPI)は概ね市場予想を上回る結果となったが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が7 割程度まで上昇している。結果的にCPI の結果が米利下げ観測を一層高めることになっており、市場と米当局者の金利先行きに対する見通しのかい離は依然として広がったままだ。
英国はGDP世界第6位の経済規模を誇り、首都ロンドンには世界最大級の金融街シティを有しています。政治的にも経済的にも世界から注目を集めている国であることから、ポンド相場変動に関するニュースも入ってきやすく、取引がしやすい通貨と言えるでしょう。足元ではイングランド銀行(BOE)の政策金利見通しや英国の経済・景気動向などが、ポンド相場のボラティリティを拡大させる材料となりそうで、今後も大きな変動が期待できる通貨でもあります。「みんなのFX」の経済指標カレンダーには、英国の経済指標の発表スケジュールも掲載されています。また、取引画面のニュースには英国の要人発言や経済に関わるニュースがリアルタイムで配信されています。取引の判断材料として参考にしてください。
コメント