米の価格高騰の裏で 農家の悲鳴
菅野さんは言う。「コメの値段は上がったが、物価の上昇を考えればそれでもまだ不十分だ。高齢化も進む。暮らせないのだから、コメ作りを農家がやめるのは当然だ」
費用は何とか工面したが、先行きは見えない。農水省によると、日本の農家の平均年齢は68.7歳。10年ほど前には30戸以上あった周辺の農家は10戸を切った。このままではコメ作りのために必要な水を引くための水路を維持するのもままならなくなる。
「あきたこまち」は秋田県が誇る食味銘柄米《あきたこまち》を原料米として仕込んだもので米の旨みをだした酒だが、昭和六十二年、孫長女が誕生した慶びに、小野小町にあやかって美しく賢く成長するように願って付けた登録銘柄である。
物価高騰への対策として、福岡県筑前町が進めている『すべての町民への新米の無料配布』。開始2日で、町民の半数に配り終える大盛況ぶりです。16日も新米の配布場所(朝倉郡筑前町東小田)のJA筑前あさくら平成カントリーエレベーターでは、町民から口々に町への感謝が聞かれました。筑前町の田頭喜久己町長も「まさにこういう時こそ、筑前町・米の生産地が出番だろうと思って。すでに土曜・日曜で1万5千人、半数の方が来てくれた。ありがたい」と、その手応えに満足げです。来年で発足20周年を迎える筑前町。それを記念して、収まらない物価高騰などへの対策として、町は今、地元で収穫された新米の無料配布を進めているのです。田頭町長は、「身近な田園風景で獲れた米を食することが出来るという事で、田舎の中の楽しさ嬉しさを実感されていると思う」と話します。嬉しいのは、もらう側だけではありません。米農家の品川将敏さんは、「町に買っていただいて、それを全町民に配布。私たち農家にとっても有難いし、全町民もそのように思っているんじゃないですか」と、WinWinな取り組みだと話します。お米が高騰して、購入するハードルが以前より高まる中で、町の買取りは農家の収入維持に繋がっているといいます。品川さんは、「肥料、農薬、機械、どんどん値上がりしていって農家が苦しんでいた。ここでやっと適正価格に戻ったと思っています。今後とも引き続き状況に応じてやってもらいたい」と話します。お米は19日までは町内3カ所のカントリーエレベーターで。20日から来月末までは筑前町役場で配られます。続く物価高騰に、どう向きあっていくか。他の自治体も、何らかの対策が求められそうです。
ただ、その後は続落し、2014年には最低の8500円となり、作付けを減らすようになった。農家にとって、現在の生産コストは1俵あたり1万6千円とされ、コメ農家の約6割は赤字との農林水産省のデータもある。沢田石さんは「はじめの頃は、息子が手伝っていたが、将来性がないので継がせるわけにはいかない」と話す。
根拠とするのが、コメの収穫量だ。2020年の主食用米は722万トンで、23年は661万トンと1割近く減った。農家が減る中、インバウンドなど急な需要増に、すぐに対応できる力は現場に残っていない。国は農業の法人化や大規模化で効率化を求めるが、今野さんは「日本の農地の4割は中山間地などの条件不利地。簡単に効率化できない」と話す。
この夏、一時的な需給バランスの崩れから、コメは品薄状態となった。「令和の米騒動」と呼ばれ、その後も米価は高止まりし、JA全農あきたが農家に払うあきたこまち1等米の1俵(60キログラム)の当初の前払い金は1万6800円と、昨年より4700円高かった。ただ、沢田石さんは「値上がりではない。やっともうけが出るようになっただけだ」と話す。
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