都心タクシー 事業者側の苦境背景
こうした現状の中で、「システム導入の義務はない」と裁判に訴えた医師や歯科医師たち。裁判の中では、熱田医師が指摘したように、「カードリーダーやインターネットのセキュリティなど、設備を整えるために高額な経済的負担が発生することから、高齢の医師の中には廃業を選択せざるを得ない状況になっている」などと主張してきた。しかし東京地方裁判所(岡田幸人裁判長)は11月28日、原告の訴えを棄却する判決を言い渡した。理由として、「経済的な負担が一定程度生ずるとしても、それが事業継続を困難にするようなものと直ちにいうことはできない」などと指摘し、義務化が廃業につながったということを認めることはできないと判断してもいる。
2024年4月のライドシェア条件付き解禁時は、タクシー会社が事業の一環として地域の自家用車とドライバーを活用して行うこととされています。タクシー配車アプリのデータを活用し、タクシーが不足している地域や期間、時間帯に限定して、ライドシェアが実施される条件付きの運用となります。また、タクシー会社がドライバーの教育や運行管理、車両整備管理等の安全確保を行い、運賃もタクシーと同じになるとみられ、運送責任もタクシー会社が負うとされています。タクシー会社にはドライバーに対し出発前の点呼や指導監督が義務付けられており、タクシー利用者側から見ると、安全面等において、現行のタクシーサービスと同様のレベルが確保されると想定されます。
都心部、特に東京都心などでは、タクシーが便利な足としての地位を保ち、需要が高まり続けるでしょう。都市化が進行する中で、交通の便が求められ、タクシーはその要請に応える存在であり続けます。さらに、日本への外国人観光客の数は増加傾向にあり、これに伴いタクシーの需要も増えることが期待されます。外国人観光客向けのサービス提供が今後ますます重要になります。
「もうね、限界まできていますよ」 今年に入ってから、中小規模のタクシー事業者からこんな連絡が入ることが度々あった。コロナ禍ではその多くがドライバーや現場サイドからではあったが、当時との違いは“限界”を感じているのが経営者や運営側からのものだということだ。
なぜ、タクシー事業者は15年ぶりの運賃値上げに踏み切ったのでしょうか。都内のタクシー事業社が加盟する「東京ハイヤー・タクシー協会」によりますと、タクシー業界は労働環境の改善などのため、5年ほど前から運賃の値上げを検討してきました。そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大が襲いました。タクシー事業者はキャッシュレス決済などの設備投資にコストがかかる一方、コロナによる利用客の減少が重なり、経営状況が悪化していました。さらに燃料費高騰なども重なり、今回、運賃値上げに踏み切りました。東京ハイヤー・タクシー協会の西澤明洋経営委員長は「コストを切り詰めていくのは限界だった」としています。
その結論として、(満期の延長や金利の減免など)融資条件の緩和によって損失認識という問題は「先送り」にできるものの、(収益性の低い債権を温存し、成長性の高い事業への貸し付けが阻害されることで)資本の効率的配分という別の問題が生じると指摘しています。
「それに伴い、身売りしたいというタクシー事業者も増加した。ただし、一定の需要も根強くもある。横ではなくて、縦の移動の需要、つまり坂道の高低差を抜ける短距離移動です。神戸はこの需要に対して供給がマッチしていないエリアでもあるんです」
今後、ライドシェアは国土交通省において2024年3月までに詳細の制度設計を行い、4月から一部地域で実施する方針となっています。加えて、タクシー事業者以外がライドシェア事業を行うための法令制度について、2024年6月に向けて議論するとされています。業務効率化と安全性の維持・向上の両立を図り、ライドシェアによりドライバー不足を改善しつつ、ドライバーが働きやすい一形態として認知され、有効な制度として活用されることを期待します。
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