「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
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今日のドル円 テクニカル分析で環境認識(動画の内容 ポイントまとめ)
2024年のドル円相場の振り返り(1月-4月)について、主なポイント:
テクニカル分析の観点:
– 週足チャートでは上昇トレンドが継続
– 140円付近が重要なサポートレベルとして機能
– 52週移動平均線がサポートとして機能
– 152円が重要なレジスタンス・サポートレベル
– アセンディングトライアングルを形成し、上方ブレイク後に大きく上昇
2024年1月-4月のドル円で利益を上げられたかもしれないトレードポイント:
1. 1月初旬の140円付近での買い
– エントリー:140円前後
– 損切り:140円割れ
– 根拠:52週移動平均線のサポート+陰線の反発
– その後145円以上まで上昇
2. 2月初旬の米雇用統計後の上昇局面
– エントリー:3本移動平均線の押し目でのサポート確認後
– 強い米雇用統計を受けてのトレンド継続
– その後147円台まで上昇
3. 3月のマイナス金利解除前後
– エントリー:日銀内田副総裁発言後の上昇トレンド確認時
– 日銀の政策変更期待を織り込む展開
– 150円台まで上昇
4. 152円ブレイク後のトレード
– エントリー:アセンディングトライアングル上抜け確認後
– 2023年10月高値のブレイク
– その後155円以上まで上昇
5. 4月の日銀政策決定後
– エントリー:26日の日銀決定後の円安進行時
– 緩和的な金融環境継続の見通しを受けての上昇
– 160円手前まで上昇
トレード戦略のポイント:
– 明確なサポート/レジスタンスラインを意識
– イベント前後の市場反応を確認してからのエントリー
– トレンドの方向性(上昇)に沿ったトレード
– 週足の上昇トレンドを意識した買い戦略
2024年、重要な出来事(時系列):
1月:
– 5日:米雇用統計が市場予想を上回る(非農業部門雇用者数21.6万人増)
– 失業率3.7%維持、平均時給も予想以上に上昇
– 労働市場の底堅さから、FRBの利下げ進展は見送りとの見方強まる
2月:
– 2日:米雇用統計が再び強い結果(非農業部門雇用者数35.3万人増)
– 8日:日銀の内田副総裁がマイナス金利解除について言及
– 13日:米CPIが高止まり、サービス部門も強い数値
3月:
– 19日:日銀がマイナス金利解除を決定
– イールドカーブコントロール(YCC)も撤廃
4月:
– 26日:日銀が政策金利据え置きを決定
– 29日:ドル円160円台まで円安が進行し、為替介入が実施された(約5円の下落)
まとめ:
1. 米国の強い経済指標(特に雇用)により、FRBの利下げ期待が後退
2. 日銀の金融政策正常化(マイナス金利解除)は市場で織り込み済み
3. 日米金融政策の方向性の違いが、円安ドル高のトレンドを形成
4. 160円台での為替介入により、政府の円安けん制姿勢が明確化
お知らせ
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『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
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お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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ドル円2024年相場のふり返り 前編
日銀がタカ派に転じたとの受け止めから、為替市場ではこれまで積み上がっていた海外投資家の円売りポジションの急激な解消(円の買戻し)が起こり、ドル円相場で大幅な円安修正が起きました。円売りポジションの背景として、円キャリー取引が指摘されています。 円キャリー取引とは、低金利の円建てで資金を借り入れ、その資金を外貨に転換し、米国のような高金利国の金融資産で運用し、その運用益に加えて金利差による収益も狙う取引です。こうした円キャリー取引の資金は、米国株の上昇をけん引してきたAI(人工知能)関連などハイテク銘柄にも向かっていたとみられます。
‘22年11月の米消費者物価指数の鈍化、そして12月の日銀政策会合でのYCC変動幅拡大を受けドル円は、’22年11月の148円台から‘23年1月には127円台へ下落。しかし、日米金利差縮小が限られる中、3-4月に米地銀の一部が破綻するもFRBの金融引き締めは継続され、ドル円は130円近辺を下値に底堅く推移。植田日銀新総裁も緩和政策の継続に言及したこと、7月に米政策金利が5.50%まで上昇したことを受け、11月13日には151円92銭まで上昇。昨年に続き152円を前に介入警戒感が上値を抑制する中、米インフレ鈍化とともにFRBの利上げサイクル打ち止め観測が台頭。これに対し、日銀はYCCを7月、10月と2度にわたり柔軟化し形骸化。米FRBが引締めサイクル停止に向かう一方で日銀が金融政策正常化へ踏み出すとの思惑から12月7日には141円71銭まで急落する場面が見られるなど日米金融政策の今後が注目されるとともに、日本の政局混乱及び米大統領選の行方が24年の焦点となりそうです。
こうした中、市場では米国との金利差縮小を背景に対米ドルでの豪ドルの上昇が見込まれており、通貨分散先として豪ドルへの見直しが進む可能性があります(図7)。
120日MAなど過去半年平均は、代表的な投機筋であるヘッジファンドの売買転換点の目安と見られた。つまり、5月初めの介入局面と異なり、7月下旬に120日MAを米ドル/円が大きく割れてきたことで、米ドル買い・円売りポジションの撤収が本格化したと見られた。それが円高をもたらし、円高により投機筋が一段と米ドル売り・円買いを強める、それこそが「円売りバブル」破裂の実態だったのだろう。
日米金融当局の金融政策変更に関する市場の反応で円高・ドル安が進みました。7月初めの1ドル=160円程度の円安でしたが、7月は円高方向に振れ、30日までは1ドル=150円台で推移しました。 FRBは、7月31日にFOMCの結果として、フェデラルファンド金利の誘導目標を5.25%~5.50%で据え置くことを発表しました。一方、日銀は7月31日の金融政策決定会合で0~0.1%としていた政策金利(無担保コール翌日物レート)を0.25%に引き上げることを決めました。 7月31日には、さらに植田日銀総裁が記者会見で「経済・物価情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」などと発言をしたことが円高に拍車をかけました。特に、壁として「0.5%は意識していない」との発言は、断続的に利上げする印象を与えたとされたようです。 こうして、1ドル=150円を突破し。140円台になりました。その後、今後の日銀の利上げ時期・回数の見通し、FRBの利下げ時期・幅・回数の見通し、さまざまな要人発言、重要経済指標などを巡ってさまざまな思惑が飛び交いました。結果として9月13日には141円を割り込み140円台になりました。 最近2ヵ月半の期間で、約20円、円高が進行したことが、日経平均株価の下落要因になったようです。一方、NYダウは最近2ヵ月半の期間で変動しながらも約2,000ドル上昇していて、こちらは長い目でみると、日経平均株価の上昇要因になったようです。
今回と次回を通じて、日米金融政策の展開、ひいては日米金利差から見た2025年のドル/円相場のイメージを明示しておきたいと思います。
また、市場では2025年にかけて円高・米ドル安の進行を予想する見方が根強い中において、豪ドルは対円でも安定的な推移が見込まれています。このような豪ドル相場の安定は、豪州の株式や債券などへの投資を進める好機に繋がることが期待されます(図8)。
金利差円劣位が縮小したものの、日米10年債利回り差で3%以上もの大幅な状況は、短期売買を行う投機筋にとって円買いに不利な一方で円売りに圧倒的に有利であることに何ら変わりはなかった。その上で、投機円売りにとって最大の脅威である円高リスクをもたらす日本の通貨当局による米ドル売り介入が、米国からのけん制でできなくなったのではないか、そう受け止めた投機円売りが「モンスター化」した結果が、あの161円という「歴史的円安」をもたらした真実だったのではないか。
2024年の為替市場では、米国の利下げ転換を契機に主要通貨に対する米ドル安が進むリスクが残されており、米ドルからの通貨分散の重要性が高まりそうです。
金利差からかい離した米ドル高・円安を比較的うまく説明できそうなのは投機円売り再燃だった。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円売り越しは、7月初めにかけて米ドル/円が161円の高値を記録する中で、2007年6月に記録した過去最高にほぼ肩を並べるまで拡大した(図表2参照)。ではなぜ、投機円売りは金利差円劣位縮小を尻目に急増に向かったのか。
また、豪州経済のファンダメンタルズの安定も、今後の豪ドル相場を支えると考えられます。
バブル破裂の大きな分岐点になったのは、7月下旬に155円を大きく割れたところではなかったか。これにより、当時154円半ばだった120日MA(移動平均線)を割れるところとなった。これは、4月末・5月初めの介入局面で米ドル/円が120日MA割れには至らなかったこととの大きな違いだった(図表3参照)。
2023年の豪ドル相場を振り返ると、米国の積極的な利上げが続く中、米ドル独歩高の様相が強まり、豪ドルは米ドルに対して軟調な地合いが続きました。もっとも、11月以降は米国の利下げ観測の浮上により主要通貨に対する米ドル安が進み、豪ドルも対米ドルで反発しました(図1)。
日本の通貨当局は、4月29日、そして5月1日にも米ドル売り介入に出動した。こうした中で米ドル/円は5月3日には151円台まで下落。「歴史的円安」は160円で幕を下ろしたかと思われたが、そうではなかった。
米ドル高・円安が再燃するきっかけとなったのは、イエレン米財務長官の「為替介入はまれに行われるべき」との発言だった。日本の通貨当局関係者は、「学究肌のイエレン長官は教科書通りの発言をするだけ」として、これを日本の為替介入を批判したものではないと説明するが、為替市場、特に投機筋はそうは受け止めなかった。
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