主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年1月15日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼14日(火)の為替相場
(1):トランプ関税が予想ほど厳しくならない可能性
(2):日銀副総裁講演 円乱高下
(3):米PPI 予想を下回る
(4):カンザスシティ連銀総裁「活発に議論」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:158円後半では伸び悩みそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(火)の為替相場
期間:14日(火)午前7時10分~15日(水)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):トランプ関税が予想ほど厳しくならない可能性
ブルームバーグは、事情に詳しい複数の関係者の話として「トランプ次期米大統領の経済チームは、関税を月ごとに徐々に引き上げる案を検討している。段階的に引き上げることで交渉力を高め、インフレ高進を回避する狙いがある」と報じた。トランプ関税が当初は厳しいものにはならないとの見方からドルが下落。ドル/円が弱含んだ一方、ストレートドルの上昇を支えにクロス円は強含んだ。
(2):日銀副総裁講演 円乱高下
日銀の氷見野副総裁が神奈川県金融経済懇談会で講演。利上げ判断基準の一つとされる賃上げについて「賃上げ予定比率や賃上げ率は前年並み、もしくは上回る結果が多い」とした上で、「来週の金融政策決定会合で利上げを行うか議論し判断する」と語った。一方で、「政策運営のタイミングの判断が難しくかつ重要」と述べるなど、1月の追加利上げを強く示唆する内容ではなかった。これらの発言を受けて円相場は乱高下した。
(3):米PPI 予想を下回る
米12月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.2%、前年比+3.3%と予想(+0.4%、+3.5%)を下回り、食品とエネルギーを除いたコアPPIも前年比+3.3%と予想(+3.5%)下回った。ただ、前年比は総合、コアともに2023年2月以来の伸びだった。
(4):カンザスシティ連銀総裁「活発に議論」
カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は米連邦準備制度理事会(FRB)はトランプ新政権の政策が米経済に与える影響を「活発に議論している」とし、「インフレ目標か雇用目標のいずれかが軌道から外れたらFRBは行動する」と述べた。
14日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:158円後半では伸び悩みそう
昨日のドル/円は終値ベースで約0.3%高。
氷見野日銀副総裁の発言を受けて157.03円前後から158.01円前後まで乱高下した後は、米長期金利の動向を意識した値動きとなった。米10年債利回りが昨年11月1日以来となる4.8069%まで上昇した際には158.19円前後まで上値を伸ばしたが、金利の上昇が一服したことでドル高の流れも落ち着いた。
トランプ米大統領の就任を20日に控え、米次期政権の政策への警戒感から米長期金利が上昇しやすい地合いにある。本日は米12月消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想は前年比+2.9%、コアCPIが+3.3%となっている(前月:+2.7%、+3.3%)。米国のインフレ再加速を示す結果となれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ観測がさらに後退するためドル高圧力がかかりやすくなる。他方で、昨日の氷見野日銀副総裁の発言を受けて、1月23-24日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性もあると市場は意識し始めている。ドル高基調は継続しそうだが、大幅に円安が進むことは考えにくい。ドル/円は158円後半では伸び悩みそうだ。
注目の経済指標:米CPI
注目のイベント:米金融機関決算
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
FX 為替 米CPI
3カ月前には円安阻止のために市場介入を余儀なくされた日本の通貨当局が、今後介入に踏み切る可能性が警戒される。三村淳財務官は7日、「投機的な動きを含めて為替市場の動向は緊張感を持って注視していく」と述べた。 加藤勝信財務相は為替相場の「急激な変動は企業活動にもマイナスで、国民生活にもプラスにはならない」と発言した。
だが、1月米CPIでインフレ懸念が後退する場合は、米金利の低下幅が拡大する可能性が高い。このため、昨日とは異なり米ドル安優勢によるドル円の下落を想定しておきたい。ドル円の下落局面では、IG為替レポートで何度も取り上げている21日線(MA)の維持が焦点となろう。この移動平均線は今日現在、130.30台まで上昇している。
1月米CPI後の展望 ドル円が133円台へ上昇するきっかけとなり得る材料の一つが、今日の1月米消費者物価指数(CPI)である。1月CPIを受けインフレ懸念が再燃すれば、金融引き締めの長期化に対する懸念も高まるだろう。よって、米債市場では利回りの上昇が予想される。米金利の上昇は株安要因となろう。米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合、外為市場では米ドル買いの圧力が最も高まりやすい。ゆえに強い米CPIは、ドル円が133円台へ上昇する要因となり得る。
逆に1月米CPIでインフレの鈍化傾向があらためて確認される場合は、「インフレ懸念の後退→米金利の低下と米株高→米ドル安」の展開を予想する。米金利の低下と株高が同時に発生する場合、外為市場では米ドル安の圧力が最も高まりやすい。同時にリスク選好相場による円安の圧力も高まるだろう。よってこのケースでは、米ドル安と円安の圧力がぶつかり合うことが予想される。
■当社の取扱う各種金融取引は、元本や利益を保証するものではなく、相場の変動等により損失が生ずる場合がございます。お取引にあたっては契約締結前交付書面及び約款を十分にご理解頂き、ご自身の責任と判断にてお願いいたします。 ■店頭外国為替証拠金取引における個人のお客様の証拠金必要額は、各通貨のレートを基にお取引額の4%以上(最大レバレッジ25倍)、法人のお客様の証拠金必要額は、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額又は当該為替リスク想定比率以上で当社が別途定める為替リスク想定比率を乗じて得た額となります。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第 117 条第31項第 1 号に規定される定量的計算モデルを用い算出されるものです。 ■店頭外国為替証拠金取引はレバレッジの効果により預託する証拠金の額以上の取引が可能となりますが、預託した証拠金の額を上回る損失が発生するおそれがございます。 ■各取引の取引手数料及び口座管理費は無料です。 ■スワップポイントは金利情勢等に応じて日々変化するため、受取又は支払の金額が変動したり、受け払いの方向が逆転する可能性がございます。 ■店頭外国為替証拠金取引において当社が提示する売付価格と買付価格には価格差(スプレッド)がございます。お客様の約定結果による実質的なスプレッドは当社が広告で表示しているスプレッドと必ずしも合致しない場合もございます。お取引に際して、当社が広告で表示しているスプレッドを保証するものではありません。 ■店頭外国為替証拠金取引におけるロスカットルールは、必ずしもお客様の損失を限定するものではなく、相場変動等により、預託した証拠金以上の損失が発生するおそれがございます。
10日の円相場は一時1ドル=149円55銭と、約2カ月ぶりの安値を付けた。みずほ証券、野村証券、三菱UFJ銀行は、ドル・円相場が8月1日以来の150円台に乗せるリスクを指摘。野村証の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、CPIが上振れた場合「初動はドル全面高でリスク心理の悪化が警戒される」と記し、150円台回復を試す可能性が高いとみている。
だが、1月米CPIでドル円が上昇するということは、米ドル買いにサポートされての上昇である可能性が高い。ゆえに、ポンドドル(GBPUSD)では下落幅が拡大することが予想される。このためドル円の上昇にポンド円が連れ高しても、上で述べたテクニカルポイントでの反落リスクを常に警戒しておきたい。
9月の米CPI統計では、中古車など一部の財で価格上昇圧力が見られるものの鈍化が示されるとエコノミストは予想している。その分、上方へのサプライズ余地は大きい。CPIが非常に強ければ、ドルは「150円台半ばまで一気に上がるだろうが、介入警戒感からすぐに戻る」とマネックス証券の債券・為替トレーダー、相馬勉氏はみる。
今日の1月米CPIでドル円の上昇幅が拡大する場合、ポンド円は50日線を突破することが予想される。この状況が確認される場合は、レジスタンスポイントとして意識されている161.80レベルのトライおよびブレイクに成功するかどうか?この点が次の焦点となろう。
コメント